4 / 14
⑷
「なっ、なにぃ…って…」
シャァァァ────────
えっ、何コレ…?俺…何されてるの…?俺の頭に液体が勢い良くかけられる。それは顔をつたい、顎から床に小さな水溜まりを作る。独特の鼻につくアンモニア臭。嘘だろ?嘘だろ嘘だろ…?!おっ、俺に…呆然としてズボンの前を寛げ、スッキリした顔をしているフレイを見る。
「ふぅー。ん~コレで俺の匂いでいっぱいになったね!!」
口をパクパクと魚みたいに動かす。衝撃を受けすぎて声が出ない。
「ユノは俺の物なのに、俺以外の雄に体を許しちゃってーお仕置しないとね?ケレス大陸まで我慢しようと思ってたのにー」
フレイは自分の汚れている服を脱ぎながら、一方的に話を進める。
「俺の国にも奴隷制度はあるんだー。でもこの国は奴隷制度無くなっちゃったでしょ?マーティン商会から人族を仕入れられなくてさぁ。人族は人気なんだよー?小さいし、繁殖能力も高い。獣人なんてデカい奴ばっかりだからね。罪を犯した獣人でも、この国では高値がつく。人族と取引する為の大切な商品。売られた犯罪者がどうなろうと知ったこっちゃないしー」
フレイは何の話をしているのだろう?頭が追いつかない。理解出来ない。人族を仕入れる?何それ…フレイの話はまだ続く。
人族の奴隷を獣人国で売買していた事。結局は売られるのだし、国が変わっただけ。貴族の間では人族は人気があり、大切に飼われていると。この国より随分といい扱いを受けてるって…。でも、奴隷制度はなくなり人族を買えない…。ギルドで見た探し人の依頼書が頭に浮かぶ。
「俺を襲った奴ら、フレイだって、王弟って知ってたんだ。おかしいよねー?だから調べて欲しいってマーティン商会に行ったの。そしたら犯人は突き止めてるって言うからさぁ~報告を聞いてたんだよ。その間にユノが襲われちゃって…失敗したよー。でもお目当ての人族も見つけたし。まさか向こうから来てくれるとはね。ほんとに俺は運がいい!!」
カノンの事…だよな?確かアレクに捨てられたから、獣人国の王と恋仲になりたいと…つまり確実に戦争を起こす為、フレイの情報を流したって事かな?そこに偶然にも俺が居たと…。ってかフレイは…もしかして人を攫いに来てたのか…?そもそも、獣人国で人を売ってるって…小説の中には出てくるのか…?
「あの子は可愛い…だから高値で売れる。でも俺やユノにした事は許せない。だからケレス大陸でいいお仕事を紹介してあげるんだー。何回孕むかな。」
「お仕事…ふっ、フレイはっ…フレイは人を攫いに来たのか…?」
「ぶはっ!!攫う?!まっさかー!!俺はお嫁さん探しに来ただけ~!意外とすぐに見付かったし、運命だね!!人族の斡旋だってマーティン商会がやってる!でも、借金返せない人とか、身寄りない人とかだよ?本人の了承も得てるし」
「でっ、でもギルドに探し人が沢山…」
「あぁ~それは…こっそり一緒に来た獣人が攫っちゃうから…人族は高いからね…」
「はっ、犯罪じゃ…」
「話はおしまい!!獣人は愛する人に対しての愛が重いんだー。その中でも俺は特に重いの。だからね、もっと俺の匂いでいっぱいにしないと!!ユノの中に精子を注ぐのは決定でしょ。お腹がパンパンになるまで注いであげるからね!!あとは飲んで貰おうかな?でも俺もユノの飲みたいしな…ユノはして欲しい事あるー?」
いつの間にか何も身についてないフレイが俺を押し倒していた。背中に当たるタイルがやけに冷たい。行動もだが、会話の内容もぶっ飛び過ぎてる。何から聞けばいいか…。
「お嫁さんって…」
「そっか!!言ってなかったね!!ユノの事だよ?俺の中で当たり前過ぎて言葉にしてなかったね!!首輪も新しいのに変えてあげる!!」
首を掴むように置かれたフレイの手に少し力が籠る。ぐっ、苦しい…このまま…だが、その手は思いのほか直ぐに離れていった。
「ゲホゲホ…」
「ユノは俺の事好きでしょ?知ってるよ?俺の事良く盗み見みてるでしょ?」
しまった…まさかバレているとは…。そう、俺はフレイのピコピコ動く耳、ユサユサ揺れるしっぽが好き…。感情を素直に出せるフレイが好きなのだ…。
「…」
「ユノは俺の物。理解するまで体に教えてあげる。アレクだっけ?必死にユノの事探してるらしいね。早く俺だけの雌にしないと」
「フレイ…」
「今度こそ話は終わり」
フレイが獲物を狙ったような目で俺を見下ろし、鋭い犬歯が首筋に当たる。あぁ…なんてやつを好きになってしまったんだ…。俺はこれからどうなってしまうのだろう…。フレイの背中にそっと腕をまわした。
あなたにおすすめの小説
BLゲームの悪役に転生したら攻略対象者が全員ヒロインに洗脳されてた
さ
BL
主人公のレオンは、幼少期に前世の記憶を思い出し、この世界がBLゲームで、自身は断罪される悪役だと気づく。
断罪を回避するため、極力攻略対象者たちと関わらないように生きてきた。
ーーそれなのに。
婚約者に婚約は破棄され、
気づけば断罪寸前の立場に。
しかも理由もわからないまま、
何もしていないはずの攻略対象者達に嫌悪を向けられてーー。
※最終的にハッピーエンド
※愛され悪役令息
おしまいのそのあとは
久野字
BL
悪役令息として転生してしまった神楽坂龍一郎は、心を入れ替え、主人公のよき友人になるよう努力していた。ところがこの選択肢が、神楽坂の大切な人を傷つける可能性が浮上する。困った神楽坂は、自分を犠牲にする道を歩みかけるが……
大事なものは鳥籠に
おもちDX
BL
アネラは五年前国外追放の身となり、それ以来辺境でひっそりと暮らしている。限られた人にしか会えない生活は寂しいけれど、隠れ住むしか生きるすべはない。
しかし突然アネラの元に第二王子リノエルがやってくる。リノエルはアネラの元婚約者で、アネラを追放した張本人だ。ずっと愛していたと告白され、急な展開にアネラはブチギレる。
「人を振っておいて、ふざけるなって言ってるんですーーー!!」
事情を抱えた第二王子×追放され逃亡した元貴族
Kindleにて配信していた『逃げる悪役令息アンソロジー』への寄稿作です。
王太子殿下は悪役令息のいいなり
一寸光陰
BL
「王太子殿下は公爵令息に誑かされている」
そんな噂が立ち出したのはいつからだろう。
しかし、当の王太子は噂など気にせず公爵令息を溺愛していて…!?
スパダリ王太子とまったり令息が周囲の勘違いを自然と解いていきながら、甘々な日々を送る話です。
ハッピーエンドが大好きな私が気ままに書きます。最後まで応援していただけると嬉しいです。
書き終わっているので完結保証です。
婚約破棄された悪役令息は従者に溺愛される
田中
BL
BLゲームの悪役令息であるリアン・ヒスコックに転生してしまった俺は、婚約者である第二王子から断罪されるのを待っていた!
なぜなら断罪が領地で療養という軽い処置だから。
婚約破棄をされたリアンは従者のテオと共に領地の屋敷で暮らすことになるが何気ないリアンの一言で、テオがリアンにぐいぐい迫ってきてーー?!
従者×悪役令息