17 / 257
第17話無償の信頼
僕は悪だくみを始めた。
最初はそんなつもりは全然なかったのだが、人間切羽つまると色々試してみたくなるもののようだ。
そして僕のたわいない質問に、攻略君は策を一つ授けてくれる。
『―――今から薬草を取りに行こう。こいつをそろえれば面白い効果の薬が作れるよ』
ただ攻略君の言う薬の効果に、僕は思わずブルリと震えてしまった。
本日のサブカル同好会は一時休止。
僕らは武器持参のダンジョン装備で部室に集まった。
「えーでは。今からサブカル同好会強化計画を始動します。ではまず昨日渡したアンケートを見せてください。これは間違いないですか?」
今日は前もって用意していたアンケートに答えてもらっていたのだが、浦島先輩も桃山君もちゃんと書いてきてくれていたようだ。
ざっと確認すると、桃山君は戦士のアタッカー。そして浦島先輩は後衛のバッファー希望で、出来れば目指したいスタイルの傾向が記してあった。
「出来れば素敵でござるなーっていう理想でござるよ?」
「やっぱりちょっとはあるよね。せっかくダンジョンに潜るなら」
僕とてダンジョンに潜ると聞いて、様々なゲームが頭をよぎったが、僕だけが例外ではなかったようだ。
しかし現実は非情である。
ゲームっぽい用語はあるが、自由度があまりにも狭いビルド。
隙あらば命を脅かす危険なモンスター。
そして命の危険が日常になると、憧れが日々消え失せてゆく。
しかしそれは僕らが知らなかっただけなのだ。
僕はアンケートの希望を基に攻略君の考えたおすすめビルドをメモに書き留めると、それを二人に手渡した。
「ではこれだけモンスターを倒してください。種類は指定で、書いてあるモンスター以外は倒さないようにしてください」
メモを手渡すと二人からは最初、怪訝な表情が返って来た。
「よくわからないでござるが……拙者信じるでござるよ。友達でござるからな」
「……桃山氏」
桃山君がそう言ってくれるだけで、僕は胸がいっぱいである。
だが浦島先輩の方はメモの内容を確認すると真剣な表情になり、バッと手のひらを僕にかざした。
「……ちょっと待って」
「……何でしょう?」
「アンケート見た時も思ったんだけどさ……ひょっとすると、ワタヌキ君さ? ある程度後から理想のパラメーターに近づける方法知ってたりする?」
それはまさしく核心に迫った質問だった。
だから僕は隠し立てすることなく縦に首を振った。
葛藤なら前もって済ませている。だから後は確認だけだ。
「はい」
「じゃあ。それが嘘じゃないって前提で話すよ? これ、私らでちゃんとパーティ組むこと前提で話を進めない?」
「……!」
浦島先輩の言葉に僕は衝撃を受けた。
まさか今の段階で、こんなことを先輩の方から言ってくるとは予想していなかったからだ。
「本当にすみません。正直最低クラスの落ちこぼれが何言ってるんだと、自分でも思いますけど……」
「そう言うのいいから。どうせダメもとなところあるんだし、勝算はあるんでしょう? 今はちゃんとやりたいことを言ってよね?」
「そうでござる。……拙者に二言はないでござるよ。信じると決めた以上、言う通りにやるでござる」
「うう……ありがとう」
チョットこんなに感動するとは自分でも思わなかった。
ならば僕とてその信頼に応えなければならない。
僕は二人を甘く見ていたことを心の中で謝り、もう一歩踏み込むことにした。
これははっきり言って悪だくみだと思う。
何せ友人を、本来ならあり得ない形に改造しようと言うのだから。
「じゃあ……僕も最大限妥協なしで提案させてもらいます。………僕は浦島先輩の言う通り、パラメーターをある程度思った通りに育成する方法を知っています。でもこれは言ってみればパラメーターをとがらせる方法で、それは倒したモンスターの種類と数によって変わります」
それを聞いた浦島先輩は、ふむと唸った。
「……となると、私はそんなに変えられないかも。それなりにモンスターを倒してるもんね」
さすが先輩は話が早い。しかしその問題を解決する方法はすでに僕の手の中に存在する。
「いや、問題ないです。ここに隠しパラメーターをなかったことにする薬があるので」
僕はそう言って薬瓶に入った液体を二人に差し出す。
余りにも都合のいい薬を見た二人は困惑して僕を見ていた。
「……それって本気で言ってる?」
「はい」
「……つまりそれを飲んだら弱くなるってことでござるか?」
桃山君の疑問は、何も間違ってはいない。
まさしくこれは弱くなる薬だ。
そしてそれはダンジョンに挑戦する者にとって死活問題に他ならない。
「そういうことになるね。だからこればかりは強制できない。今までの努力の成果をなかったことにされるし、負担をしいちゃう。それでも僕の提案に乗ってくれるのなら……この薬を飲んで欲しい」
浦島先輩と桃山君は薬をジッと見つめる。
だがすぐに二人は薬瓶を掴み取ると、一気に飲み干した。
「……ぷはぁ! まずいわ!」
「あ。拙者は割と大丈夫でござる」
「……マジで驚きました。二人とも何で……」
自分でもおかしいと思うが、そんなセリフが口を衝く。
だけど帰ってきた答えは、楽しそうな笑い声だった。
「何でも何もないでしょ? 私も部室無くしたくないの。ワタヌキ君の人柄もまぁわかってるし、私は胸も体もでっかいから、存分に貸してあげましょう! ちなみに先日体重が100キロ台に突入しました!」
浦島先輩は豪快にふくよかな胸を叩く。
「そうでござるよ。それに、この薬がもし嘘だったら、それで今までの話が真実かどうか証明にもなるでござる。……拙者も体重言わなきゃダメでござるか?」
桃山君は弱くなったことを気にも留めずにグッと親指を立てた。
「浦島先輩……桃山君……うん。これで二人の力は大きく減った。だから無理をしないように1階で特定のモンスターだけ倒してみてください。ちなみにリポップの場所と探すコツはもうメモしてありますから。ちなみに体重は55キロくらいです」
「おいおい私の半分くらいか……反応に困るわ。いやそうじゃなくって、準備万端過ぎるだろう……。でもまぁ、ちょっと根詰めていきましょう」
「了解でござる。遅れは取り戻さねばならんでござるしな」
浦島先輩も桃山君も、もう疑うどころかやる気を出している。
だから僕も―――少しばかり燃えて来た。
「お願いします。その間僕は―――きっちりポーションを集めてきますんで」
ではまずは目先の危機を回避しないと始まらない。
確たる根拠も示せなかった僕はこの無償の信頼に応えるために、力を尽くすことに決めた。
最初はそんなつもりは全然なかったのだが、人間切羽つまると色々試してみたくなるもののようだ。
そして僕のたわいない質問に、攻略君は策を一つ授けてくれる。
『―――今から薬草を取りに行こう。こいつをそろえれば面白い効果の薬が作れるよ』
ただ攻略君の言う薬の効果に、僕は思わずブルリと震えてしまった。
本日のサブカル同好会は一時休止。
僕らは武器持参のダンジョン装備で部室に集まった。
「えーでは。今からサブカル同好会強化計画を始動します。ではまず昨日渡したアンケートを見せてください。これは間違いないですか?」
今日は前もって用意していたアンケートに答えてもらっていたのだが、浦島先輩も桃山君もちゃんと書いてきてくれていたようだ。
ざっと確認すると、桃山君は戦士のアタッカー。そして浦島先輩は後衛のバッファー希望で、出来れば目指したいスタイルの傾向が記してあった。
「出来れば素敵でござるなーっていう理想でござるよ?」
「やっぱりちょっとはあるよね。せっかくダンジョンに潜るなら」
僕とてダンジョンに潜ると聞いて、様々なゲームが頭をよぎったが、僕だけが例外ではなかったようだ。
しかし現実は非情である。
ゲームっぽい用語はあるが、自由度があまりにも狭いビルド。
隙あらば命を脅かす危険なモンスター。
そして命の危険が日常になると、憧れが日々消え失せてゆく。
しかしそれは僕らが知らなかっただけなのだ。
僕はアンケートの希望を基に攻略君の考えたおすすめビルドをメモに書き留めると、それを二人に手渡した。
「ではこれだけモンスターを倒してください。種類は指定で、書いてあるモンスター以外は倒さないようにしてください」
メモを手渡すと二人からは最初、怪訝な表情が返って来た。
「よくわからないでござるが……拙者信じるでござるよ。友達でござるからな」
「……桃山氏」
桃山君がそう言ってくれるだけで、僕は胸がいっぱいである。
だが浦島先輩の方はメモの内容を確認すると真剣な表情になり、バッと手のひらを僕にかざした。
「……ちょっと待って」
「……何でしょう?」
「アンケート見た時も思ったんだけどさ……ひょっとすると、ワタヌキ君さ? ある程度後から理想のパラメーターに近づける方法知ってたりする?」
それはまさしく核心に迫った質問だった。
だから僕は隠し立てすることなく縦に首を振った。
葛藤なら前もって済ませている。だから後は確認だけだ。
「はい」
「じゃあ。それが嘘じゃないって前提で話すよ? これ、私らでちゃんとパーティ組むこと前提で話を進めない?」
「……!」
浦島先輩の言葉に僕は衝撃を受けた。
まさか今の段階で、こんなことを先輩の方から言ってくるとは予想していなかったからだ。
「本当にすみません。正直最低クラスの落ちこぼれが何言ってるんだと、自分でも思いますけど……」
「そう言うのいいから。どうせダメもとなところあるんだし、勝算はあるんでしょう? 今はちゃんとやりたいことを言ってよね?」
「そうでござる。……拙者に二言はないでござるよ。信じると決めた以上、言う通りにやるでござる」
「うう……ありがとう」
チョットこんなに感動するとは自分でも思わなかった。
ならば僕とてその信頼に応えなければならない。
僕は二人を甘く見ていたことを心の中で謝り、もう一歩踏み込むことにした。
これははっきり言って悪だくみだと思う。
何せ友人を、本来ならあり得ない形に改造しようと言うのだから。
「じゃあ……僕も最大限妥協なしで提案させてもらいます。………僕は浦島先輩の言う通り、パラメーターをある程度思った通りに育成する方法を知っています。でもこれは言ってみればパラメーターをとがらせる方法で、それは倒したモンスターの種類と数によって変わります」
それを聞いた浦島先輩は、ふむと唸った。
「……となると、私はそんなに変えられないかも。それなりにモンスターを倒してるもんね」
さすが先輩は話が早い。しかしその問題を解決する方法はすでに僕の手の中に存在する。
「いや、問題ないです。ここに隠しパラメーターをなかったことにする薬があるので」
僕はそう言って薬瓶に入った液体を二人に差し出す。
余りにも都合のいい薬を見た二人は困惑して僕を見ていた。
「……それって本気で言ってる?」
「はい」
「……つまりそれを飲んだら弱くなるってことでござるか?」
桃山君の疑問は、何も間違ってはいない。
まさしくこれは弱くなる薬だ。
そしてそれはダンジョンに挑戦する者にとって死活問題に他ならない。
「そういうことになるね。だからこればかりは強制できない。今までの努力の成果をなかったことにされるし、負担をしいちゃう。それでも僕の提案に乗ってくれるのなら……この薬を飲んで欲しい」
浦島先輩と桃山君は薬をジッと見つめる。
だがすぐに二人は薬瓶を掴み取ると、一気に飲み干した。
「……ぷはぁ! まずいわ!」
「あ。拙者は割と大丈夫でござる」
「……マジで驚きました。二人とも何で……」
自分でもおかしいと思うが、そんなセリフが口を衝く。
だけど帰ってきた答えは、楽しそうな笑い声だった。
「何でも何もないでしょ? 私も部室無くしたくないの。ワタヌキ君の人柄もまぁわかってるし、私は胸も体もでっかいから、存分に貸してあげましょう! ちなみに先日体重が100キロ台に突入しました!」
浦島先輩は豪快にふくよかな胸を叩く。
「そうでござるよ。それに、この薬がもし嘘だったら、それで今までの話が真実かどうか証明にもなるでござる。……拙者も体重言わなきゃダメでござるか?」
桃山君は弱くなったことを気にも留めずにグッと親指を立てた。
「浦島先輩……桃山君……うん。これで二人の力は大きく減った。だから無理をしないように1階で特定のモンスターだけ倒してみてください。ちなみにリポップの場所と探すコツはもうメモしてありますから。ちなみに体重は55キロくらいです」
「おいおい私の半分くらいか……反応に困るわ。いやそうじゃなくって、準備万端過ぎるだろう……。でもまぁ、ちょっと根詰めていきましょう」
「了解でござる。遅れは取り戻さねばならんでござるしな」
浦島先輩も桃山君も、もう疑うどころかやる気を出している。
だから僕も―――少しばかり燃えて来た。
「お願いします。その間僕は―――きっちりポーションを集めてきますんで」
ではまずは目先の危機を回避しないと始まらない。
確たる根拠も示せなかった僕はこの無償の信頼に応えるために、力を尽くすことに決めた。
あなたにおすすめの小説
さびれたレンタル道具屋の転生おっさん、道具の使い方を教えまくる。~客のS級冒険者が俺を歴戦の英雄と勘違いして弟子入りを求めてくるんだが~
遥風 かずら
ファンタジー
前世で過労死した久世織人が目を覚ますとそこは異世界の王都、しかも古道具屋の跡取り息子として転生していた。アクセル・リオットとして成長した彼は荷物持ちとして冒険者パーティーに同行、その道中に【無限収納】スキルを開花させる。
パーティー活動から離脱後、四十歳となったアクセルは前世の記憶を思い出し、儲かりそうという考えで道具レンタル屋を始めていた。客足もなく店がさびれる中、道具の使い方が出来てない冒険者によって治安の乱れや魔物討伐の失敗が続いているという話を常連客から聞かされる。あらゆる道具に精通するアクセルは客の冒険者に使い方を教えに行くことを思い立つ。
アクセルの教えにより、やがてS級冒険者や聖女、王女までも勘違いして彼の元には次々と弟子入りを求める者が現れていくのだった。
《カクヨム様で50000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う
なべぞう
ファンタジー
ダンジョンが生まれて百年。
スキルを持つ人々がダンジョンに挑む世界で、
ソラは非戦闘系スキル《アイテムボックス》しか持たない三流シーカーだった。
弱さゆえに仲間から切り捨てられ、三十五歳となった今では、
満身創痍で生きるだけで精一杯の日々を送っていた。
そんなソラをただ一匹だけ慕ってくれたのは――
拾ってきた野良の黒猫“クロ”。
だが命の灯が消えかけた夜、
その黒猫は正体を現す。
クロは世界に十人しか存在しない“祝福”を与える存在――
しかも九つの祝福を生んだ天使と悪魔を封印した“第十の祝福者”だった。
力を失われ、語ることすら封じられたクロは、
復讐を果たすための契約者を探していた。
クロは瀕死のソラと契約し、
彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。
唯一のスキル《アイテムボックス》。
そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、
弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。
だがその裏で、
クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、
復讐の道を静かに歩み始めていた。
これは――
“最弱”と“最凶”が手を取り合い、
未来をやり直す物語
俺の家に異世界ファンタジーガチャが来た結果→現実世界で最強に ~極大に増えていくスキルの数が膨大になったので現実世界で無双します~
仮実谷 望
ファンタジー
ガチャを廻したいからそんな理由で謎の異世界ガチャを買った主人公はガチャを廻して自分を鍛えて、最強に至る。現実世界で最強になった主人公は難事件やトラブルを解決する。敵の襲来から世界を守るたった一人の最強が誕生した。そしてガチャの真の仕組みに気付く主人公はさらに仲間と共に最強へと至る物語。ダンジョンに挑戦して仲間たちと共に最強へと至る道。
ガチャを廻しまくり次第に世界最強の人物になっていた。
ガチャ好きすぎて書いてしまった。
素材ガチャで【合成マスター】スキルを獲得したので、世界最強の探索者を目指します。
名無し
ファンタジー
学園『ホライズン』でいじめられっ子の生徒、G級探索者の白石優也。いつものように不良たちに虐げられていたが、勇気を出してやり返すことに成功する。その勢いで、近隣に出没したモンスター討伐に立候補した優也。その選択が彼の運命を大きく変えていくことになるのであった。
ダンジョンのある生活《スマホ片手にレベルアップ》
盾乃あに
ファンタジー
進藤タクマは25歳、彼女にフラれて同棲中の家を追い出され、新しい部屋を借りたがそこにはキッチンに見知らぬ扉が付いていた。床下収納だと思って開けたらそこは始まりのダンジョンだった。
ダンジョンを攻略する自衛隊、タクマは部屋を譲り新しい部屋に引っ越すが、そこにもダンジョンが……
始まりのダンジョンを攻略することになったタクマ。
さぁ、ダンジョン攻略のはじまりだ。
ダンジョントランスポーター ~ 現代に現れたダンジョンに潜ったらレベル999の天使に憑依されて運び屋になってしまった
海道一人
ファンタジー
二十年前、地球の各地に突然異世界とつながるダンジョンが出現した。
ダンジョンから持って出られるのは無機物のみだったが、それらは地球上には存在しない人類の科学や技術を数世代進ませるほどのものばかりだった。
そして現在、一獲千金を求めた探索者が世界中でダンジョンに潜るようになっていて、彼らは自らを冒険者と呼称していた。
主人公、天城 翔琉《あまぎ かける》はよんどころない事情からお金を稼ぐためにダンジョンに潜ることを決意する。
ダンジョン探索を続ける中で翔琉は羽の生えた不思議な生き物に出会い、憑依されてしまう。
それはダンジョンの最深部九九九層からやってきたという天使で、憑依された事で翔は新たなジョブ《運び屋》を手に入れる。
ダンジョンで最強の力を持つ天使に憑依された翔琉は様々な事件に巻き込まれていくのだった。
ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ
高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。
タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。
ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。
本編完結済み。
外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。