身勝手な婚約破棄を受けたら隣国の王子に拾われました

氷見 雪

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身勝手な婚約破棄

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「悪いねシェリー、急に呼び出しちゃって…」
「いえ…   それで、お話とは?」
「実は… 君との婚約を無かったことにする… つまり、婚約破棄をさせてもらう!」

 私は突然の出来事に理解が追いついていなかった。


 私は突然、メルセデス伯爵家の一室、 婚約者であるアラン伯爵令息の書斎に呼び出されていたのだった。
 
    「じょ、冗談ですよ…ね?」

  と、理解が追いついていない私は思わず質問してしまった。

 「冗談ではない、私は真面目な話をしている。」

 受け入れたくないが、この話は冗談ではなく、本当だった。
 私の何がいけなかったのだろう… そう思い私は質問をした。

 「ど、どうして婚約破棄を望まれるのですか? 私の何がいけなかったのですか?
「勘違いしてほしくないが、別に君が悪いわけではない…」
「えっ…?  それはつまりどういうこと… ですか?」
「自分の気持ちに嘘をつくことが出来ない。 ただそれだけだ。」
  「……?」
  「つ、つまりだな、私に恋人ができたんだ。」
  「は…はい?」
   「運命を感じたんだ。 君には感じられなかったものだ。 一目惚れと、言うのかな…  彼女は君よりも顔がいいし、胸もお尻も私の好みだ。」
 「え…  そんなことが許されると思いなのですか?」
 「まだ行為をしたわけじゃないんだ。婚約を破棄したら、たくさん楽しませてもらうけどね。」
  
  悪気がないのだろうか…  明らかに異常な話を平然と話すのだから、私の感覚がおかしい。そう錯覚してしまう…
 
「なんなら、紹介してあげるよ。 僕の新しい恋人を」
「紹介など不要です!    ふざけているのですか?」
 「えっ…  でも、家に来ちゃってるから…」

   そう言うと、私のことなど構わずに、アランは部屋に一人の女を呼び寄せた。

  その女は美人だった。 それにスタイルもいい。その女は私をまるで嘲笑っているような笑みをしていた。

 その女とアランは親密だった。 恐らくだいぶ前から密会を重ねていたのだろう。 

 「この子の名前は、リリア。 エリン伯爵家の令嬢で、とても可愛い、それに私の運命の人だ。」
  「……」
   「アラン様、 ご紹介ありがとうございます。 私が、アラン様の運命の人です。アラン様は私が幸せにしますので、心配なさらずに。」

   二人は顔を近づけて今にも口づけを交わそうとしていた…

 一体私は何を見せられているのだろうか… 
 見るに堪えなくなった私は、何も言わずに部屋を出た。

 「あーあ… 行っちゃった…  これでよろしかったのですか?」
    「別に、いいさ。  これで、私達は正式な関係を築けるのだから。」


   去り際に聞こえた二人の声は、私を複雑な気持ちにさせたのだった…
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