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地雷発言のお陰で、俺はベッドの住人となった。フレイは何も出来ない俺を甲斐甲斐しく嬉しそうにお世話してくれている。もはや介護と言っても過言では無い。そのうち腹上死とか有り得るな。



動けない原因はフレイだが、ここまで手厚いと段々と申し訳なってくる。王弟という立ち位置だけに、執務やら色々とあるだろうに、俺の世話ばかり妬いて…。やんわりと断りを入れてみたが、これが失敗だった。自分以外に体を許すのか?見せるのか?そして、怒涛の言葉責めが始まり意識が飛ぶまで体を貪られた。それでも気が済まなかったのだろう。フレイは、意識の無い俺を匂い付けが終わるまで食い散らかした。


こんな事を繰り返していくうちに俺の意識も少しずつ侵され始める。フレイの愛は重いんだ…俺が受け止めてあげないと…俺がいけないんだ…俺の言い方が悪いんだ。だからフレイが不安になっちゃうんだ…。俺は自己否定をする事でフレイの愛に応える様になった。


そんなある日の事、フレイが外せない執務があり珍しく部屋に居ない時、俺に会いたいという人がやってきた。俺と同じ人間。ただし奴隷だ。隷属の首輪をしている。隣にいる獣人が主か?


「ねぇ、君でしょ?フレイ様の新しいお気に入りの奴隷って。最近毎日構ってもらってるからって調子に乗らないでよ?フレイ様の一番のお気に入りは僕なんだから。そのうち飽きられるよ」


「は?奴隷?」


「何?君、自分が奴隷って知らなかったの?!ウケる!!身の程知らずもいい所だね」


少年Aは鼻で笑いながら勝ち誇ったような笑みで俺を見下してきた。今の話から推測するとだ…この少年Aもフレイと関係があるって事か?もしかして…獣人って一夫多妻制?すーっと体から熱が引いていくのがわかる。俺だけじゃないって事か?そういえば…前世では束縛が激しい人ほど浮気をしていると聞いた事がある。なんだ…そっか…。確かにお嫁さんって言われたけど、実際は行為してただけだしな。婚約指輪も貰ってない。貰ったのはこの首輪だけ。フレイ…お前…見損なったわ。


いや…違うな。気づかなかった俺が悪いのか。自分が悪いから…とか思ってたけど、俺って別に何も悪くないよね。フレイが俺の会話をオリジナル解釈して暴走してるだけだから。少年Aに会わなかったら目が覚めなかったな。


「黙りこくって考え込んでるとこ悪いけど、君には今からこの獣人様に犯されてもらうから。フレイ様以外とも慣れておかないとねー。捨てられた時にさぁ、他の獣人様に媚び売る方法でも教えて貰いなよ!じゃあねー」


少年Aは言いたい事だけ言うと、さっさと部屋から出ていってしまった。残された獣人様と俺。魔法が使えないから捕まったら最後だな。その前に窓から逃げるか。まさか俺が二階から飛び降りるとは予想してないだろう。



俺目がけて走り出す獣人様を他所に、窓に手をかけ外に身を乗り出す。横目で獣人様がギョッっとした表情を浮かべていたが気にせず飛び降りた。すぐさま後ろを振り返ることなく闇雲に走り出す。走っていると今までの事が思い出されフレイに腹が立ってきた。ムカつくなー。俺の初恋を返せ!!覚えていろよ!俺は浮気野郎は許さん!!絶対に一発殴ってやるからな!!いや、やっぱり二発殴ってやる!!




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