嫌われ悪役王子は死にたくない!!《本編完結済》

えの

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数日後、ガイとヘラの都合がいい時間に話があると伝えて集まってもらった。

久しぶりに会えたガイに俺のテンションメーターは振り切れた。俺にしっぽがあったならばはち切れんばかりに振っていだろう。

「ガイだぁぁぁーー!!会いたかったよぉぉぉ!!」

抑えきれない興奮。俺のもふもふちゃん!!押し倒す勢いで抱きいつたつもりだが、ガイはうっと呻き声を漏らしたものの、しっかりと俺の体を抱き止めてくれた。はぁ~この大きさ、この感触。ずっと待ち望んでいたものだよ。幸せ過ぎる。

「大好きなガイの匂いがする…」

俺の匂いも擦り付けてマーキングしておかなくては…他の誰かに取られてしまうかもしれないからね!!ぎゅうぎゅうと体を密着させスリスリしていると、コラッと頭上からお咎めが降ってきた。しっぽが微妙に揺れてるし、ガイだって満更でもないくせにー!!ぷぅと頬を膨らませ口を咎らせ拗ねる俺の耳元でガイが囁く。

「お話どころじゃなくなるだろ」

あぁ、クッソやられた。体がゾクゾクして歓喜の鳥肌が立つ。俺が弱いの知っててわざと囁いたな。ありがとうございます!!今日もイケボ健在でございます!!仕方なしにガイから体を離す。

今日は俺の部屋に集まってもらった。椅子に座るように2人を案内すると、ガイは当たり前のような動作で俺を膝の上に乗せた。めっちゃくちゃ恥ずかしい。こーいう事は2人っきりの時にしてもらいたい。

「ガイ、俺1人で座れるし」

「また頭を打ったら大変だからなぁ」

ニヤつくガイにジト目を向ける。誰のせいで頭を強打したと思ってやがる!!そんな何度も頭打つわけないだろ、と降りようと手を伸ばし胸を押し退けて抵抗するが全く歯が立たない。

「では、シオン様は私の方に」

見兼ねたヘラは俺の両脇に手を入れとスポッとガイの膝上から救出してくれた。まさに救いの手。ヘラさん流石です!!そうして俺は降ろされた。ヘラの膝の上へと。

「なっ?!何故膝の上に…」

「ガイ様の膝の上が嫌だったのでしょう?頭を打たれらた困りますので」

動揺する俺をよそに、シレッとした表情でヘラは言った。2人にとって俺が頭を打った事はトラウマなのかもしれない。膝に乗った程度で2人が安心を得られるのならば、いくらでも乗っかってやろうではないか。俺にとってはご褒美でしかない。簡単にエロ妄想に突入してしまいそうだ。これは…まさか俺が試されているのかッ?!

「シオンッ!!俺の方がいいよな?」

ガイがおいでと手を広げてくれる。だが、その胸に飛び込むほど俺は馬鹿ではない。俺は知っている。ヘラは怒らせると怖い。そして強い。弱者は強者に従うのが世の常。許せガイ、お互い強く生きようぜ!!

「今日ここに2人を呼んだ理由は…」

ガイの言葉を無視して話し始めると、ガイはがっくりと肩を落とした。可愛い…あとでだっぷり慰めてあげよう。俺だってガイとイチャコラしたいんだ。でも時と場合があるじゃん?俺はエロいけど常識はちゃんと持ち合わせています。

俺が先日見た内容を話し出すと2人は目を見開いたあと、暫しの沈黙が流れた。そうだよな…なんで主人公が城に居るだって思うよな。見間違いもしくは人違いなんじゃねえ?と疑うよな。俺と主人公は面識が無いと思われてるし…重苦しい沈黙を破ったのはガイだった。

「シオン、今後この様な危険な行動はするな」

「えぇ、その通りです。何かあってからでは遅いんですよ?相手の罠だったらどうするんですか?」

「えっ?そこ?!俺の見間違いとか勘違いとか思わないの…?もしかしたら…俺が嘘ついてるかもよ…」

自分で言って自分の言葉に傷付いた。だってゲームじゃ主人公は誰にでも愛されるキャラで、俺は悪役ポジションよ?なんとなく引け目感じちゃうわ。悪役になるつもりないけどさー。なんか主人公の情報をチクった…いや、俺は只、目撃情報を提供しただけだ。

「ぐっ…シオンが嘘を…ガハハハハッ!!」

可笑しくて堪らないといった表情でガイは腹抱えて笑っている。見え無いけどヘラも後ろで笑いを耐えているのだろう。俺に少し振動が伝わってくる。

「はぁー。本当にシオンは…俺達の様な完全獣人に嘘は通じないと思っていい。それにだ、シオンほど嘘が分かりやすい奴はそう居ない」

「えぇ。全くです。シオン様の嘘はすぐわかります。シオン様は感情が面に出やすいですからね。王族としては直すべきですが…」

なんと?!完全獣人に嘘は通じないのか。何でだろう?野生の勘的な?歩く嘘発見器だな。すげー。まぁ、とにかく貶された気はするか、俺の話を信じてもらえて良かった。あとの対応は2人に任せよう。俺が入るとトラブルに巻き込まれそうだし危ない事は御免だ。死にたくないしね。

暫く談笑したあと解散の流れになった。部屋の外まで見送ろうとヘラの上から降りると、待ってましたとばかりにガイの膝の上に乗せられた。

「おいッ!!何でまた膝上に乗せてんだよ?!」

「ちょっと水入らずの話があってなー」

ヘラとブライアンはごゆっくりと言って扉を閉めてしまった。いや素直に嬉しいよ。2人っきりとか本当に久しぶりだし…でも久しぶり過ぎて恥ずかしい気持ちが勝ってるんだよ!!わかるかな?この嬉しのに恥ずかしい気持ちがさ!!

「なぁー、シオン?聞きたいことがあるんだよ」

「おぃ…耳元は…やめろよ…」

照れ隠しでぶっきらぼうに返事をしてしまった…。本当は耳元で囁かれるの大好きなのに…もっとエロい事言って欲しいのに…俺の馬鹿野郎!!

「ふーん。ジルの野郎がよ…シオンに何をしたの言わねぇんだよ…」

「えっ?サド野郎が?」

なるほど、ガイは俺がサド野郎に何をされたか心配してくれてるんだ…。俺がサド野郎にされた事と言えば乳首がもげるほど引っ張られたぐらい…んっ?ちょっと待てよ…あのエロおやじの時、ガイは調書の検証と称して俺に同じ事をした…。つまり、今回も同じ事をする可能性が高い…。ガイに乳首がもげるほど引っ張られてみろよ…リアルにもげるわ!!乳首は大切な俺の性感帯よー!!俺のおひとり様お楽しみが出来なくなっちゃう。絶対無理。何も無かった事にしよ!!

「何もされなかったよ」

サムズアップで答えた。そうか、とガイは微笑むと喉が乾いたな、とお茶の準備を始めた。相変わらずティーカップが小さい…。ふふっ、可愛いなぁ。

「シオン、ハーブティだ。安らぎ効果がある」

「へぇーありがと…ッ?!」

今の言い回し…どっかで聞いたような…。カップに口をつけたままフリーズする俺を面白そうに見つめる視線。目で訴えるとニヤリと笑うガイが居た。

「えっ、まさか?」

「ふっ、安心しろ中には何も入れてない」

ふぅー、安心した。ちょっと疑っちゃったじゃん。沢山喋って口が渇いていた俺はゴクゴクと喉を鳴らしながらハーブティを飲み干した。くぅーガイの入れてくれるお茶は格別に美味い!!満足の吐息を漏らすと、ガイは俺のカップの中が空っぽな事を確認するかのように覗き込み嬉しそうだった。

「シオン、体は大丈夫か?」

「へっ?体…別に何とも…」

この流れの展開…えっ、本当に何も入れてないんだよね?!再び空になったカップに目を落とすと、手元に影が落ちた。先程よりも距離の近いガイに顔が少し火照る。

「安心しろ、中には何も入れてない。中にはな」

「中には…えっ、どうゆう事?!」

「ティーカップの縁に人間用の媚薬を塗った」

まさかの爆誕発言にカップから指が外れる。なんだそのトリックは?!床に落ちる寸前でガイがカップをナイスキャッチした。コトッ、静寂な部屋に響く音。机の上にカップを置くとガイの指はゆっくりと俺の乳首を指差す。

「シオン、検証の時間だ」

真剣な顔をして何をふざけた事を抜かしやがる!!ってか、お前…知ってんじゃねぇーか?!騙しやがったな!!先程の言葉が思い出される。完全獣人に嘘は通じない…不味い…非常に不味い流れだ!!俺の可愛い乳首に危機が迫ってますよぉぉぉー!!



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