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第37話 カジノだよ

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 さらなる信仰ポイント会得のため、俺が思いついたのはカジノだった。
 信仰ポイントの創造メニューでボードゲームが作れたということは、カジノだって作れるはずだ。
 この世界にカジノがあるのかはわからないが、似たようなものは作れるだろう。
 一応、俺は街の人間たちに確認する。

「なあ、他の街とかに、カジノって、あるのか?」
「ありますよ。カジノ。カジノももちろん、娼館だって、だいたいの大きい街にはありますね」
「そうか……」

 もしカジノを作っても、そもそもカジノの概念がなかったら、受け入れられなかったら意味がないからな。
 なるべく既存のカジノに似せて作るところから始めよう。

「カジノって、だいたいどんなのがあるんだ……?」
「そうですねぇ。ルーレットとか、トランプとか」
「え……トランプあるのか……」

 どうやら、多少絵柄や呼び名は違えど、ほぼ同じ役割のトランプがあるみたいだ。
 それに、ポーカーなど、一部ルールが同じものもあるらしい。
 どういうことだ……?
 もしかして、この世界に、俺以外にも地球人がいるのか……?
 それも、あり得ない話ではない。
 過去にあの女神が、俺以外にも転生者を送り込んでいないという保証はない。
 そのときに、こっちの世界にもトランプやポーカーが持ち込まれたとか……?
 それか、たまたま似たようなものがあるだけなのか……?

 謎は深まるばかりだが、あまり考えないようにしよう。
 もしこの世界に他にも地球人のいた痕跡などがあれば、それもおいおい分かることだろう。
 もしかしたら、今後生きていくうちに、他の転生者にも出会うかもしれないしな。

 俺は創造メニューから、ルーレットやトランプを生成した。
 そして、建築メニューから巨大なカジノを建てた。

 だが、これだけだと、他の街にある既存のカジノと同じだ。
 他にもなにか工夫が必要だろう。

 カジノといえば、現代だと、パチンコやスロットが思いつく。
 だがさすがに、それらをこちらの世界で再現するのは難しいだろう。
 電気もないし、機械もないしな……。
 いや……待てよ、だが、創造を使えば、それも可能なんじゃないのか……?

 俺は試しに、パチンコ台を創造してみることにした。
 すると、なんと信仰ポイントを5万も使ってしまった。
 だが、どうにかパチンコ台らしきものを創造することができた。
 どうやら、複雑なものほど、信仰ポイントが必要だから、パチンコ台のような現代的な機械は、創造できても、かなり多くの信仰ポイントが必要なようだ。
 
 パチンコ台を生成するのに、ほとんどの残り信仰ポイントを使ってしまった。
 さすがにこれを量産するのは無理だな。
 でも、今回のことでいいことがわかった。
 かなり多くの信仰ポイントが必要だが、理論上は、この異世界に存在しないような、現代的なものでも創造することができる。
 つまり、信仰ポイントさえあれば、パソコンなどももしかしたら生成することができるかもしれないということだ。
 それができれば、かなりやれることが広がる。
 異世界を、数千年先に進めることだってできるかもしれないぞ。

 まあ、いたずらに文明をぶち壊すようなことは避けたいが……。
 少なくとも、俺の周りだけでももう少し、電化製品などで快適にしたいところではある。
 とにかくそれをするにも、まずはもっと大量の信仰ポイントがいるな。
 それをするためにも、カジノだ。

 ちなみに、なんとパチンコ台は、電気を入れなくても、普通に動いた。
 どこから動力が来ているのか謎だった。
 だがエルフ曰く、パチンコ台はかなり大きな魔力を帯びているという。
 だから、おそらく、パチンコ台は魔力の力で動いているのだろうということだった。

 俺は、街にカジノをオープンした。
 創造から作ったバニー衣装をエルフたちに着せて、接客させる。

 カジノは大繁盛した。
 カードもルーレットも、精巧につくられており、評判だった。
 観光客はどんどん金を落としていってくれた。
 そしてそれにつれて、信仰ポイントもガンガン溜まって行った。
 俺の読み通り、この街に金を落とさせる、イコール、この街を信仰していると判断されるようで、信仰ポイントがたまるようだ。

 特に、やはり人気になったのは、パチンコ台だった。
 パチンコ台は一台しかなかったが、むしろそれが希少性ということで、逆によかったのかもしれない。
 みんな目新しいパチンコ台に、くぎ付けだった。
 俺がルールを説明すると、みんな狂ったように金を突っ込んだ。

 そして俺は、あるルールを設けた。
 パチンコ台に使った金は、すべてキャリーオーバーさせることにしたのだ。
 そして、見た目にもわかるように、パチンコ台の下に金を積んでいく。
 昔読んだ好きな漫画で、そういう台が出てきたから、それを真似した。

 すると、みんな巨額の金ほしさに、どんどん金をつぎ込んだ。
 単純に、パチンコ台が面白くて金を払ってるだけのやつもいた。
 パチンコ台は、かなり中毒性が高い。
 娯楽にあふれる現代ですら、あれだけ中毒者を生み出すのだ。
 娯楽の乏しいこの異世界に、パチンコ台をもちこんだら、みんな熱狂するのも無理もない。

 しかしパチンコ台はかなりしぶい設定になっていて、めったに金を吐き出さない。
 しかし、ごく稀に、誰かが大金を持って帰る。
 その姿を見てしまったが最期、みな、自分もということで、巨額の金をつぎ込むのだ。
 俺は信仰ポイントががっぽがっぽ溜まるし、みんなは夢を見れてウィンウィンだ。

 いつしか、そのパチンコ台は、「沼」と呼ばれるようになっていた。

 ちなみに、ちゃんと治安が悪くならないように、いろいろ対策もした。
 街の中には常にオークの警察が見張っていて、なにかあれば、すぐにオークが追い出してくれる。

 カジノのおかげで、俺の信仰ポイントは50万ほど溜まった。
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