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第25話錬金術師 ワタヌキ
「実は……これをダンジョン仕様にバージョンアップして欲しいんでござる!」
次の日、桃山君は山のような荷物を担いで部室に持って来た。
その中から鈍い輝きの抜身の刀を差し出された僕は、真顔になってしまった。
「……日本刀じゃない。模造刀とかではなくガチのやつですか? 桃山氏?」
「当り前でござるよ。我が愛刀、犬神と雉嵐でござる!」
「……名前ついてるって、相当高いんじゃないの?」
桃山君が家から持って来たのは、ほんまもんの日本刀だった。
多分素人が手を着けるのは、怯む代物だというのは確定である。
「昔からの愛刀だったんでござるが、ダンジョン攻略に使うとすぐにダメにしてしまうので封印していたんでござるよ」
「ああ、なるほど……。流石にこいつはダンジョンで使い捨てにするのはもったいなさ過ぎる」
「そうなんでござる……。もちろんお代は払うでござるし、拙者もこの間のコスプレ衣装を強化できるように色々持って来たんでござるよ」
実家が古武術の道場をやっているという話だったが、真剣も所有しているとは。
そして大荷物には何が入っているのかと思ったが、古風なものだけでなく、実際に使えそうな、近代の本格的な装備も沢山あるようだった。
それに僕は荷物の中から改造されたと思われるチョッキを持ち上げ、これはと目を輝かせた。
「おおーこれって浦島先輩のコスプレ衣装のジャケット? 防弾チョッキになってない? すげー」
「FBIでも使われている奴らしいでござる。改造して浦島先輩のジャケットを作って来たんでござるよ。他にもお願いされた小物も出来る限り強度を上げてみたんでござるが……」
「「おぉ~」」
浦島先輩と僕は思わず拍手した。
流石手先が器用な桃山君。しかもこの間のお披露目から、デザインを流用していて芸が細かかった。
「おお! ヤバ! クオリティ高! 桃山氏サンキュー!」
「浦島先輩も一度着てみて、サイズに問題がないようなら大丈夫でござるな。後こっちはワタヌキ君でござる。鎖帷子なら衣装のイメージを壊さずに済むでござるよ。……まぁジャージでござるが」
「おお! なるほど! いいじゃない。鎖帷子も初めてみるよー」
「……それで、どうでござる? 可能でござろうか?」
桃山君の目はかなり真剣で、刀についてどれだけ本気か窺えた。
しかしそんな心配はご無用だった。
「桃山君……そんな心配しなくても大丈夫だとも。じゃあ、最後の仕上げは僕がやっておく。他の装備もまるっとダンジョン仕様にしておくよ」
「ホントでござるか! 感謝でござる!」
「ホント!」
「本当ですよー。そうじゃなくっちゃ始まらないでしょう? まぁ任せておいてください。衣装は今日中に仕上げます。錬金釜使うんで先輩達の効率落ちちゃいますけど」
今のところ錬金釜は一つしかないのでそこはどうしようもないが、二人にしてみたらそれくらいのことどうという事はなかったようだった。
「大丈夫でござる! 錬金釜がなくとも、モンスターの1000匹くらいサクッと仕留めてくるでござるよ!」
「もう結構進んでるしね。それより絶対衣裳優先でしょ? 期待してるよ~?」
二人もやる気全開で頑張ってくれるようだし、ボクも気合を入れてやってやろう。
部室から飛び出すように出ていく二人を見送り、僕は腕捲りして錬金釜をセットした。
「じゃあやってみようか攻略君。こんなこともあろうかと、考えたレシピを披露してやろうじゃないか」
『任せてくれ。現時点で最強の装備にして見せよう』
ではレッツ錬金タイムである。
素材の貯蓄は中々のものだ。
出来上がった衣裳をすべてダンジョンアイテムに錬成する。
そして結果はとても上手に出来上がった。
「ふおおおおお! 圧倒的感謝! 感謝でござるよ!」
生まれ変わった二刀の日本刀はダンジョンアイテム特有の魔力を帯びていた。
ダンジョン探索者なら持っただけで理解出来る力の流れは、錬成がうまくいった証明にもなるだろう。
「使ってみるでござる! ああ、危ないのでちょっと離れてくだされ!」
ウッキウキで刀を抜いた桃山君だったが、その瞬間空気が変わった。
その場で披露してくれた舞のような動きは何かの型だったのだろうと思う。
刃物を持っていながら彼の動きは流れるようで、かなりやり慣れているのは明らかだった。
だけど動きが速すぎて影しか見えないのは……おそらくオマケで付けた速度1.5倍上昇の効果のせいも絶対あった。
「な、なんでござるこれ! 体が軽い!」
「武器の特殊効果だよ。桃山君用の鎖帷子には防御力上昇、服にはクリティカル率上昇もつけてあるから、後で確認しておいて」
「ふおおおお!」
あぅ、桃山氏のテンションが振り切れておかしなことに。
浦島先輩も出来上がった装備一式を着込んで、興味津々だった。
「私は!?」
「先輩は重装備ですからね。守りは固めてありますよ」
「ほぅ……いいね。ああ、でも武器いいなぁ。バージョンアップ出来るなら、私も市販の鞭買おうかなー?」
「いや、鞭はダンジョン産の方が性能よさそうですけどね。先輩の使ってるやつ、アレはモンスターの革でしょ?」
「ああ、確かに絶対モンスターの革だよなーアレ……そっかー。そうだなぁ」
先輩のビルドは完全な後衛型である。
回復バフ要員に特化している浦島先輩は、パラメーターは生命力と魔法防御力に全振りの予定で、僕以上に死なないためのビルドだと言えた。
「魔法防御は十分あると思うんで、防具で物理防御を徹底的に上げてます。幸いその手の素材は充実してまして」
「おいおい要塞になっちまうよ。最高だな」
耐久力を上げる素材は鉄巨人の物をふんだんに使用しています。
素晴らしきかな鉄巨人。サクッと回れる上レベルも上がって、素材も落とす最高のお友達だった。
かくして、ダンジョン攻略するコスプレ集団実戦仕様は滞りなく完成した。
まぁ強化素材が貧弱だから最低限だけれども、これから強化発展させればもっと安全性は増すだろう。
しかし今更ながら、桃山君って何者? とつい聞きたくなってしまったが。
きっと向こうもそう思っているだろうからお相子だった。
次の日、桃山君は山のような荷物を担いで部室に持って来た。
その中から鈍い輝きの抜身の刀を差し出された僕は、真顔になってしまった。
「……日本刀じゃない。模造刀とかではなくガチのやつですか? 桃山氏?」
「当り前でござるよ。我が愛刀、犬神と雉嵐でござる!」
「……名前ついてるって、相当高いんじゃないの?」
桃山君が家から持って来たのは、ほんまもんの日本刀だった。
多分素人が手を着けるのは、怯む代物だというのは確定である。
「昔からの愛刀だったんでござるが、ダンジョン攻略に使うとすぐにダメにしてしまうので封印していたんでござるよ」
「ああ、なるほど……。流石にこいつはダンジョンで使い捨てにするのはもったいなさ過ぎる」
「そうなんでござる……。もちろんお代は払うでござるし、拙者もこの間のコスプレ衣装を強化できるように色々持って来たんでござるよ」
実家が古武術の道場をやっているという話だったが、真剣も所有しているとは。
そして大荷物には何が入っているのかと思ったが、古風なものだけでなく、実際に使えそうな、近代の本格的な装備も沢山あるようだった。
それに僕は荷物の中から改造されたと思われるチョッキを持ち上げ、これはと目を輝かせた。
「おおーこれって浦島先輩のコスプレ衣装のジャケット? 防弾チョッキになってない? すげー」
「FBIでも使われている奴らしいでござる。改造して浦島先輩のジャケットを作って来たんでござるよ。他にもお願いされた小物も出来る限り強度を上げてみたんでござるが……」
「「おぉ~」」
浦島先輩と僕は思わず拍手した。
流石手先が器用な桃山君。しかもこの間のお披露目から、デザインを流用していて芸が細かかった。
「おお! ヤバ! クオリティ高! 桃山氏サンキュー!」
「浦島先輩も一度着てみて、サイズに問題がないようなら大丈夫でござるな。後こっちはワタヌキ君でござる。鎖帷子なら衣装のイメージを壊さずに済むでござるよ。……まぁジャージでござるが」
「おお! なるほど! いいじゃない。鎖帷子も初めてみるよー」
「……それで、どうでござる? 可能でござろうか?」
桃山君の目はかなり真剣で、刀についてどれだけ本気か窺えた。
しかしそんな心配はご無用だった。
「桃山君……そんな心配しなくても大丈夫だとも。じゃあ、最後の仕上げは僕がやっておく。他の装備もまるっとダンジョン仕様にしておくよ」
「ホントでござるか! 感謝でござる!」
「ホント!」
「本当ですよー。そうじゃなくっちゃ始まらないでしょう? まぁ任せておいてください。衣装は今日中に仕上げます。錬金釜使うんで先輩達の効率落ちちゃいますけど」
今のところ錬金釜は一つしかないのでそこはどうしようもないが、二人にしてみたらそれくらいのことどうという事はなかったようだった。
「大丈夫でござる! 錬金釜がなくとも、モンスターの1000匹くらいサクッと仕留めてくるでござるよ!」
「もう結構進んでるしね。それより絶対衣裳優先でしょ? 期待してるよ~?」
二人もやる気全開で頑張ってくれるようだし、ボクも気合を入れてやってやろう。
部室から飛び出すように出ていく二人を見送り、僕は腕捲りして錬金釜をセットした。
「じゃあやってみようか攻略君。こんなこともあろうかと、考えたレシピを披露してやろうじゃないか」
『任せてくれ。現時点で最強の装備にして見せよう』
ではレッツ錬金タイムである。
素材の貯蓄は中々のものだ。
出来上がった衣裳をすべてダンジョンアイテムに錬成する。
そして結果はとても上手に出来上がった。
「ふおおおおお! 圧倒的感謝! 感謝でござるよ!」
生まれ変わった二刀の日本刀はダンジョンアイテム特有の魔力を帯びていた。
ダンジョン探索者なら持っただけで理解出来る力の流れは、錬成がうまくいった証明にもなるだろう。
「使ってみるでござる! ああ、危ないのでちょっと離れてくだされ!」
ウッキウキで刀を抜いた桃山君だったが、その瞬間空気が変わった。
その場で披露してくれた舞のような動きは何かの型だったのだろうと思う。
刃物を持っていながら彼の動きは流れるようで、かなりやり慣れているのは明らかだった。
だけど動きが速すぎて影しか見えないのは……おそらくオマケで付けた速度1.5倍上昇の効果のせいも絶対あった。
「な、なんでござるこれ! 体が軽い!」
「武器の特殊効果だよ。桃山君用の鎖帷子には防御力上昇、服にはクリティカル率上昇もつけてあるから、後で確認しておいて」
「ふおおおお!」
あぅ、桃山氏のテンションが振り切れておかしなことに。
浦島先輩も出来上がった装備一式を着込んで、興味津々だった。
「私は!?」
「先輩は重装備ですからね。守りは固めてありますよ」
「ほぅ……いいね。ああ、でも武器いいなぁ。バージョンアップ出来るなら、私も市販の鞭買おうかなー?」
「いや、鞭はダンジョン産の方が性能よさそうですけどね。先輩の使ってるやつ、アレはモンスターの革でしょ?」
「ああ、確かに絶対モンスターの革だよなーアレ……そっかー。そうだなぁ」
先輩のビルドは完全な後衛型である。
回復バフ要員に特化している浦島先輩は、パラメーターは生命力と魔法防御力に全振りの予定で、僕以上に死なないためのビルドだと言えた。
「魔法防御は十分あると思うんで、防具で物理防御を徹底的に上げてます。幸いその手の素材は充実してまして」
「おいおい要塞になっちまうよ。最高だな」
耐久力を上げる素材は鉄巨人の物をふんだんに使用しています。
素晴らしきかな鉄巨人。サクッと回れる上レベルも上がって、素材も落とす最高のお友達だった。
かくして、ダンジョン攻略するコスプレ集団実戦仕様は滞りなく完成した。
まぁ強化素材が貧弱だから最低限だけれども、これから強化発展させればもっと安全性は増すだろう。
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