魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】

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レオニス視点〜王子と王女と俺⑤

早速ライル殿下が動いてくれたようで、レティシア王女から近々ルーン王国に戻ると伝えられた。

「帰る前にどうしてもこの国の歌劇場に行ってみたいのです」

歌劇場は貴族だけでなく庶民にも人気の場所で、特に人が多い。防犯面でははっきり言って避けた方がいい。

更に個人的に、あまり王女と歩いているところを見られたくないという気持ちもある。

しかし、そう言われてしまっては行くしかない。正直、まだ狙われているかもしれないレティシア王女を連れて行きたくはないが。

「お願いします。陛下やライル殿下には私からお願いしますから」

「わかりました。その代わり決して俺の側を離れないようにお願いします」

他国の王女の身に何かあっては国際問題だ。俺はティナとこれからもこの国で平和に生きて行きたい。

「ありがとうございます。絶対にレオニス様の側を離れないと約束します」

ん? 何か俺は間違っではいないだろうか。

歌劇場ではちょうど人気の演目をやっているらしい。

王女と騎士の恋物語だ。

騎士は幼い頃から王女を守っており、成長する王女に次第に恋心を募らせるが身分違いに気持ちを押し殺す。

王女もまた幼い頃から自分を守ってくれる騎士に恋しているが、王族として他国の王子に嫁がねばならなくなる。
王女が他国へ嫁ぐ前夜、二人は城の中庭で溢れる思いを伝え合う。

心が通じ合ったのも束の間、王女は他国へ旅立っていく。

どうやらその後、クーデターにより嫁ぎ先を追われた王女は騎士と再会するらしいのだが。

公演が終わり、レティシア王女と特別席にいた俺は、隣に座っていた王女を見た。

「ぢょっど待っでぐだざぃ」

王女と侍女は号泣して立ち上がれないようだ。二人ともハンカチで顔を覆っている。

「よかったら俺のハンカチもどうぞ」

王女のハンカチはすでにビショビショに濡れている。

「ありがとう。この国の歌劇は聞いていた以上に素晴らしいですね」

俺のハンカチで涙を拭きながら少し落ち着いた王女は顔を上げた。

「お見苦しいところをお見せしてしまいましたわ。もう大丈夫です。まいりましょう」

レティシア王女は俺の手をとって立ち上がったが、ふらついた。

「大丈夫ですか?」

慌てて俺はレティシア王女を支えた。

「はい、大丈夫です。行きましょう」

ロビーを抜けて外に出た時だった。

「レティシア王女! こちらへ」

王女の肩を掴み、風魔法の攻撃を避ける。

「俺の陰に隠れて」

こんな人混みで風魔法を撃ってくるなんてどうかしている。

誰かに当たったらどうするんだ。

いや奴らは街の人の犠牲なんてどうでもいいのだろう。

「レティシア王女。少しご辛抱ください」

俺はレティシア王女を横抱きに抱き抱えた。侍女と護衛に先に行くと言い残すと歌劇場の前の大階段を走って駆け下り馬車に向かった。

周りから何やら黄色い声が飛ぶが今は王女の安全が第一だ。

王女を馬車に押し込んで防御魔法をかけると実行犯を捕らえに向かった。

あと二日だ。早くルーンに帰ってくれ。
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