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もふもふはお疲れ

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まぁ、その机、立派な彫刻が彫ってあるのね。さぞお高いんでしょう?おいくらするのかしら?私、あまり手持ちがありませんの…弁償出来るかしら?





ほんと……いくらするんでしょうかねー?!これは…クロノたんに相談して弁償代金を値切らないと…。





机をぼんやりと見つめアレコレ考える。レイモンドが無表情でこちらに近づいてくるのが目に入った。えっ…何…怖いんですけど…。ズルズルと後ずさり壁際まで追いやられる。ドォン!!ひぃ─────!!!!レイモンドさん!!それは壁ドン所ではありません!!ほら見て!!壁がパラパラッて…。顔怖っっ!!






「ねぇ、レイ様。指南役の事誰かに話しましたか?」






ひぃっっ!!ドス黒い!!背中にゴォゴゴゴゴって効果音背負ってますよ!!もちろん誰にも話していません!!全力で首がちぎれんばかりに横に振る。レイモンドの綺麗な顔が近づいてくる。胸がドキドキする…。これは…動悸だな。緊張し過ぎて口から心臓が飛び出そう…。レイモンドの顔が更に近づき耳元で囁く。











「誰にもいうんじゃねぇーぞ」







きゃぁぁぁぁ────────!!!!!イケボ!!なんたるイケメンボイス!!俺じゃなかったらホーリンラブだわ!!絶対に誰にも言いません!!今度は全力で首を縦に振る。美人が怒ると怖いというのは本当だ…。レイモンド恐ろしい子…。きっとお疲れなんだ!!頭が上手く働いてないんだ!!そうに違いない!!よし、レイモンド!!俺に任せておけ!!











▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ 






はぁー。何を思ったのかレイ様が突然休みを下さった。いきなり休みになっても困る。ほんとに何を考えてるのか…。急に閨の指南役の話を持ち出したり…。皇帝陛下の耳に入ったらどうするつもりだ?!俺がこの世から存在を消されるだろ!!皇帝陛下が番にみせる執着。レイ様自身の魅力も伴ってか異常な程だ。


王族は成人を迎えると閨の指導を受ける。レイ様の指南役は揉めに揉めた。あの美しさだしな。閨中にどんな風に乱れるか見たい、あわよくば、レイ様に気に入られたい。そんな輩が多くいた。


結局、指南役には、第一皇子かほぼ家族的な俺しか残らなかった。二択になれば血の繋がりのない俺が指名されるのは自然の流れだった。レイ様はレイモンド以外に触られたくなかったと喜んでいたが。あんた、俺以外にそのセリフ言ったら勘違いしますからね。


一応、指南役の務めはきちんと果たした。まぁ…指南したと言っても本番まではしてない…。何か色々と疲れたわ。街に降りてみようか。まだ見ていない所も沢山ある。ユーリをご飯にでも誘ってみるか…。









騎士団の詰所がある場所に足を向け歩き出す。ユーリとは何回か食事を共にし、町にも連れて行ってもらった。今では、砕けた話し方で話せる程の仲になったのに、未だに吃るので面白い。少なからずユーリは俺に好意を持っていると思う。


目の前の詰所を見上げる。相変わらずご立派な外観で。俺がここに来ることはあまりない。いつもユーリから訪ねて来てくれる事もあるが。


さて…団長様の部屋は何処だったかな?詰所の中を歩く速度が徐々に速くなる。ほんと、何なんだよ?街に降りた時でも視線は感じるがこれ程多くない。そう…ここに来ると尋常じゃなく視線を感じる。苦手だ。はぁー。心の中で何回目かのため息をつく。




「あれ?!レイモンドくーん!!」



「んぁ?あっ、ガイさん。こんにちは」



「はは、眉間に皺が寄ってるよ?綺麗な顔が台無しだ!!」




「…」




「今日はユーリに会いに来たのかな?」




「えぇ。部屋の場所覚えてなくて」




「じゃぁ、俺と一緒に行こう!!用事もあるしね」




ガイさんは俺の隣に並び一緒に歩き出した。この来る者拒まず、去るもの追わず下半身バカの副団長にはあまり近づくなとユーリに言われている。




コンコン




「入れ」




「失礼しまーす」



ガイさんに続き一緒に部屋に入る。机に向かって書類に目を通しているユーリが居た。




「もう書類仕事はしないぞ。頭がおかしくなりそうだ」





「さすが脳筋!!でも、この書類は重要だよー。なんたって陛下とレイ様の婚儀の警備配置を考えろって内容だし」





「はぁー今日はこの書類だけで手がいっぱいだ!」




じゃぁ、忙しいって事か?誘うのは無理か…。



「ユーリ。ご飯に誘いに来たが、忙しそうだし、日を改める」





バンッ!!!!!




ユーリが驚愕した顔でこちらを向く。机大丈夫か?どうやら俺の存在に気づいてなかったみたいだな。






「レ、レ、レ、レ、レイモンド!!」







ぶはっ!!安定の吃り具合だ。










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