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「なっ、なにぃ…って…」





シャァァァ────────




えっ、何コレ…?俺…何されてるの…?俺の頭に液体が勢い良くかけられる。それは顔をつたい、顎から床に小さな水溜まりを作る。独特の鼻につくアンモニア臭。嘘だろ?嘘だろ嘘だろ…?!おっ、俺に…呆然としてズボンの前を寛げ、スッキリした顔をしているフレイを見る。



「ふぅー。ん~コレで俺の匂いでいっぱいになったね!!」



口をパクパクと魚みたいに動かす。衝撃を受けすぎて声が出ない。



「ユノは俺の物なのに、俺以外の雄に体を許しちゃってーお仕置しないとね?ケレス大陸まで我慢しようと思ってたのにー」



フレイは自分の汚れている服を脱ぎながら、一方的に話を進める。



「俺の国にも奴隷制度はあるんだー。でもこの国は奴隷制度無くなっちゃったでしょ?マーティン商会から人族を仕入れられなくてさぁ。人族は人気なんだよー?小さいし、繁殖能力も高い。獣人なんてデカい奴ばっかりだからね。罪を犯した獣人でも、この国では高値がつく。人族と取引する為の大切な商品。売られた犯罪者がどうなろうと知ったこっちゃないしー」



フレイは何の話をしているのだろう?頭が追いつかない。理解出来ない。人族を仕入れる?何それ…フレイの話はまだ続く。



人族の奴隷を獣人国で売買していた事。結局は売られるのだし、国が変わっただけ。貴族の間では人族は人気があり、大切に飼われていると。この国より随分といい扱いを受けてるって…。でも、奴隷制度はなくなり人族を買えない…。ギルドで見た探し人の依頼書が頭に浮かぶ。



「俺を襲った奴ら、フレイだって、王弟って知ってたんだ。おかしいよねー?だから調べて欲しいってマーティン商会に行ったの。そしたら犯人は突き止めてるって言うからさぁ~報告を聞いてたんだよ。その間にユノが襲われちゃって…失敗したよー。でもお目当ての人族も見つけたし。まさか向こうから来てくれるとはね。ほんとに俺は運がいい!!」



カノンの事…だよな?確かアレクに捨てられたから、獣人国の王と恋仲になりたいと…つまり確実に戦争を起こす為、フレイの情報を流したって事かな?そこに偶然にも俺が居たと…。ってかフレイは…もしかして人を攫いに来てたのか…?そもそも、獣人国で人を売ってるって…小説の中には出てくるのか…?



「あの子は可愛い…だから高値で売れる。でも俺やユノにした事は許せない。だからケレス大陸でいいお仕事を紹介してあげるんだー。何回孕むかな。」



「お仕事…ふっ、フレイはっ…フレイは人を攫いに来たのか…?」



「ぶはっ!!攫う?!まっさかー!!俺はお嫁さん探しに来ただけ~!意外とすぐに見付かったし、運命だね!!人族の斡旋だってマーティン商会がやってる!でも、借金返せない人とか、身寄りない人とかだよ?本人の了承も得てるし」



「でっ、でもギルドに探し人が沢山…」



「あぁ~それは…こっそり一緒に来た獣人が攫っちゃうから…人族は高いからね…」



「はっ、犯罪じゃ…」



「話はおしまい!!獣人は愛する人に対しての愛が重いんだー。その中でも俺は特に重いの。だからね、もっと俺の匂いでいっぱいにしないと!!ユノの中に精子を注ぐのは決定でしょ。お腹がパンパンになるまで注いであげるからね!!あとは飲んで貰おうかな?でも俺もユノの飲みたいしな…ユノはして欲しい事あるー?」



いつの間にか何も身についてないフレイが俺を押し倒していた。背中に当たるタイルがやけに冷たい。行動もだが、会話の内容もぶっ飛び過ぎてる。何から聞けばいいか…。



「お嫁さんって…」




「そっか!!言ってなかったね!!ユノの事だよ?俺の中で当たり前過ぎて言葉にしてなかったね!!首輪も新しいのに変えてあげる!!」



首を掴むように置かれたフレイの手に少し力が籠る。ぐっ、苦しい…このまま…だが、その手は思いのほか直ぐに離れていった。



「ゲホゲホ…」



「ユノは俺の事好きでしょ?知ってるよ?俺の事良く盗み見みてるでしょ?」



しまった…まさかバレているとは…。そう、俺はフレイのピコピコ動く耳、ユサユサ揺れるしっぽが好き…。感情を素直に出せるフレイが好きなのだ…。



「…」



「ユノは俺の物。理解するまで体に教えてあげる。アレクだっけ?必死にユノの事探してるらしいね。早く俺だけの雌にしないと」




「フレイ…」




「今度こそ話は終わり」




フレイが獲物を狙ったような目で俺を見下ろし、鋭い犬歯が首筋に当たる。あぁ…なんてやつを好きになってしまったんだ…。俺はこれからどうなってしまうのだろう…。フレイの背中にそっと腕をまわした。





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