ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち

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第30話目に見える成果

「ほー……」

 浦島先輩が鏡の前でポーズをとっている。

「うーむ……」

 浦島先輩が鏡の前でポーズをとっている。

「ほっほう……」

 浦島先輩が鏡の前でポーズをとっている。

 僕らの先輩浦島 志乃はたった一日で驚異のダイエットに成功した。

 自称米俵体型と自虐していた姿はどこにもなく、ギュッと引き締まった腰回りに、元々高い背丈相応にスラリと伸びた足が気になるらしい。

 そして程よく脂肪の残った豊満なバストをアスリートのような分厚い筋肉が支えていて、先輩お気に入りとのことである。

 そうして一通り確認し終え、大きく頷いた浦島先輩は一言呟いた。

「これは……エロイな」

「先輩? 落ちついて? いやいや時間かけた一言目がそれですか」

 つい止めてしまうと、浦島先輩はニヤリと笑い頭をかいた。

「いやぁお恥ずかしい。ぶっちゃけ今まで何やっても痩せなかったからねぇ。私は太る才能がありすぎたのだよ。だっておかしいじゃろ? 授業の八割が運動みたいな学校で、瘦せんのよ? 100キロだぞ?」

「あーまぁ確かに?」

「マジレスすると、後衛って慣れてくると案外動かんのよね。食事はエネルギー重視でカロリーバカ高いし、正直太めの友達は割といる……」

「その辺はノーコメントでお願いします」

 僕は内心、浦島先輩はほぼ強制的のような肉体の変化にどんな反応をするかとヒヤヒヤしていたが、気に入ってくれたことがせめてもの救いである。

 そして桃山君も変化があったようで嬉しそうだった。

「拙者の変化も見て欲しいでござる!」

 バッと脱ぎ捨てた上着の下は肩が丸みを帯びている。細身ながらパンパンに張った筋肉が見事に隆起していた。

「拙者はやせ型でござるから、肉がつかなくて困っていたんでござるが……すさまじい変化でござるな……風呂の後眺めてビックリしたでござるよ」

「筋肉質だけど……割と細い?」

「細マッチョ? いや……ムキ!っというよりもガリッ!って効果音が合っているというか」

「グッ! ひどいでござる! そんなセリフは元の拙者の体つきを見てから言っていただきたい!」

 流石にそれは無理だった。

 しかし変化があるのは嬉しいものの様で、浦島先輩は輪郭がはっきりした頬をペチペチ叩きながら言った。

「レベルアップの効果ってここまでスゴイのな。いやーこれはマジで本一冊書けるで」

「そうでござるなぁ。普段のレベルアップは動けるようになった実感はすごいでござるが、体格は あれ? 最近よく動いてるから筋肉付いたな? くらいの気分でござるからなぁ」

 確かに急激なレベルアップがこんなに急に肉体にまで変化をもたらすとは、一気にレベルアップしないとわからない効果だ。

 考えてみると、レベルが10~20なんて大台に上るくらい戦闘を繰り返していれば、その過程で少なくとも見た目は変わる運動量になっている気はした。

「レベルアップすると体も戦闘に適したものに最適化されるってことでござるかな? ワタヌキ氏はどんな感じだったんでござる?」

 無邪気にそう聞いてくる桃山君だが、僕はビクリと震える。

 二人はすさまじい効果だと感動していたが問題は僕である。

 僕は二人よりも間違いなくレベルアップはしたはずだった。

 いや、確かに筋肉は張っていたし大きくなったが、パッと見でそれが分かる人はいないんじゃないかくらいの変化だったからだ。

「確かに体格は良くなったんですけど、そんなに気にしていなかったというか……。ちょっとくらい背丈でも伸びててくれたらわかったんでしょうけど。……レベルが上がっても背は伸びねーんですよね」

 ついそんなセリフが口をつく。

 ハッとした時にはもう遅く、ニヤニヤしている友人二人に僕は肩をポンと叩かれた。

「あー……なるほどねぇ。骨格までは無理か」

「気にしていたんでござるなぁ」

「してましたよね……まぁ別にいいんですけど」

 まぁ結局はこういう変化の大きさも人それぞれ、個人差というやつがあるという事なのだろう。

 ぐぐっ……やはり直後の飯の効果もあるのか?

 僕の方が魔物食は沢山食べているはずだが……今度は小魚か、ミルクがとれるモンスターでも探してみようか?

 いや、だめだ。流され過ぎだ。背が低いから何なんじゃい。

 僕は唇を尖らせたが。まぁ腹筋が六個に割れたのは密かに喜んだよとは言わなかった。

 ちなみに攻略君曰く、気持ち筋肉をつけたいなら戦士系のスキルを、脂肪を爆発的に燃焼させたいなら、魔法はお勧めらしい。

 過剰に精神力を消費すると、次に脂肪を内臓、お腹周り、首、腕、足、胴体、最後に脳の順で消費していくという魔法のような話だが―――信じるか信じないかはあなた次第である。
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