ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち

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第39話効率重視のレベルアップ方再び

『スライムを抜けると無機質なフロアがメインになる。ジャングルよりはるかに歩きやすいから私達には都合がいい。トラップの類は充実しているが、把握して動けるからね』

 攻略君の言う無機質というのは、何やら建物内部のような階層で、とても広い研究所のような印象のエリアだった。

「確かにジャングルよりは歩きやすい。あっちはモンスターが多くてとにかく気が抜けなかった」

『指示するにも相手は動物タイプのモンスターばかりだったからね。動きが不規則で厄介だったよ。でもモンスターの数というならここから先のフロアだって負けてない』

「うへぇ」

 だがこの階層は確かに攻略君の独壇場だろうと、なんとなく思った。

 トラップについては知っていることが何よりの力になるはず。そういう意味で攻略君のアドバイスは何よりのアドバンテージである。

『ここにいるモンスターは魔法生物と呼ばれるものが多い。それこそスライムや、キマイラという融合獣。浮遊する鉱石のモンスターや、小型の金属製ゴーレムとかね』

「気を付けることは?」

『今の君は遭遇したら誰でも死ぬね』

「……そんなんばっかりだなぁ」

『当然だろう? ダンジョンを深く潜るってそういうことだよ。そこでだ―――』

「ああ、その前振り、嫌な予感がするぞ?」

『ここで少し、トラップを使ってレベリングしていこう。そして40階だ』

「うわートラップを使って?……なんかいつも以上にヤバそうなこと言い出したなぁ」

『では、レベリングスタートだ。指示通りに走り回ってくれ』

「……いいとも」

 僕はよくあることだと気合いを入れ直して走る。

 きっと一瞬でも気を抜いたら、たちどころに死亡するようなことをするのは、今までの経験から察し済みである。

 誰かが見ていれば僕の頭の炎が気合で燃え上がり、まるで聖火のように風に揺られていたことだろう。

 そしてまず僕はショックバレットで目の前の何か色々な動物が混じったように見えるモンスターを撃った。

『次! 30メートル直進!』

「了解!」

 言われた通りに進むと、今度はタコみたいな脳みそを発見、そして撃つ。

 そんなことを繰り返していたら、追いつかれた瞬間死ぬ鬼ごっこが始まり、追跡者の群れは雪だるま式にドンドン大きくなっていった。

「ヒィ……ヒィ……死んじゃうんだけどぉ!」

『ではこれくらいにしておこう。もうすぐゴールだ! その部屋に飛び込んで、真ん中のタイルを踏め!』

「……OK」

 ゴール! と部屋に飛び込んで。タイルを踏んだ。

 そこは完全に袋小路の部屋の中で大量のモンスター達も雪崩れ込んで来た。

 しかもモンスターが全部入り切ったタイミングで入口まで閉まって、完全に逃げ道を封じられてしまった。

「え? 今度こそはめられた!」

『違うから逃げて逃げて! すぐに始まる!』

「なにがぁ!?」

 一体何が始まるのかと死に物狂いで逃げ回っていると、シューッという異音がして、真紫の霧がドンドン部屋の中に充満していった。

「な、なんだこれ……」

『極力呼吸を整えて隅っこに座って! 出来る限り床に近づいて、全力防御! 全力回復!』

「!!!」

 僕には言われたままにそれを実行することしか出来なかった。

 とたん、暴れていたモンスター達が痙攣し始め、泡を吹いて倒れてゆく。

 そしてそれを確認した攻略君は更に指示した。

『よし。じゃあそろそろ頃合いだ。よく効いている奴から順に仕留めていこう』

「えええええ……」

『急いで。止めを刺さないと成長しないよ』

「……」

 あまり呼吸が速くならないようにゆっくり動きながら、僕はモンスター達にとどめを刺していった。

「だから……なんで君のレベリングはこう」

『えー注意事項としては、このレベリングは君の浄化スキルと聖騎士の聖なる守りを利用した技なので、みんなと来た時は絶対に真似をしないでね?』

「……絶対しないよ」

 何か攻略君がこの鬼畜戦法の注意を促している。
 
 ドグシャと最後の一匹を倒すと、僕のレベルはあっという間に30を超え、聖騎士のスキルもすべて覚えきったようだった。

 あえて言おう、確かに恐ろしいまでの効率だった。

『どうだい? 効果ありだろう? 毒耐性の低いモンスターを選ぶのがコツだよ』

「ありがとう攻略君……しかし心の中の大切な部分を生贄に捧げた気分ではある」

『……人間とは日々、何かを糧に成長する生き物なんだよ』

 いいこと風に言っていたが、特にそうとも聞こえない。

 しかし確かに僕の手元には刻まれたレベルが残っていた。

「まぁせめて無駄にしないように頑張るよ」

『その意気だ。まだ先は長いからね』

 しばらくすると毒霧部屋の扉が開いて、僕らはその足でこの階層を脱出することにした。
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