ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち

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第35話振出しに戻った気がする

 下準備は整った。

 メインとなる上級職のジョブにこうまで簡単になれたのは、攻略君のおかげである。

 しかし同好会のみんなを仲間に引き入れてパワーアップを果たした今、怠けていてはすぐに置いて行かれるのは僕の方だろう。

 頑張ろうとは思っていたのだが、しかし予想外だったのは……。

「なんだろう……振り出しに戻った気分だよ」

『まぁなんだろう。損はさせないとも……頑張れ』

 僕はまた1階のモンスターをひたすら狩り続ける日々に戻っているということだった。

 それは主に授業時間に行われているものだから、本当にいつも通りである。

 何で僕がこんなことをしているのかと言えば、それは簡単。

 僕が浦島先輩の提案に乗っかったからである。



「……攻略君、ちょっと気を引き締めて強くならないといけなくなったんだけど。なにかみんなとのレベル上げ以外にもやれることある?」

 僕は確かにそう言った。

『もちろん。じゃあ裏スキル……超化の攻略チャートなんていかがだろう?』

 そう攻略君は答えた。

 攻略君曰く、それは万が一の切り札になりえるのだと言う。

 レアなスキルの中には、普通では取れない裏スキルというものが存在していて、隠し要素なんてちょっと素敵! くらいの興味で承諾したのだが、しかしその条件を満たすのは中々スリリングだった。

 攻略君の語るスキル獲得方法はこうである。

『まずHPを限りなく低くします』

「……はいはい?」

『そして、自分を呪い状態に。最適な呪いの薬を用意しましょう』

「……ほいほい?」

『そしてそのまま放置します』

「いや、死なないそれ?」

 毎回ついツッコんでしまうけれど、攻略君は否定した。

『呪いの性質で死ぬまで削り切らないものを使用するから大丈夫。これは怪我を負う戦闘ダメージでは難しい。動ける状態でHPを1にするダメージ管理が重要なんだ』

「……なるほど。それで小指をぶつけただけで死にそうな状況でなにを?」

『モンスターと戦ってください』

「おい」

 流石に殺しにかかっているんじゃないかといったん止めたが、これは必要なプロセスだと攻略君は断言した。

『HPが1の状態で、100体のモンスターを討伐する。それが超化を習得する条件なんだよ』

「……おっかないスキルだなぁ」

 しかし死にかけて100回戦闘を行うっていうのは中々意地が悪いというか、知らないとやらない。

 トラブルも多いダンジョンの中でそれをしようなんていうのは、命知らずもいいところだった。

「……だからある程度育ってからしか出来ないわけだ。しかし100か……死ぬかも」

『……やめておくかな? やらなくても全然いいよ? 注意すれば今だって十分下の階でも戦えると思うし』

 攻略君は最後にそう付け足すが、そんな風に言われると引き下がれない僕がいた。

「いや、やる……友達を巻き込んじゃったし。ちゃんと生きて帰れるように責任取らないとだしな」

 攻略君の攻略は効率だけはすさまじいが、少しのミスで簡単に死にそうなものが多い。

 いざという時にカバーできる保険はいくらあってもいいと思う。



 というわけでHP1の状態でも死なない可能性が一番高いのが1階だったというわけだ。

 1階のモンスター達、なんかすまん。

 やってることはレベルが低い時と大差ないが、一撃の重さは最初に比べて段違いでモンスターが気の毒になるくらいだった。

「ふんぬ!」

 だが自分がすぐ死ぬ状態だと思うと自然と全ての動作が必死になる。

 そしてここは1階。普通にクラスメイトも通り掛かるわけだ。

 いつもは人の目を気にして、もう少し人通りの少ない場所にいるのだが、入ったばかりのところでちょうどいいモンスターを発見しちゃったのだ。

 サクッと終わらせようと全力で攻撃しているところを―――。

「……」

 クラスメイトの女子に見られてしまった。

 もちろん僕は最弱モンスター相手に、必死の形相でフルスイングの全力攻撃だ。

 自然と目が合い気まずい一瞬の後、クラスメイトの女子は一言。

「……あの、手助けとか、いる?」

 優しさからの提案が心に突き刺さる。

「いや……大丈夫だよ」

「そ、そう。無理しないでね」

 めちゃくちゃ気を使われてしまった。

 そそくさと去っていく女子の憐みの視線は中々くるものがあった。

「……もっと人目のつかないところでやろうかな」

 別に気にしちゃったわけではないけど、今後は注意しよう。

 変な性癖に目覚めても困る。

 もはや1階でレベリングをしている生徒なんていない現状、2階までのルート上にいなければ、誰かと遭遇することもないだろう。
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