64 / 176
第64話ペンギン楽園
しおりを挟む
47階層は氷山と海のある、恐ろしく寒いエリアである。
鳥のモンスターが警戒対象である階層の中で、ここではレベル違いの寒さと体温を奪う海風にも警戒を強いられる。
だから防寒は必須なのだが……この展開に一番落ち込む、というか泣いているのは桃山君だった。
「ウッウッウッウッ……ひどいでござるよ。何で最初が厚着必須の階層なんでござるか? せっかく衣裳を作ったのに」
「……正直すまんかった。でもここがちょうどいいんだよ。うん……まずここに穴を掘るよ。だいたい2mくらいの深さで」
指定した地点は氷ではなく地面のある場所で、それなりの広さがある。
そして穴を掘るのは僕でもいいが、今回は新兵器を使ってもらうことにした。
「では浦島先輩よろしくお願いします!」
「おー? やっちゃうー? 仕方がないなぁ」
楽し気な声を上げた浦島先輩は、手元のスイッチを押してフルフェイスヘルメットに光の文字を灯した。
その文字は魔法文字。
そして目で文字を追って魔力を流すと、一定の効果のある魔法が発動する。
「この辺り全部?」
「かなり広くて大丈夫です」
「心得た! ホイ!」
軽い声の後ズズンと地面を揺らして大きな穴を空けたのは、そのままズバリ落とし穴を掘る魔法である。
「なんですこれ!?」
「落とし穴を掘る魔法……だそうでござる」
「落とし穴限定ですか?」
「そう。何でもワタヌキ氏曰く、落とし穴はトラップの原点にして頂点だとか」
まぁ、地形を強制的にえぐるとかめちゃくちゃ役立つだろうなって思ってる。
採用理由は攻略君である。
レイナさんは驚いていたがそれはそうだろう。
ごく狭い範囲の効果に限定されるが、手軽に魔法を使えるアイディア装備は我がことながら画期的だった。
そして今回は初使用という事もあって浦島先輩の得意属性に寄せているが、やろうと思えば自分の得意属性でなくても一定の効果を発揮できるアイテムの可能性は無限大である。
「こんなもんでいいの?」
「はい。ダイジョブです。後は地面を乾燥させたいので、これ穴の中に張っといてください」
「なにこれ? また魔術文字?」
「そう。熱の魔法ですよ。1階で捕って来た豚肉は僕が積んでおくんで」
「えーこれおいしいでござるよ?」
「まぁ大物を釣るための餌だから。終わったら今回の獲物を見に行こう。レイナさんはここで待機してて。すぐに追い込んでくるから!」
「心得ました!」
レイナさんは何が起きるのか期待に胸を膨らませている様子だが、今回の狩りもかなりおいしいはずだ。
ただ、一つ懸念もあって、それは実際見てみないとわからない事だった。
「か、かわいぃー」
まず声を上げたのはかわいい動物好きの浦島先輩である。
普段割とハスキーボイスな先輩が歓声を上げると中々ギャップがあるが、そう言いたくなる気持ちもわかる。
ものすごい数ひしめいている黒い奴らはどう見てもペンギンにしか見えないからだ。
愛くるしいフォルムが水族館でも大人気なアイツは、今は氷の大地の上でみっちりくっついて立っていた。
「あれがダンジョンペンギンですよ。今回のターゲットです」
「えぇ……アレがターゲットかぁ……なんていうか、こんな深い階層なのに平和な感じね」
「分かったでござる! 階層の割に楽に倒せるから狙い目なんでござるな!」
閃いたと声を上げる桃山君だが、僕はいやいやと首を横に振った。
「あいつらは……弱くないよ」
聞いた話、あいつらは相当に厄介なモンスターだ。
丁度いいところにバサバサと飛んでやってきたのは巨大な鳥のモンスターだった。
しかし鳥がペンギン達のテリトリーに入った瞬間、ペンギン達は一斉に水に包まれてゆく。
「え?」
とたん地面から発射されるのは水流に包まれたペンギン達である。
すさまじい速さで飛んで行くペンギン水流ジェットはとんでもない威力と数で、巨大な鳥を穴だらけにして撃ち落としてしまった。
ほぼ一瞬でバラバラになった鳥を見れば、その威力の高さがよくわかる。
青くなった浦島先輩と桃山君に、僕は頷いて言った。
「あれがあいつらの能力です。水を纏っての体当たりはまるでミサイルのそれですよ。必ず群れで行動するアイツらのテリトリーに入った瞬間、水のミサイルで狙い撃ちってわけです。そして……」
撃ち落とした巨大鳥は墜落した瞬間、ペンギンに群がられてあっという間に骨になってしまった。
「あいつらは常に腹ペこで、肉食なんですねぇ……」
「うえぇ……」
ダンジョンペンギンは決して狙われるだけの獲物ではない。
むしろ群れで愚かにもテリトリーを犯す外敵を集団で狩る恐ろしいハンターだ。
「まぁだからこそ……都合がいいんですけど」
「……ちょっと。なにするつもりでござるか?」
「……今回の目的はレベリングだから」
僕はスッと右手を構えると、警戒の気配。
浦島先輩と桃山君は心得たもので、例の穴のポイントにわき目も降らずダッシュした。
「じゃあいこうか」
よーいと魔力を手のひらに集中。ドンと放つと、水流ミサイルは群れの数だけ放たれた。
「うおおおおおおお!」
「ぐおおおおおおお!」
「ぬあああああああ!」
空を泳ぐペンギンを見たことがあるだろうか?
それはパッと見、とても夢のある光景だが、今それが僕らを狙ってすさまじい数が飛んできていたら悪夢か何かの類だろう。
僕らに出来ることはただただゴールに向けてダッシュすることだけだった。
ドッカンドッカン氷山を爆砕しながら飛んでくるそいつらから逃げるのは、それだけで度胸を試された。
「……先行するでござる!」
「頼んだ! 今回挑発は使えない! 穴の近くまで行ったら、勝手に引き付けられるはず!」
「心得た!」
まず桃山君は空中に煙球を放り投げる。
本来それは逃走のために使う目くらましだが、今回は僕と浦島先輩離脱のためのものだった。
煙の中から一人、桃山君は飛び出す。
さすがスピード特化の忍者経験者。
グンと一気に加速した桃山君は赤い残像を残しながらレベルの違う疾走を見せた。
「伏せて!」
「……!!」
僕と浦島先輩はいったん離脱してその様子を見ていたが、次々降り注ぐミサイルをかいくぐる桃山君はアクションスターも真っ青な動きを披露していた。
だがそんな強力無比なそいつらの狙いはすぐに逸れる。
なぜならこいつらはみんないつだって腹ペコだからだ。
次々水流ミサイルが着弾したのは、全て肉が置いてある穴の中である。
みっちりと穴の中に詰まり、程よく焼けた肉を喰らい尽くすダンジョンペンギンは、中に放り込んだお肉に夢中だった。
僕らはその様子を急いで確認しに行って、ゴクリと喉を鳴らした。
「おおお……全弾命中でござるな」
「で、でもあれ食べ終わったら次はこっちの番じゃない?」
「いや。それは大丈夫ですよ。もうあいつらはここから出られない」
だがトラップに飛び込んだのなら、もはや勝ち確定だ。
カラカラに乾いた地面と、熱の魔法陣はあいつらの武器をあっという間に蒸発させてしまっていた。
「念入りに乾燥させてますんで。あいつらは周囲の水を操って水流を作ってるんですよ。氷やら海やらだとやりたい放題ですが、今はただの肉食ペンギン。たった2メートルの穴も抜け出せない飛べない鳥ってやつです」
肉を食べ終え、しきりに羽根をバタつかせているペンギンは、もはやまな板の上にいるのと大差ない。
「そしてここに水風船に入れて来た油を投げ込んで……」
「あ、油!?」
「今回もまたえげつない感じでござるなぁ」
「後は魔法で火の玉でも投げ込んだらレベルアップです、さぁ先輩火をお願いします」
そう振ると、ジッと穴の中でみっちり詰まっているペンギンを見ていた浦島先輩は悲痛な表情を浮かべて首を横に振った。
「だ、ダメ。わ、私にはできない……! だってあんなに可愛いのに!」
「かわいくないですよ先輩! あいつらペンギンのフリしたミサイルです!」
「ミサイルでもペンギンでしょお!?」
「モンスターでござるよ! 肉食っぷりがペンギンじゃ無かったでござる!」
「ノーマルペンギンだって魚食べるんだから肉食でしょお!?」
「先輩がダメだ! 桃山君! 行くぞ!」
「……仕方がないでござる。ええい! ペンギンぐらい我が刀の錆びにして見せるでござる!」
獲物を構え、狩りに行こうとしたのだが一斉にペンギンがこっちを向く。
ぐぅ、かわいい。
一瞬手が止まってしまったが、その時ギターの旋律が轟いて、情け容赦ない雷撃の一撃が穴を直撃した。
「イヤッハー! なるほどさすがマスターワタヌキ! この効率は半端ないです! 革命的です!」
ジャカジャカギターをかき鳴らすレイナさんは最高にハイって感じだった。
そして雷属性の全体攻撃はペンギン特効だ。
「ん? どうしましたか?」
「……いや。ナイスゥー」
「……あっぱれでござるぅー」
「……ああうん。なんの問題もないよぅー」
「? あ、まだ生きてるのいますね! もう一発行きます!」
ズドンと先ほどとは比較にならない一撃は、最初の一撃分の経験値でレイナさんのレベルが大幅に上がった証拠だ。
情け容赦が一切なくなった追撃は、ダンジョンペンギンを一掃して僕らのレベルも総じて上がる。
ああうん。予想通りここの経験値はバカウマだった。
「……じゃあ僕らも頑張んないと」
「……そうでござる。レイナさん一人に任せたらダメでござるな」
「……ぐぅ。そうね、そうだった」
「ひゃっほー! 力が溢れてきます!」
レイナさんは人生初の急激なレベルアップでテンションが壊れている。
まぁそれでなくても高レベルの無抵抗なモンスターを一撃で葬り去るのはそれはそれでテンションが上がりそうではあった。
うーむ、僕も何か遠くから一掃出来る魔法、覚えようかな?
あの可愛いのを近くで見るのがまずいんだ。この先心理的に揺さぶってくる敵の事も考慮しないと。
想像だが攻略君はその辺り配慮してくれない予感はあった。
だがペンギンを選んだのは他でもないこの僕だ。
レベルアップしに来たのならこんなことじゃいけない。
倒すどころか素材を集めて食べてみるくらいの気概を見せないとまずいまである。
「……そういえばペンギンっておいしいのかな?」
「え!……マジかー」
「味が……気になるんでござるね?」
「気になりませんか? 味?」
信じられねぇ!って顔で見られたがやっぱり気になるじゃん?
どっちの気持ちも僕の中から零れ落ちた本物だって思うんだよ僕は。
鳥のモンスターが警戒対象である階層の中で、ここではレベル違いの寒さと体温を奪う海風にも警戒を強いられる。
だから防寒は必須なのだが……この展開に一番落ち込む、というか泣いているのは桃山君だった。
「ウッウッウッウッ……ひどいでござるよ。何で最初が厚着必須の階層なんでござるか? せっかく衣裳を作ったのに」
「……正直すまんかった。でもここがちょうどいいんだよ。うん……まずここに穴を掘るよ。だいたい2mくらいの深さで」
指定した地点は氷ではなく地面のある場所で、それなりの広さがある。
そして穴を掘るのは僕でもいいが、今回は新兵器を使ってもらうことにした。
「では浦島先輩よろしくお願いします!」
「おー? やっちゃうー? 仕方がないなぁ」
楽し気な声を上げた浦島先輩は、手元のスイッチを押してフルフェイスヘルメットに光の文字を灯した。
その文字は魔法文字。
そして目で文字を追って魔力を流すと、一定の効果のある魔法が発動する。
「この辺り全部?」
「かなり広くて大丈夫です」
「心得た! ホイ!」
軽い声の後ズズンと地面を揺らして大きな穴を空けたのは、そのままズバリ落とし穴を掘る魔法である。
「なんですこれ!?」
「落とし穴を掘る魔法……だそうでござる」
「落とし穴限定ですか?」
「そう。何でもワタヌキ氏曰く、落とし穴はトラップの原点にして頂点だとか」
まぁ、地形を強制的にえぐるとかめちゃくちゃ役立つだろうなって思ってる。
採用理由は攻略君である。
レイナさんは驚いていたがそれはそうだろう。
ごく狭い範囲の効果に限定されるが、手軽に魔法を使えるアイディア装備は我がことながら画期的だった。
そして今回は初使用という事もあって浦島先輩の得意属性に寄せているが、やろうと思えば自分の得意属性でなくても一定の効果を発揮できるアイテムの可能性は無限大である。
「こんなもんでいいの?」
「はい。ダイジョブです。後は地面を乾燥させたいので、これ穴の中に張っといてください」
「なにこれ? また魔術文字?」
「そう。熱の魔法ですよ。1階で捕って来た豚肉は僕が積んでおくんで」
「えーこれおいしいでござるよ?」
「まぁ大物を釣るための餌だから。終わったら今回の獲物を見に行こう。レイナさんはここで待機してて。すぐに追い込んでくるから!」
「心得ました!」
レイナさんは何が起きるのか期待に胸を膨らませている様子だが、今回の狩りもかなりおいしいはずだ。
ただ、一つ懸念もあって、それは実際見てみないとわからない事だった。
「か、かわいぃー」
まず声を上げたのはかわいい動物好きの浦島先輩である。
普段割とハスキーボイスな先輩が歓声を上げると中々ギャップがあるが、そう言いたくなる気持ちもわかる。
ものすごい数ひしめいている黒い奴らはどう見てもペンギンにしか見えないからだ。
愛くるしいフォルムが水族館でも大人気なアイツは、今は氷の大地の上でみっちりくっついて立っていた。
「あれがダンジョンペンギンですよ。今回のターゲットです」
「えぇ……アレがターゲットかぁ……なんていうか、こんな深い階層なのに平和な感じね」
「分かったでござる! 階層の割に楽に倒せるから狙い目なんでござるな!」
閃いたと声を上げる桃山君だが、僕はいやいやと首を横に振った。
「あいつらは……弱くないよ」
聞いた話、あいつらは相当に厄介なモンスターだ。
丁度いいところにバサバサと飛んでやってきたのは巨大な鳥のモンスターだった。
しかし鳥がペンギン達のテリトリーに入った瞬間、ペンギン達は一斉に水に包まれてゆく。
「え?」
とたん地面から発射されるのは水流に包まれたペンギン達である。
すさまじい速さで飛んで行くペンギン水流ジェットはとんでもない威力と数で、巨大な鳥を穴だらけにして撃ち落としてしまった。
ほぼ一瞬でバラバラになった鳥を見れば、その威力の高さがよくわかる。
青くなった浦島先輩と桃山君に、僕は頷いて言った。
「あれがあいつらの能力です。水を纏っての体当たりはまるでミサイルのそれですよ。必ず群れで行動するアイツらのテリトリーに入った瞬間、水のミサイルで狙い撃ちってわけです。そして……」
撃ち落とした巨大鳥は墜落した瞬間、ペンギンに群がられてあっという間に骨になってしまった。
「あいつらは常に腹ペこで、肉食なんですねぇ……」
「うえぇ……」
ダンジョンペンギンは決して狙われるだけの獲物ではない。
むしろ群れで愚かにもテリトリーを犯す外敵を集団で狩る恐ろしいハンターだ。
「まぁだからこそ……都合がいいんですけど」
「……ちょっと。なにするつもりでござるか?」
「……今回の目的はレベリングだから」
僕はスッと右手を構えると、警戒の気配。
浦島先輩と桃山君は心得たもので、例の穴のポイントにわき目も降らずダッシュした。
「じゃあいこうか」
よーいと魔力を手のひらに集中。ドンと放つと、水流ミサイルは群れの数だけ放たれた。
「うおおおおおおお!」
「ぐおおおおおおお!」
「ぬあああああああ!」
空を泳ぐペンギンを見たことがあるだろうか?
それはパッと見、とても夢のある光景だが、今それが僕らを狙ってすさまじい数が飛んできていたら悪夢か何かの類だろう。
僕らに出来ることはただただゴールに向けてダッシュすることだけだった。
ドッカンドッカン氷山を爆砕しながら飛んでくるそいつらから逃げるのは、それだけで度胸を試された。
「……先行するでござる!」
「頼んだ! 今回挑発は使えない! 穴の近くまで行ったら、勝手に引き付けられるはず!」
「心得た!」
まず桃山君は空中に煙球を放り投げる。
本来それは逃走のために使う目くらましだが、今回は僕と浦島先輩離脱のためのものだった。
煙の中から一人、桃山君は飛び出す。
さすがスピード特化の忍者経験者。
グンと一気に加速した桃山君は赤い残像を残しながらレベルの違う疾走を見せた。
「伏せて!」
「……!!」
僕と浦島先輩はいったん離脱してその様子を見ていたが、次々降り注ぐミサイルをかいくぐる桃山君はアクションスターも真っ青な動きを披露していた。
だがそんな強力無比なそいつらの狙いはすぐに逸れる。
なぜならこいつらはみんないつだって腹ペコだからだ。
次々水流ミサイルが着弾したのは、全て肉が置いてある穴の中である。
みっちりと穴の中に詰まり、程よく焼けた肉を喰らい尽くすダンジョンペンギンは、中に放り込んだお肉に夢中だった。
僕らはその様子を急いで確認しに行って、ゴクリと喉を鳴らした。
「おおお……全弾命中でござるな」
「で、でもあれ食べ終わったら次はこっちの番じゃない?」
「いや。それは大丈夫ですよ。もうあいつらはここから出られない」
だがトラップに飛び込んだのなら、もはや勝ち確定だ。
カラカラに乾いた地面と、熱の魔法陣はあいつらの武器をあっという間に蒸発させてしまっていた。
「念入りに乾燥させてますんで。あいつらは周囲の水を操って水流を作ってるんですよ。氷やら海やらだとやりたい放題ですが、今はただの肉食ペンギン。たった2メートルの穴も抜け出せない飛べない鳥ってやつです」
肉を食べ終え、しきりに羽根をバタつかせているペンギンは、もはやまな板の上にいるのと大差ない。
「そしてここに水風船に入れて来た油を投げ込んで……」
「あ、油!?」
「今回もまたえげつない感じでござるなぁ」
「後は魔法で火の玉でも投げ込んだらレベルアップです、さぁ先輩火をお願いします」
そう振ると、ジッと穴の中でみっちり詰まっているペンギンを見ていた浦島先輩は悲痛な表情を浮かべて首を横に振った。
「だ、ダメ。わ、私にはできない……! だってあんなに可愛いのに!」
「かわいくないですよ先輩! あいつらペンギンのフリしたミサイルです!」
「ミサイルでもペンギンでしょお!?」
「モンスターでござるよ! 肉食っぷりがペンギンじゃ無かったでござる!」
「ノーマルペンギンだって魚食べるんだから肉食でしょお!?」
「先輩がダメだ! 桃山君! 行くぞ!」
「……仕方がないでござる。ええい! ペンギンぐらい我が刀の錆びにして見せるでござる!」
獲物を構え、狩りに行こうとしたのだが一斉にペンギンがこっちを向く。
ぐぅ、かわいい。
一瞬手が止まってしまったが、その時ギターの旋律が轟いて、情け容赦ない雷撃の一撃が穴を直撃した。
「イヤッハー! なるほどさすがマスターワタヌキ! この効率は半端ないです! 革命的です!」
ジャカジャカギターをかき鳴らすレイナさんは最高にハイって感じだった。
そして雷属性の全体攻撃はペンギン特効だ。
「ん? どうしましたか?」
「……いや。ナイスゥー」
「……あっぱれでござるぅー」
「……ああうん。なんの問題もないよぅー」
「? あ、まだ生きてるのいますね! もう一発行きます!」
ズドンと先ほどとは比較にならない一撃は、最初の一撃分の経験値でレイナさんのレベルが大幅に上がった証拠だ。
情け容赦が一切なくなった追撃は、ダンジョンペンギンを一掃して僕らのレベルも総じて上がる。
ああうん。予想通りここの経験値はバカウマだった。
「……じゃあ僕らも頑張んないと」
「……そうでござる。レイナさん一人に任せたらダメでござるな」
「……ぐぅ。そうね、そうだった」
「ひゃっほー! 力が溢れてきます!」
レイナさんは人生初の急激なレベルアップでテンションが壊れている。
まぁそれでなくても高レベルの無抵抗なモンスターを一撃で葬り去るのはそれはそれでテンションが上がりそうではあった。
うーむ、僕も何か遠くから一掃出来る魔法、覚えようかな?
あの可愛いのを近くで見るのがまずいんだ。この先心理的に揺さぶってくる敵の事も考慮しないと。
想像だが攻略君はその辺り配慮してくれない予感はあった。
だがペンギンを選んだのは他でもないこの僕だ。
レベルアップしに来たのならこんなことじゃいけない。
倒すどころか素材を集めて食べてみるくらいの気概を見せないとまずいまである。
「……そういえばペンギンっておいしいのかな?」
「え!……マジかー」
「味が……気になるんでござるね?」
「気になりませんか? 味?」
信じられねぇ!って顔で見られたがやっぱり気になるじゃん?
どっちの気持ちも僕の中から零れ落ちた本物だって思うんだよ僕は。
30
あなたにおすすめの小説
異世界帰りの英雄は理不尽な現代でそこそこ無双する〜やりすぎはいかんよ、やりすぎは〜
mitsuzoエンターテインメンツ
ファンタジー
<これからは「週一投稿(できれば毎週土曜日9:00)」または「不定期投稿」となります>
「異世界から元の世界に戻るとレベルはリセットされる」⋯⋯そう女神に告げられるも「それでも元の世界で自分の人生を取り戻したい」と言って一から出直すつもりで元の世界に戻った結城タケル。
死ぬ前の時間軸——5年前の高校2年生の、あの事故現場に戻ったタケル。そこはダンジョンのある現代。タケルはダンジョン探索者《シーカー》になるべくダンジョン養成講座を受け、初心者養成ダンジョンに入る。
レベル1ではスライム1匹にさえ苦戦するという貧弱さであるにも関わらず、最悪なことに2匹のゴブリンに遭遇するタケル。
絶望の中、タケルは「どうにかしなければ⋯⋯」と必死の中、ステータスをおもむろに開く。それはただの悪あがきのようなものだったが、
「え?、何だ⋯⋯これ?」
これは、異世界に転移し魔王を倒した勇者が、ダンジョンのある現代に戻っていろいろとやらかしていく物語である。
鬼死回生~酒呑童子の異世界転生冒険記~
今田勝手
ファンタジー
平安時代の日本で魑魅魍魎を束ねた最強の鬼「酒呑童子」。
大江山で討伐されたその鬼は、死の間際「人に生まれ変わりたい」と願った。
目が覚めた彼が見たのは、平安京とは全く異なる世界で……。
これは、鬼が人間を目指す更生の物語である、のかもしれない。
※本作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ネオページ」でも同時連載中です。
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
俺の召喚獣だけレベルアップする
摂政
ファンタジー
【第10章、始動!!】ダンジョンが現れた、現代社会のお話
主人公の冴島渉は、友人の誘いに乗って、冒険者登録を行った
しかし、彼が神から与えられたのは、一生レベルアップしない召喚獣を用いて戦う【召喚士】という力だった
それでも、渉は召喚獣を使って、見事、ダンジョンのボスを撃破する
そして、彼が得たのは----召喚獣をレベルアップさせる能力だった
この世界で唯一、召喚獣をレベルアップさせられる渉
神から与えられた制約で、人間とパーティーを組めない彼は、誰にも知られることがないまま、どんどん強くなっていく……
※召喚獣や魔物などについて、『おーぷん2ちゃんねる:にゅー速VIP』にて『おーぷん民でまじめにファンタジー世界を作ろう』で作られた世界観……というか、モンスターを一部使用して書きました!!
内容を纏めたwikiもありますので、お暇な時に一読していただければ更に楽しめるかもしれません?
https://www65.atwiki.jp/opfan/pages/1.html
この世界にダンジョンが現れたようです ~チートな武器とスキルと魔法と従魔と仲間達と共に世界最強となる~
仮実谷 望
ファンタジー
主人公の増宮拓朗(ましみやたくろう)は20歳のニートである。
祖父母の家に居候している中、毎日の日課の自宅の蔵の確認を行う過程で謎の黒い穴を見つける。
試にその黒い穴に入ると謎の空間に到達する。
拓朗はその空間がダンジョンだと確信して興奮した。
さっそく蔵にある武器と防具で装備を整えてダンジョンに入ることになるのだが……
暫くするとこの世界には異変が起きていた。
謎の怪物が現れて人を襲っているなどの目撃例が出ているようだ。
謎の黒い穴に入った若者が行方不明になったなどの事例も出ている。
そのころ拓朗は知ってか知らずか着実にレベルを上げて世界最強の探索者になっていた。
その後モンスターが街に現れるようになったら、狐の仮面を被りモンスターを退治しないといけないと奮起する。
その過程で他にもダンジョンで女子高生と出会いダンジョンの攻略を進め成長していく。
様々な登場人物が織りなす群像劇です。
主人公以外の視点も書くのでそこをご了承ください。
その後、七星家の七星ナナナと虹咲家の虹咲ナナカとの出会いが拓朗を成長させるきっかけになる。
ユキトとの出会いの中、拓朗は成長する。
タクロウは立派なヒーローとして覚醒する。
その後どんな敵が来ようとも敵を押しのける。倒す。そんな無敵のヒーロー稲荷仮面が活躍するヒーロー路線物も描いていきたいです。
最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~
華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』
たったこの一言から、すべてが始まった。
ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。
そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。
それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。
ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。
スキルとは祝福か、呪いか……
ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!!
主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。
ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。
ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。
しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。
一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。
途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。
その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。
そして、世界存亡の危機。
全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した……
※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。
《カクヨム様で15000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う
なべぞう
ファンタジー
ダンジョンが生まれて百年。
スキルを持つ人々がダンジョンに挑む世界で、
ソラは非戦闘系スキル《アイテムボックス》しか持たない三流シーカーだった。
弱さゆえに仲間から切り捨てられ、三十五歳となった今では、
満身創痍で生きるだけで精一杯の日々を送っていた。
そんなソラをただ一匹だけ慕ってくれたのは――
拾ってきた野良の黒猫“クロ”。
だが命の灯が消えかけた夜、
その黒猫は正体を現す。
クロは世界に十人しか存在しない“祝福”を与える存在――
しかも九つの祝福を生んだ天使と悪魔を封印した“第十の祝福者”だった。
力を失われ、語ることすら封じられたクロは、
復讐を果たすための契約者を探していた。
クロは瀕死のソラと契約し、
彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。
唯一のスキル《アイテムボックス》。
そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、
弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。
だがその裏で、
クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、
復讐の道を静かに歩み始めていた。
これは――
“最弱”と“最凶”が手を取り合い、
未来をやり直す物語
日本国 召喚獣管理省 関東庁 召喚獣総合事案即応科。
wakaba1890
ファンタジー
召喚獣。
それは向こう側とされる所から、10歳を迎えた日本人の子供の下に召喚されるモンスターのことである。
初代天皇・神武天皇が日本を建国した際に書かれた絵画には彼は金鵄と呼ばれる金色に輝く鵄(とび)と契約したのが原初となっている。
そして、縄文、弥生、古墳、飛鳥、平安、戦国時代から近代から今に至るまで、時代を動かしてきた人物の側には確かに召喚獣は介在していた。
また、奇妙な事に、日本国に限り、齢10歳を迎えた日本在住の日本人にのみ体のどこかから多種多様な紋章が発現し、当人が念じると任意の場所から召喚陣が現れ、人ならざるモンスターを召喚される。
そして、彼らモンスターは主人である当人や心を許した者に対して忠実であった。
そのため、古来の日本から、彼ら召喚獣は農耕、治水、土木、科学技術、エネルギー、政治、経済、金融、戦争など国家の基盤となる柱から、ありとあらゆる分野において、今日に至るまで日本国とアジアの繁栄に寄与してきた。
そして、建国から今まで、国益の基盤たる彼ら数万種類以上をも及ぶ召喚獣を取り締まり管理し、2600年以上と脈々と受け継がれてきた名誉ある国家職がーーーーー国家召喚獣管理官である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる