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第22話 歓迎会だよ ★改稿

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「やったああああああああああ!!!!」

 俺はついに、自分の肉体を手に入れた。
 世界樹に転生してから、一歩も動けずに暇を持て余していた。
 だがそれも今日で終わりだ。
 俺は、自分で歩けるようになったのだ!

 俺は自分の肉体を、ぺたぺたと触ってみる。
 うん、俺、たしかに人間だ。
 だけど、ちょっと前世の俺よりも背が低いな?
 目線の高さ的に、高校生くらいの子供くらいだった。
 
 倉庫から鏡をもってきて、自分の姿を確認してみる。
 鏡はモッコロとの取引で手に入れたものだ。

「おお……!」

 俺は、なかなかのイケメンだった。
 前世の俺を、西洋風にアレンジしたような感じだ。
 そして髪の毛の色は白色だった。
 なんだか神々しい感じだ。
 エルフにもどこか似ているかもしれない。
 俺は自分の新しい見た目が気に入った。

「さて、身体を手に入れたわけだし……どうしようかな」

 動けるようになったら、やりたいことがたくさんあった。
 まずは異世界の美味しい料理を食べてみたい。
 それから、異世界がどんなところなのか、世界中を旅してみたいな。
 あ、まずはゆっくりとお風呂にも浸かりたいな。
 せっかく街に新しく風呂ができたのに、俺だけ入れずに悔しい思いをしていたからな。
 本も読んでみたりしたいな。

 俺がいろいろ考えていると、いつのまにか、街の住人が俺のもとへ集まってきていた。

「うお……!?」

 なんか、ゴブリンやワーウルフたちに、じろじろ見られている。

「せ、世界樹さま……!」
「これが世界樹さまのお姿……!?」
 
 みんな俺に興味津々なようだ。
 だがすこし恐れているのか、一定の距離を保っている。
 俺も、こうして目の前にみんながいるのはなんだか不思議な感じだ。

「え、えーっと、これからもよろしくな……?」

 一応挨拶でもしておくか。
 街の連中とは初対面?なのだから。
 俺がそういうと、
 ヨークがみんなの前に出て、言った。

「よし、今夜は世界樹様の歓迎会だ!」
「おおおおおお!!!!」

 なんかはじまった。
 こいつらほんと、祭りが好きだな。

「いや、そんな……いいって」
「よくないです。この街の主である世界樹様が、ついにこうしてお姿を現しになったんですから! みんな、世界樹様から直接お話をきくのを、楽しみにしていますよ! ぜひ一緒にお酒を飲みましょう!」
「うーん、そうだなあ。まあ、いいか」

 酒を飲もうと言われると、弱い。
 たしかに街の連中と酒を飲み交わすのは、楽しそうだ。

 その晩、俺の歓迎会が行われた。
 みんなで火を囲んで、踊りを踊ったり、酒を飲んだりして楽しむ。
 
 俺の両脇には、美人エルフのエルとエラが陣取っている。
 二人は俺にお酒を注いでくれる。
 世界樹の状態で飲む酒もうまかったが、やはりこうして直接、人間の姿で飲むお酒は美味しいなぁ。
 俺、前世のころから、酒はけっこう好きなんだよな。
 しかも、美人エルフや美人ゴブリン娘たちの美しい踊りを肴に飲む酒は格別だった。

「そういえば、世界樹様のお名前はなんというのです?」

 エルが俺にきいてくる。

「名前……?」
「そうです。いつまでも世界樹様だと、呼びにくいので……」
「んあ、そうだなぁ……」

 前世の名前は、言葉ことのは世界せかい
 それをそのまま答えてもいいが、異世界だしなぁ。
 ファンタジー世界で、日本人丸出しの名前ってのもな。
 俺は、答えた。

「俺はセカイ。セカイ=コトノハだ。よろしくな」
「セカイ様ですね! エル、覚えました! 絶対に忘れません」

 ということで、俺はセカイと名乗ることにした。
 それが、この世界での俺の新しい名だ。
 
 それから、ヨークやリンダたちといろいろな話をした。
 人間の姿でこの街を堪能するのは初めてだったが、ここが俺の故郷だという感じがした。
 この街こそが、俺の居場所だって、そう思えた。
 それだけみんながあたたかく迎えてくれたからだな。

 歓迎会が終わり、俺は風呂に行く。
 念願の風呂だ。
 前世から数えて、何年ぶりの風呂だ……?
 やっぱ、ゆっくりとお湯につかるのは気持ちいからなぁ。
 
 俺は一人、大浴場に入り、湯舟につかる。
 男湯は、俺以外は入っていないようだった。
 みんな、俺に気を使ってくれているのか……?
 まあ、貸し切り風呂だ。
 ああ、風呂って最高だなぁ。
 風呂はこころの洗濯だ。

 数百年ぶりの風呂に、召されそうになっていると……。
 がらがら、と風呂の扉が開いた。
 お、誰かきたのか、ヨークかな?
 そう思っていると、なんとやってきたのは、エルフたちだった。

「な……!? お、おい、ここは男風呂だぞ……!?」

 エルフ美少女30人が、裸で入ってきたのだ。

「大丈夫です、今日は世界樹様のために貸し切りなので。それに、セカイ様はまだ子供なので」
「そういう問題か……!?」
「私たちエルフは世界樹様の眷属、ぜひ御背中をお流しさせてください」
「えぇ……!? なんでそうなる……!?」

 エルフたちは俺を取り囲むようにして、湯舟の中に入ってきた。
 うう……目のやり場に困る……。
 どうすればいいんだ……?
 まあ、背中流してもらうくらい、別にいいか……?
 おとなしくしておこう……なにを言っても出て行かなさそうだし……。
 俺は借りてきた猫のようにおとなしくしながら、エルフたちのもてなしを受けた。
 
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