武装硬化~ティア・ドール

如月エイリ

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幽玄

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「そうか…」

テラよりあてがわれた部屋に戻っていた霧島は、書類の中に埋もれた旧型のノートを広げ、メールを読んでいた。


「六番目が覚醒したか」
 
 
メールの送り主は、フェーンであった。霧島がメール内容を確認していると、秘匿回線から画像が届いてきた。それは、ファイヤーバード…明智からの直接回線であった。

「明智からじゃと!?ま、まさか!」

霧島は慌てて、画像を開いた。

「クローンとはいえ、サイキックを使える明智が、目覚めたばかりの小娘に!」

それは、明智が最後に見た景色だっだ。自分の最後、自分を倒した相手の姿を、明智は活動を停止する前に、自分の産みの親である霧島に送ったのだ。

「明智の性能に!フェーン君の能力があれば!」

霧島の動きが止まった。

明智の目に、映ったアルテミアの姿を見て、霧島は絶句した。

「ティ、ティアナ!」

霧島は震えながら、しばらく動くことができなかった。









「オリジナルフィギュアの確保はどうなっておるか?」

黄金の茶室の中で、水戸の老人は茶を立てていた。

「はい!つい先ほど、上杉卿より、報告が入りました」

茶室の外で、跪く兵士は言葉を続けた。

「テラの追撃をかわし、台湾に向かっていると」

「台湾じゃと?」

兵士の報告に、水戸の老人は茶を立てる手を止めた。

「はい」

兵士は深々と頭を下げた。

「陸奥は何をしておる!テラの水軍など、陸奥一機で何とでもなるはずじゃ!」

水戸の老人の茶筅を持つ手が、震えた。

「上杉めが!何を考えておる!」

立ち上がると、水戸の老人は跪く兵士を見下ろし、

「前田に連絡を取れ!上杉の動きを探らせろ!」

檄を飛ばした。







「若」
 
襖を開けた長髪の男の方を見ずに、巨大な盃を傾けながら、前田藤十郎は虎の皮の上で胡坐を掻いていた。

「辰。どうせ、水戸のじじいのことだろ?わかっている」

藤十郎の言葉に、辰は頭を下げながら、静かに襖を閉めた。

「じじいが、焦りおって」

藤十郎は盃の中の日本酒を、一気に飲み干した。

「日本酒はいい。世界最高級の手間をかけながら、透き通った透明になる。どこまでも濁っている…茶とは、違ってな」

畳の部屋で、藤十郎は前に座る男に、盃を差し出した。

「少尉。君は下戸か?」

「いえ」

武藤真也は、二人の間に無造作に置かれた一升瓶を掴むと、藤十郎の盃に注いだ。

「酒は、祝杯と決めております。殿下のご返事を賜ってから、頂きたいと思っております」

「乾杯くらいはできぬのか?」

藤十郎は、盃を口に運びながら、武藤を見た。

藤十郎の言葉に、武藤は頭を下げると、目の前に置かれた盃に手を伸ばし、

「頂きます!乾杯」

一気に飲み干した。

その様子を見ながら、藤十郎は片手で一升瓶を掴むと、武藤の盃に注いだ。

「俺は、自分で動かず、顎で使うやつを好かん。狭い日本だ。自分の足で動かずにどうする」

「…」

武藤は、注がれた日本酒に映る藤十郎を見た。

「武藤君、君は優秀だ。本当ならば、最後の愛され人になっていた。しかし!」

藤十郎の言葉に、武藤は目だけを彼に向けた。

「君はチャンスを逃した。だが!」

藤十郎は、盃の中身を飲み干し、

「すぐに行動にでた」

盃を畳みの上に置くと、笑みを浮かべた。

そして、武藤に飲むことをすすめた。

「君の望みを叶えよう。我が大和の眷属…武蔵をくれてやろう。それで、六番目を取り返せ」

「で、殿下!」

武藤は目に涙を浮かべると、両手を畳みにつけ、深々と頭を下げた後、盃に手を伸ばし、口に運んだ。

盃を傾ける武藤を見ながら、藤十郎は自分の盃に酒を注いだ。

「話の続きだが…君の6番目を奪った、少年の話を聞かせてくれぬか?」

「は!」

武藤は飲み干すと、藤十郎に向けて話し始めた。




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