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メリンダの家で
「着いたよ。大丈夫かい?」
「はい、大丈夫です」
転移には慣れないが、二度目ともなると心の準備ができていたのか前回よりも平気だった。
メリンダさんがガチャリと玄関を開けると、ホッとする薬草の香りがした。
「ニ階の右側の部屋が空いてるからそこを使っておくれ。荷物を置いたら降りておいで」
「はい。ありがとうございます」
部屋に入ると、簡単なベッドとクローゼットがあった。
「なんか落ち着く……」
メリンダさんのお家はレオニス様の家のような落ち着きがあって好きだ。
荷物を置いて、一階に降りるとキッチンでメリンダさんが料理を始めていた。
「メリンダさん! 料理なら私が」
私が慌てていうと、メリンダさんは少し笑顔を浮かべた。
「私も料理は嫌いじゃないんだよ。でも、そうだねえ、とりあえず今日は一緒に作るっていうのはどうだい?」
「はい。お願いします」
「じゃあそっちで手を洗っておいで」
キッチンに並んで料理を作っていると、亡くなった母を思い出す。
旅が多かったから家のキッチンではなく野営だったが、よくこうして並んで料理をしていたものだ。
「娘がいたらこんな感じだったのかねえ」
メリンダさんも同じような事を考えていたのかな。それにしてもメリンダさんはお子さんがいるのだろうか?
「娘さんはいらっしゃらないのですか?」
思わず聞いてしまったが、無神経だったかな。
「娘はいないよ。でも血がつながらない息子みたいな子はいるんだよ」
そうだったのか。そういえば私はメリンダさんのことをよく知らない。若く見えるけど年も何歳くらいなんだろう。なのに何故か信頼できる人だとわかる。
「そのうちティナに紹介するからね」
愛おしそうに笑うメリンダさんは息子さんを愛しているのだろう。
「はい。ぜひ」
翌日はゆっくりすればいいと言われたが、なんとなく落ち着かず目が覚めてしまった。二人で朝食を食べた後、私は何か手伝える事はないかとメリンダさんに聞いた。
「そうだねえ。とりあえずそこの薬草を広げて乾かしてくれるかい? 風魔法でもいいんだけど、自然に乾かす方が上手くできるんだよ」
メリンダさんは朝食前にすでに薬草を収穫してきていた。
「この薬草は何に使うのですか?」
私が訊ねると、メリンダさんはフフと笑った。
「魔女の薬草は風邪薬から媚薬まで色々さ」
「び、媚薬ですか…」
少し顔が赤くなってしまっているだろうか? 私には縁のない薬だ。
「そういえばティナ。少しそのネックレスを見せてくれないか? それには付与がついているね」
さすがメリンダさん。ネックレスは首にかけて服の下にしまっているのに付与がかかっているのがわかるなんて凄い。
「ええ。レオニス様にかけていただきました」
私は首からネックレスを外すとメリンダさんに差し出した。
「おやおや。あの子ってば心配性というか、過保護というか……。味方を変えれば一種の束縛だねえ」
メリンダさんはネックレスを見つめると独り言のように呟いた。
「え? どういう事ですか?」
「レオニスが家に帰ってティナの手紙を読んだら、すぐにここに来るだろうね」
えっ、なぜここに来るかわからないがそれは困る。まだレオニス様の話を聞く心の準備も、私のこれからについての心の準備もできていない。
「どうしよう……。私、まだ心の準備ができなくて」
焦る私にメリンダさんはニコリとして言った。
「じゃあレオニスが来ている間は猫にでもなってればいいさ」
え? 猫って言いました?
メリンダさんが呪文を唱えると、転移の時のように視界がぐにゃりと歪み、そして収まった。
そして……床が近い! キッチンの扉は壁のように立ちはだかり、机はまるで山のようだ。
「私、本当に猫になったの!」
そう言葉にするも、ニャニャッとしか声が出ない。
「うんうん、可愛い白地に茶のハチワレ猫だね」
ナデナデ……。
「この毛並み。この肉球。猫を飼うのもいいもんだね」
メリンダさんはご機嫌で私の肉球をぷにぷにしている。
「大丈夫なんですか? これ、元に戻れるんですよね?」
心配になって聞くも、やっぱりニャーニャーとしか声が出ない。
「大丈夫、大丈夫。後でちゃんと戻すから心配はいらないさね」
メリンダさんはパチンと魅力的にウインクをしてくるが、不安が拭えない。
「ああ。早速来たみたいだね」
メリンダさんがそう言った後に馬の駆けてくる音がした。
「はい、大丈夫です」
転移には慣れないが、二度目ともなると心の準備ができていたのか前回よりも平気だった。
メリンダさんがガチャリと玄関を開けると、ホッとする薬草の香りがした。
「ニ階の右側の部屋が空いてるからそこを使っておくれ。荷物を置いたら降りておいで」
「はい。ありがとうございます」
部屋に入ると、簡単なベッドとクローゼットがあった。
「なんか落ち着く……」
メリンダさんのお家はレオニス様の家のような落ち着きがあって好きだ。
荷物を置いて、一階に降りるとキッチンでメリンダさんが料理を始めていた。
「メリンダさん! 料理なら私が」
私が慌てていうと、メリンダさんは少し笑顔を浮かべた。
「私も料理は嫌いじゃないんだよ。でも、そうだねえ、とりあえず今日は一緒に作るっていうのはどうだい?」
「はい。お願いします」
「じゃあそっちで手を洗っておいで」
キッチンに並んで料理を作っていると、亡くなった母を思い出す。
旅が多かったから家のキッチンではなく野営だったが、よくこうして並んで料理をしていたものだ。
「娘がいたらこんな感じだったのかねえ」
メリンダさんも同じような事を考えていたのかな。それにしてもメリンダさんはお子さんがいるのだろうか?
「娘さんはいらっしゃらないのですか?」
思わず聞いてしまったが、無神経だったかな。
「娘はいないよ。でも血がつながらない息子みたいな子はいるんだよ」
そうだったのか。そういえば私はメリンダさんのことをよく知らない。若く見えるけど年も何歳くらいなんだろう。なのに何故か信頼できる人だとわかる。
「そのうちティナに紹介するからね」
愛おしそうに笑うメリンダさんは息子さんを愛しているのだろう。
「はい。ぜひ」
翌日はゆっくりすればいいと言われたが、なんとなく落ち着かず目が覚めてしまった。二人で朝食を食べた後、私は何か手伝える事はないかとメリンダさんに聞いた。
「そうだねえ。とりあえずそこの薬草を広げて乾かしてくれるかい? 風魔法でもいいんだけど、自然に乾かす方が上手くできるんだよ」
メリンダさんは朝食前にすでに薬草を収穫してきていた。
「この薬草は何に使うのですか?」
私が訊ねると、メリンダさんはフフと笑った。
「魔女の薬草は風邪薬から媚薬まで色々さ」
「び、媚薬ですか…」
少し顔が赤くなってしまっているだろうか? 私には縁のない薬だ。
「そういえばティナ。少しそのネックレスを見せてくれないか? それには付与がついているね」
さすがメリンダさん。ネックレスは首にかけて服の下にしまっているのに付与がかかっているのがわかるなんて凄い。
「ええ。レオニス様にかけていただきました」
私は首からネックレスを外すとメリンダさんに差し出した。
「おやおや。あの子ってば心配性というか、過保護というか……。味方を変えれば一種の束縛だねえ」
メリンダさんはネックレスを見つめると独り言のように呟いた。
「え? どういう事ですか?」
「レオニスが家に帰ってティナの手紙を読んだら、すぐにここに来るだろうね」
えっ、なぜここに来るかわからないがそれは困る。まだレオニス様の話を聞く心の準備も、私のこれからについての心の準備もできていない。
「どうしよう……。私、まだ心の準備ができなくて」
焦る私にメリンダさんはニコリとして言った。
「じゃあレオニスが来ている間は猫にでもなってればいいさ」
え? 猫って言いました?
メリンダさんが呪文を唱えると、転移の時のように視界がぐにゃりと歪み、そして収まった。
そして……床が近い! キッチンの扉は壁のように立ちはだかり、机はまるで山のようだ。
「私、本当に猫になったの!」
そう言葉にするも、ニャニャッとしか声が出ない。
「うんうん、可愛い白地に茶のハチワレ猫だね」
ナデナデ……。
「この毛並み。この肉球。猫を飼うのもいいもんだね」
メリンダさんはご機嫌で私の肉球をぷにぷにしている。
「大丈夫なんですか? これ、元に戻れるんですよね?」
心配になって聞くも、やっぱりニャーニャーとしか声が出ない。
「大丈夫、大丈夫。後でちゃんと戻すから心配はいらないさね」
メリンダさんはパチンと魅力的にウインクをしてくるが、不安が拭えない。
「ああ。早速来たみたいだね」
メリンダさんがそう言った後に馬の駆けてくる音がした。
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