辻ヒーラー、謎のもふもふを拾う。社畜俺、ダンジョンから出てきたソレに懐かれたので配信をはじめます。

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中

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SS おもちとだいふく

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今回は息抜きの番外SSです。






「がううう…………」

 ダンジョンの中に、ひどく怯えた子狼がいた。
 狼はダンジョンのすみに、縮こまっている。
 それを追い詰めるように、迫りかかっているのは、巨大なオーガだった。

 狼は眠っていたオーガを踏んずけてしまい、オーガの怒りを買ったのだった。
 怒ったオーガは、狼を追いかけまわした。
 狼は必死に逃げた。
 そして今、ダンジョンの隅に追いやられていた。

「うぐぅ…………」
「オガ―――!!!!」
「がるぅ……!」

 狼はオーガの足の間を通って、すり抜ける。
 そして一心不乱に逃げる……!
 ここはダンジョンの下層だった。
 狼は群れからはぐれてしまっていた。
 頼れる仲間もいない。
 このままでは、オーガに殺されてしまう。

 恐怖を感じながらも、狼は生きるために必死に走った。
 狼は中層へと通じる道を見つけた。
 さすがに階層を超えてまで、オーガも追ってこないだろう。
 そう思って、狼は中層へと足を踏み入れる。
 この先にいったら、未知の領域だ。
 もう二度ともとの群れには合流できないかもしれない。
 だけれど、生き延びるためには、まずは逃げないと!

「オガ……!!!!」

 だけど、中層にまでオーガは追ってきた。
 たまらず、狼はさらに逃げる。
 中層にオーガがやってきたことで、中層にいた他のモンスターたちも逃げ惑う。
 狼はついに、上層へ通じる道を見つけた。
 そして上層へ。
 これでなんとかなるかと思ったが、オーガは上層までも追ってきた。
 とうとう追い詰められる狼。

「うぐぅ…………」

 あまりもの恐怖と絶望に、狼は涙が出そうだった。

「オガアア!!!!」

 オーガの攻撃!
 オーガのするどい爪が、狼の足に直撃してしまう。

「があ……!」

 小さな狼は、それで吹き飛ばされる。
 吹き飛ばされ、壁にぶち当たる。
 狼の足からは、傷がぱかっとひらいて、血がだらだらとしたたりおちていた。
 痛い。

「うぐぅ…………」

 あまりにもの痛さと恐怖で、狼はもう心が壊れそうだった。
 このままだと死んでしまう。
 
「オガアア!!!!」

 動けなくなった狼に、オーガが迫る。
 狼が死を覚悟したそのときだった。

「ぴきぃいいいいいい!!!!」

 どこからともなく、一匹のスライムが現れた。
 スライムは、狼を自分の上にのせると、ものすごいスピードでその場を離脱した。

「ぐるぅ……!?」
「ぴきゅい!」

 オーガはあっけにとられてしまった。
 スライムはすごいはやさでオーガから逃げる。
 なんとか二匹はオーガをまくことができたようだ。

 だけど、狼は怪我をしている。
 血が流れていて、今にも死にそうだ。
 苦しそうだ。
 スライムは、狼が心配だった。

 なんとかしないと、そう思った。
 そんなときだった。
 スライムがみつけたのは、一人の人間だった。
 その人間は、他の人間を回復魔法で癒していた。

 そうだ、この人なら、狼を治せるかもしれない。
 スライムは、おそるおそる、その人間のあとをつけていくのであった――。
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