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俺、自重する
しおりを挟む「カーラ…もっと…大きく口を開けろ…」
「ふぁい…ぐっ」
「あぁ…上手だッ…」
「カーラ、ほら手が止まっているよ。こちらにも集中しなくちゃね…」
クルトさんの熱くて太いモノから、ドクドクと波打つ脈が伝わってくる。二人から様付けが無くなったのはいいんだけどね…。どうしてこんな事に…。
遡ること数時間前…。
森です!!ついに森にやって来ました────!!魔物です!!魔法です!!フェードアウトです!!興奮が隠せなくてスキップして進む。どんな魔物かなー。楽しみだなー。っと思っていた自分を殴りたい…。
魔物には会ったよ?会ったんだけどね…虫なのよ…。違うんだよ!!俺が求めていたのは違うの!序盤の魔物と言えば、ゴブリンやオークが相場でしょ?!なんで虫?!しかもめちゃくちゃデカいアリさん!!あの強靭な顎…噛み砕かれるな…絶対にバリボリと骨ごとやられるわ…。
気を取り直してッ!!魔法を使ってみよう。虫と言えば火かな?ファイアボールぐらい?超初級魔法にしないと…森が焼け野原に…なんて洒落にならん!!
「カーラ様お下がりください!!」
「ここは私達が!!」
俺を背に庇う様に立つ二人。カッコイイなー。普通にイケメン行動やん…胸キュンやん。やっぱり攻略対象者だけはあるな。でも、俺、魔法試したいんだ…ゴメンね!!見上げるほど大きなアリさんに手をかざし、心の中でファイアボールと唱える。
アリさんの攻撃とタイミングが重なる。放たれるファイアボール。口から勢いよく火炎放射を噴射するアリさん。混ざり合い辺り一面を焼き尽くす程の炎が…。ヤバ…。
「カーラ様!!」
「ここは引きましょう!!」
大賛成です!!一刻も早く逃げましょう!!ジンさんに抱きかかえられ逃げる。
ふぅー。ここまで来れば大丈夫でしょ。川のせせらぎを眺めながら、先程の事を思い出す。アリさんの癖に火を噴くなんて!!反則だー!!俺が憤っていてると頭上から不穏な会話が聞こえてきた。
「まさか…ファイアアントンの炎の威力が…」
「瘴気の影響かもしれん…上に報告を…」
まずい!!非常にまずい流れですよ!!俺の魔法のせいで…とは、とてもじゃないけど、言える雰囲気ではありません!!ごめんなさい!!次からは気をつけます!!
二人の会話を耳に入れたくなくて、川に近づき手で水を掬う。綺麗だなー。ここだけ見ると平和そうな世界なのに…。
シュルッ
ふぁッ?!気づかない間に、岸辺の向こう側から延びる蔦に片足を取られた。げっ?!ズズズッ────!!体を地面に引き倒され茂みの中に勢いよく引き込まれる。
なんだなんだー?!勢いを止めようと、地面に指を立て爪に土がくい込む程強く縋るが、虚しく跡だけが続く。ドスンッ!!体が何かにぶつかって勢いが止む。
イッてぇ…。ヤバイ…一人で森の中に…。まてよ!でもコレってフェードアウトするチャンスなんじゃ…
ポトッ、ポトッ
服の上に落ちてくるドロリとした液体。人差し指で恐る恐る触れてみた。何?このねっとりとした液体は…正体を確かめようと上を見上げる。
ギョェェェエエ工────!!
なんだこのデカい食虫植物は?!口が俺の方を向いて開いており、先程の謎の液体を垂らしている。気持ち悪い!!四つん這いになり逃げようとするが、蔓が俺の邪魔をする!一本や二本どころ数ではない!!無数の蔓の一つ一つが、明らかな意志を持って俺の手足の自由を奪いに来る。
エロゲの定番!!触手キタ────!!全然嬉しくない!!見る側がいい!!される側はお断りよ!!俺の触手プレイなんて誰得なんだ?!ひぃ────!!エロイベントに突入しないで────!!
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