33 / 257
第33話新たな力
僕らの本日の狩場は22階。まだまだジャングルフロアの続く迷宮にて先輩の歓声は響いた。
「やった……ひゃっほー!」
「ニャー」
喜びのあまり飛び跳ねておられる。
先輩は大量の捕獲した魚モンスター肉を駆使して、ついに成し遂げたのである。
そして浦島先輩がまず目を付けたのは猫科には違いなかったが……跨がれるほど大きな黒豹型のモンスターだった。
それぞれのモンスターには好物と言うものが存在するらしい。
それを正確に把握している攻略君は、グランドサーモンと言う名のモンスター釣りを僕らに命じた。
モンスターに好物を食べさせて、仲良くなる。それこそがテイマーの発現条件だ。
だから僕らは鮭狩りに勤しんで条件をクリアする手伝いをしていたわけだ。
「テイマーになるとレベルに応じてモンスターを仲間にする数も増えていくみたいですよ」
「おおお……。で、でも流石にモンスターを連れて帰るわけにはいかないよねぇ。どうしようか?」
「テイムしたモンスターを影に収納出来るスキルがあるらしいです。覚えるまでは……此処で飼えばいんじゃないですか?」
「こ、ここで? それってダンジョンで?」
「そうですよ。そもそもここに住んでいるわけですし」
でっかい黒豹を抱きしめながら驚いている先輩だが驚くのはまだ早い。
上級職テイマーはただ放し飼いでは済まさない親切仕様の便利職だった。
「それにですね、テイマーのスキルがあればダンジョンの中に陣地作成も出来るみたい……先輩?」
ガッツリと肩を掴まれた。先輩のギラついた目は迂闊なことを言うと殺されそうなほど血走っていた。
「……そこのところ詳しく!」
「は、はい。ええっとテイマーのスキルで陣地作成が出来るんです。ダンジョンにモンスターの入ってこない場所を作ったり、その場所をモンスターに守らせたり。当然陣地にテイムモンスターを住まわせることも出来るわけです」
これは素直にすごいスキルだと思う。
ダンジョンの探索中にセーフエリアを自在に作り出せるスキルは絶対に役に立つだろう。
「そ、それってつまり……好きに猫カフェ……作れるってこと?」
「……猫カフェかなー?」
僕はついさっき先輩がテイムしたばかりの黒豹型モンスターに視線を向ける。
どう見ても肉食獣だ。
それが例え喉をワシャワシャされて目を細めていたとしても隠しきれない、野性味がそこにはあった。
もし僕がカフェでうろうろされたら癒されるのとは別の意味で腰が抜けそうだった。
しかし……この質問が重要なことだというのは、先輩の目を見れば明らかである。
「や、やろうと思えば?」
「ほんとかよ……テイマー……最強すぎでは?」
「ええっと……場の制圧がテイマーの真骨頂みたいですよ?」
陣地を作り、味方を増やし、一人で前衛後衛を両方出来る。
よっぽどヤバい奴に突っ込みでもしなければ、安定感は抜群らしい。
「ほ、ほー……うん。いいね。すごくいいよ。いや、私は動物が大好きでね。でも家族がアレルギーでずっとペット飼ったり出来なかったんだよ。でもこれは……確実に使える」
グフフと悪い顔で笑い、なにか漠然としたものを確信に変えた先輩はダンジョンの楽しみ方を見いだしたようだった。
そして浦島先輩のテイマー転職が成功し、僕は続いて桃山君の所に行く。
するとそこに、すさまじい速さで水の上を走りながら襲い掛かって来るサーモンを倒している桃山君を発見した。
「これすごいでござるな忍者! どんな場所でも走れるでござる!」
「桃山君! もうサーモンよさそう! ご苦労様!」
「おや? 調子が出て来たんでござるが……」
桃山君はメモ書きを見たその日に、シーフを習得し、忍者に至ったらしい。
またあの恐ろしい肝試しをしたらしいが、無事で本当によかった。
水の上を走っているのは、忍者のなせる技だ。
桃山君が無事転職に成功した上級職『忍者』のスキルだが、見ていると面白かった。
動きはまさしく忍者のそれで、体捌きが速すぎて分身して見えるようである。
「……って、ホントに分身してない?」
「忍! 本当にしているでござる。いやぁ。ビックリでござるな! このまま忍者を極めたくなるでござるよ!」
どうやら使ってみるうちに、忍者の良さに目覚めてしまったようだ。
桃山君はその楽しさにのめり込み始めているようだが、これはマズイ傾向だった。
「しかし……さっそく忍者に浮気? いや、それでいいならいいんだけどさ」
「……ジョークでござるよ? 初志貫徹でござる。それに……本当に鮭を狩ってたら加速のスキルを覚えたでござるからなぁ」
「お? じゃあ。もう転職か。良かったじゃん」
「……」
「……やっぱり、もう少し忍者で行く?」
「い、いや! 侍! 侍でござる!」
おや、僕は忍者メインのビルドも楽しいかもと思っていたけど、どうやら桃山君は迷いを振り切ったみたいだった。
「やった……ひゃっほー!」
「ニャー」
喜びのあまり飛び跳ねておられる。
先輩は大量の捕獲した魚モンスター肉を駆使して、ついに成し遂げたのである。
そして浦島先輩がまず目を付けたのは猫科には違いなかったが……跨がれるほど大きな黒豹型のモンスターだった。
それぞれのモンスターには好物と言うものが存在するらしい。
それを正確に把握している攻略君は、グランドサーモンと言う名のモンスター釣りを僕らに命じた。
モンスターに好物を食べさせて、仲良くなる。それこそがテイマーの発現条件だ。
だから僕らは鮭狩りに勤しんで条件をクリアする手伝いをしていたわけだ。
「テイマーになるとレベルに応じてモンスターを仲間にする数も増えていくみたいですよ」
「おおお……。で、でも流石にモンスターを連れて帰るわけにはいかないよねぇ。どうしようか?」
「テイムしたモンスターを影に収納出来るスキルがあるらしいです。覚えるまでは……此処で飼えばいんじゃないですか?」
「こ、ここで? それってダンジョンで?」
「そうですよ。そもそもここに住んでいるわけですし」
でっかい黒豹を抱きしめながら驚いている先輩だが驚くのはまだ早い。
上級職テイマーはただ放し飼いでは済まさない親切仕様の便利職だった。
「それにですね、テイマーのスキルがあればダンジョンの中に陣地作成も出来るみたい……先輩?」
ガッツリと肩を掴まれた。先輩のギラついた目は迂闊なことを言うと殺されそうなほど血走っていた。
「……そこのところ詳しく!」
「は、はい。ええっとテイマーのスキルで陣地作成が出来るんです。ダンジョンにモンスターの入ってこない場所を作ったり、その場所をモンスターに守らせたり。当然陣地にテイムモンスターを住まわせることも出来るわけです」
これは素直にすごいスキルだと思う。
ダンジョンの探索中にセーフエリアを自在に作り出せるスキルは絶対に役に立つだろう。
「そ、それってつまり……好きに猫カフェ……作れるってこと?」
「……猫カフェかなー?」
僕はついさっき先輩がテイムしたばかりの黒豹型モンスターに視線を向ける。
どう見ても肉食獣だ。
それが例え喉をワシャワシャされて目を細めていたとしても隠しきれない、野性味がそこにはあった。
もし僕がカフェでうろうろされたら癒されるのとは別の意味で腰が抜けそうだった。
しかし……この質問が重要なことだというのは、先輩の目を見れば明らかである。
「や、やろうと思えば?」
「ほんとかよ……テイマー……最強すぎでは?」
「ええっと……場の制圧がテイマーの真骨頂みたいですよ?」
陣地を作り、味方を増やし、一人で前衛後衛を両方出来る。
よっぽどヤバい奴に突っ込みでもしなければ、安定感は抜群らしい。
「ほ、ほー……うん。いいね。すごくいいよ。いや、私は動物が大好きでね。でも家族がアレルギーでずっとペット飼ったり出来なかったんだよ。でもこれは……確実に使える」
グフフと悪い顔で笑い、なにか漠然としたものを確信に変えた先輩はダンジョンの楽しみ方を見いだしたようだった。
そして浦島先輩のテイマー転職が成功し、僕は続いて桃山君の所に行く。
するとそこに、すさまじい速さで水の上を走りながら襲い掛かって来るサーモンを倒している桃山君を発見した。
「これすごいでござるな忍者! どんな場所でも走れるでござる!」
「桃山君! もうサーモンよさそう! ご苦労様!」
「おや? 調子が出て来たんでござるが……」
桃山君はメモ書きを見たその日に、シーフを習得し、忍者に至ったらしい。
またあの恐ろしい肝試しをしたらしいが、無事で本当によかった。
水の上を走っているのは、忍者のなせる技だ。
桃山君が無事転職に成功した上級職『忍者』のスキルだが、見ていると面白かった。
動きはまさしく忍者のそれで、体捌きが速すぎて分身して見えるようである。
「……って、ホントに分身してない?」
「忍! 本当にしているでござる。いやぁ。ビックリでござるな! このまま忍者を極めたくなるでござるよ!」
どうやら使ってみるうちに、忍者の良さに目覚めてしまったようだ。
桃山君はその楽しさにのめり込み始めているようだが、これはマズイ傾向だった。
「しかし……さっそく忍者に浮気? いや、それでいいならいいんだけどさ」
「……ジョークでござるよ? 初志貫徹でござる。それに……本当に鮭を狩ってたら加速のスキルを覚えたでござるからなぁ」
「お? じゃあ。もう転職か。良かったじゃん」
「……」
「……やっぱり、もう少し忍者で行く?」
「い、いや! 侍! 侍でござる!」
おや、僕は忍者メインのビルドも楽しいかもと思っていたけど、どうやら桃山君は迷いを振り切ったみたいだった。
あなたにおすすめの小説
さびれたレンタル道具屋の転生おっさん、道具の使い方を教えまくる。~客のS級冒険者が俺を歴戦の英雄と勘違いして弟子入りを求めてくるんだが~
遥風 かずら
ファンタジー
前世で過労死した久世織人が目を覚ますとそこは異世界の王都、しかも古道具屋の跡取り息子として転生していた。アクセル・リオットとして成長した彼は荷物持ちとして冒険者パーティーに同行、その道中に【無限収納】スキルを開花させる。
パーティー活動から離脱後、四十歳となったアクセルは前世の記憶を思い出し、儲かりそうという考えで道具レンタル屋を始めていた。客足もなく店がさびれる中、道具の使い方が出来てない冒険者によって治安の乱れや魔物討伐の失敗が続いているという話を常連客から聞かされる。あらゆる道具に精通するアクセルは客の冒険者に使い方を教えに行くことを思い立つ。
アクセルの教えにより、やがてS級冒険者や聖女、王女までも勘違いして彼の元には次々と弟子入りを求める者が現れていくのだった。
《カクヨム様で50000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う
なべぞう
ファンタジー
ダンジョンが生まれて百年。
スキルを持つ人々がダンジョンに挑む世界で、
ソラは非戦闘系スキル《アイテムボックス》しか持たない三流シーカーだった。
弱さゆえに仲間から切り捨てられ、三十五歳となった今では、
満身創痍で生きるだけで精一杯の日々を送っていた。
そんなソラをただ一匹だけ慕ってくれたのは――
拾ってきた野良の黒猫“クロ”。
だが命の灯が消えかけた夜、
その黒猫は正体を現す。
クロは世界に十人しか存在しない“祝福”を与える存在――
しかも九つの祝福を生んだ天使と悪魔を封印した“第十の祝福者”だった。
力を失われ、語ることすら封じられたクロは、
復讐を果たすための契約者を探していた。
クロは瀕死のソラと契約し、
彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。
唯一のスキル《アイテムボックス》。
そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、
弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。
だがその裏で、
クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、
復讐の道を静かに歩み始めていた。
これは――
“最弱”と“最凶”が手を取り合い、
未来をやり直す物語
俺の家に異世界ファンタジーガチャが来た結果→現実世界で最強に ~極大に増えていくスキルの数が膨大になったので現実世界で無双します~
仮実谷 望
ファンタジー
ガチャを廻したいからそんな理由で謎の異世界ガチャを買った主人公はガチャを廻して自分を鍛えて、最強に至る。現実世界で最強になった主人公は難事件やトラブルを解決する。敵の襲来から世界を守るたった一人の最強が誕生した。そしてガチャの真の仕組みに気付く主人公はさらに仲間と共に最強へと至る物語。ダンジョンに挑戦して仲間たちと共に最強へと至る道。
ガチャを廻しまくり次第に世界最強の人物になっていた。
ガチャ好きすぎて書いてしまった。
素材ガチャで【合成マスター】スキルを獲得したので、世界最強の探索者を目指します。
名無し
ファンタジー
学園『ホライズン』でいじめられっ子の生徒、G級探索者の白石優也。いつものように不良たちに虐げられていたが、勇気を出してやり返すことに成功する。その勢いで、近隣に出没したモンスター討伐に立候補した優也。その選択が彼の運命を大きく変えていくことになるのであった。
ダンジョンのある生活《スマホ片手にレベルアップ》
盾乃あに
ファンタジー
進藤タクマは25歳、彼女にフラれて同棲中の家を追い出され、新しい部屋を借りたがそこにはキッチンに見知らぬ扉が付いていた。床下収納だと思って開けたらそこは始まりのダンジョンだった。
ダンジョンを攻略する自衛隊、タクマは部屋を譲り新しい部屋に引っ越すが、そこにもダンジョンが……
始まりのダンジョンを攻略することになったタクマ。
さぁ、ダンジョン攻略のはじまりだ。
ダンジョントランスポーター ~ 現代に現れたダンジョンに潜ったらレベル999の天使に憑依されて運び屋になってしまった
海道一人
ファンタジー
二十年前、地球の各地に突然異世界とつながるダンジョンが出現した。
ダンジョンから持って出られるのは無機物のみだったが、それらは地球上には存在しない人類の科学や技術を数世代進ませるほどのものばかりだった。
そして現在、一獲千金を求めた探索者が世界中でダンジョンに潜るようになっていて、彼らは自らを冒険者と呼称していた。
主人公、天城 翔琉《あまぎ かける》はよんどころない事情からお金を稼ぐためにダンジョンに潜ることを決意する。
ダンジョン探索を続ける中で翔琉は羽の生えた不思議な生き物に出会い、憑依されてしまう。
それはダンジョンの最深部九九九層からやってきたという天使で、憑依された事で翔は新たなジョブ《運び屋》を手に入れる。
ダンジョンで最強の力を持つ天使に憑依された翔琉は様々な事件に巻き込まれていくのだった。
ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ
高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。
タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。
ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。
本編完結済み。
外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。