オリヒメ計画

未来叶慧

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第158話 押し付け

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画面に送信完了の文字が表示される。
水元さんは大きく息を吐いて姿勢を戻す。
「とりあえず、これで1人で作ることなくなると思うけど、作ることに変わりはないから先に作れるところから作っておきなよ。」
「……はい。」
「それと、内容的に多方面に電話かけないといけないみたいだから、ちゃんと順序立てて作るのよ。」
「……はい。」
水元さんはそう言い残して、自分の席に戻る。
私は画面の方へ向き直り、もう一度メールの内容を確認する。
(資料作成、めんどくさいなぁ。そもそも私は事務担当なのになんで会議の資料を作らないといけないんだろう。しかも、上から直々に。)
頭をもたげてため息がこぼれる。
いつもは経理関係の仕事をギリギリこなしているのだが、時々今回のような雑務を押し付けられる。
正直とても嫌だ。
2年ほど前に資料の印刷を任されたとき、水元さんに、雑務を任されたことはないか?と尋ねたところ、返ってきた答えは、ない、の一言だった。
その時から私だけが雑務処理係として認識されているような気がし始めていた。
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