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第65話ネクロマンサーの解放条件
「……生臭い」
解毒後、ただ焼いてみたペンギン肉はなんとも言えない独特の臭みが口の中でグニグニしている感じだった。
「おいおいホントに食ってるよこの男……」
浦島先輩はやはり若干引き気味だったが、こればかりは譲れない。
「試してみないと何とも言えないでしょ? でも……だいぶん臭みがきついです」
「そんなものかな? ああ、でもうちのワカンダ君食べたら殺すから」
「しませんよ! 僕を何だと思ってるんですか!」
「……今のところ『恐怖! ペンギンイーター』? なんらかの法に触れそう」
「……ダンジョンペンギンは食べても法には触れませんよたぶん」
これはよく調理の方法も考えなければならないか。
さすがに本物のペンギンは食べたことがないから、現実の方を参考にすることも出来ないというのは中々にハードルが高い。
レイナさんはダンジョンペンギン肉を齧っている僕を見て、一つ話を思い出したようだ。
「本物のペンギンも、大昔は食べるより油をとるのに使われていたって聞きました」
「へー。じゃあダンジョンペンギンもそんな感じなのかなぁ」
油か。という事はこの独特の臭みも脂の臭さという事かな?
僕はダンジョンにも色々なモンスターがいるもんだなと感心してしまった。
さて僕らは何度かダンジョンペンギン狩りを実行し、休憩中だった。
焚火を囲み談笑する僕らは手に入れた経験値のおかげで、みんなホクホク笑顔である。
まぁ僕らにしてもようやく大変おいしい狩りになったわけだが、ペンギン達に撃ち込んだ魔法の分、ジョブの熟練度が急上昇したレイナさんはさぞ大喜びしているかと思いきや、今度は打ちひしがれていた。
「どうしたの?」
「冷静になってみると、こんな……こんな簡単にスキルがジャブジャブと……おかしいじゃないですか」
「ねー。おかしいよね?」
「普通はいくら魔法を撃ち込んでも倒せないんでござるよね?」
「このペンギン一匹一匹が鉄巨人を瞬殺出来るっぽいし、順当なのでは?」
「「「そんなに強いの!?」」」
「強いって言ってるじゃないですか」
ただ今回のレベル上げは相当状況を整えなきゃいけないし、前の階層でのレベル上げよりお手軽感は低めだと感じる僕はかなり贅沢な自覚があった。
「でも、レイナさんはいきなり高レベルに行き過ぎたかもね。まだ10階くらいでも十分熟練度を荒稼ぎ出来たのに、レベルが上がりすぎると低層で熟練度を稼げなくなっちゃう」
今唯一レイナさんだけが下級職なのだが、このレベル差で熟練度を集めてしまうとあっという間にカンストしてしまうのだからうま味半減かもしれない。
「そうですか? 魔法使いのジョブはビックリするほど育ちましたよ? それで貰ったメモ書き通り、色んなジョブが解放されました」
まぁパラメーターは恐ろしく上がったはず。
だからこそ解放されたジョブは上級職も余裕で含まれていることだろう。
「ああ、出て来たんだ。それで? どんなビルドにするか決めた?」
みんなと同様に、彼女にお勧めのビルドを示したメモ書きは一応前もって渡してある。
その中から希望を決めておくように伝えていたが、レイナさんはすでに候補を決めていたようだった。
「はい! ワタシは―――ネクロマンサーにしようと思います!」
だが質問にはつらつと答えるレイナさんは、また困難な選択をしたものだと僕は目を丸くした。
「……ネクロマンサーか」
「ダメですか?」
「ダメじゃないけど……ちょっと難易度高いよ?」
「それでも……それでもやらねばならないと魂が叫ぶのです!」
グッとシルバーアクセサリーの輝く拳を握るレイナさんの目は熱い情熱で燃え上がっていて、ネクロマンサーという字面に魅せられているようである。
こういうの好きそうだなーとは思ったが、ものすごく欲望に忠実にビルドを決めたものだった。
そして……まぁそういうの僕らは大好物である。
「でもまだネクロマンサーは出てないんです。なんでですか?」
「それは……ネクロマンサーも解放には特殊な条件があるからだね」
「条件ですか?」
「そう……その条件は悪魔系の階層で魔導書を手に入れる事。……このダンジョンだと60階から先ってことになる。スケルトンにゾンビや悪魔、変わり種だとサキュバスやらインキュバスやら……そういうモンスターが山ほど出てくる危険地帯ですな」
しかも現状攻略済みの階層よりさらに攻略を進めなければならないというのも高難易度なポイントである。
しかし……ちょっと僕はしゃべりすぎたようだ。
今出したワードはサブカル同好会メンバーの琴線に触れすぎた。
浦島先輩とレイナさんは僕の話を聞いたとたん、ガタリと立ち上がって叫んだ。
「悪魔のサキュバスだとぉ!? そんな素敵フロアが存在するのか!」
「ゾンビ! ゾンビ出ますか!? スケルトンまで!?」
「……でも結構危ないと思いますよ?」
「一向にかまわん!」
「絶対攻略待ったなしです!」
「……まぁそうなりますかね」
「……わかっててやったでござるな? ワタヌキ氏」
「いやまぁ。興味あるかな? とは思ったけど、こんなに食いつきがいいとは……」
確かに喜んでは欲しかったのだが、ちょっとだけでも以前の常識を思い出して欲しい。
ただ正直僕自身も、今更あの少しずつ攻略していくスタイルがピンとくるかというとそんなこともないのだから慣れというのは恐ろしいものだ。
「じゃあとりあえず……僕、60階に一回行ってきますよ」
ひとまず60階で守護者を倒してセーブしてこなければ始まらない。
ただ今回はいったんここで待ったがかかった。
「ちょっと待ってください。せっかくですから……今度はみんなで行きましょう!」
レイナさんがそんな提案をしてきたのだ。
ただこれには少々僕は難色を示さない訳にはいかなかった。
解毒後、ただ焼いてみたペンギン肉はなんとも言えない独特の臭みが口の中でグニグニしている感じだった。
「おいおいホントに食ってるよこの男……」
浦島先輩はやはり若干引き気味だったが、こればかりは譲れない。
「試してみないと何とも言えないでしょ? でも……だいぶん臭みがきついです」
「そんなものかな? ああ、でもうちのワカンダ君食べたら殺すから」
「しませんよ! 僕を何だと思ってるんですか!」
「……今のところ『恐怖! ペンギンイーター』? なんらかの法に触れそう」
「……ダンジョンペンギンは食べても法には触れませんよたぶん」
これはよく調理の方法も考えなければならないか。
さすがに本物のペンギンは食べたことがないから、現実の方を参考にすることも出来ないというのは中々にハードルが高い。
レイナさんはダンジョンペンギン肉を齧っている僕を見て、一つ話を思い出したようだ。
「本物のペンギンも、大昔は食べるより油をとるのに使われていたって聞きました」
「へー。じゃあダンジョンペンギンもそんな感じなのかなぁ」
油か。という事はこの独特の臭みも脂の臭さという事かな?
僕はダンジョンにも色々なモンスターがいるもんだなと感心してしまった。
さて僕らは何度かダンジョンペンギン狩りを実行し、休憩中だった。
焚火を囲み談笑する僕らは手に入れた経験値のおかげで、みんなホクホク笑顔である。
まぁ僕らにしてもようやく大変おいしい狩りになったわけだが、ペンギン達に撃ち込んだ魔法の分、ジョブの熟練度が急上昇したレイナさんはさぞ大喜びしているかと思いきや、今度は打ちひしがれていた。
「どうしたの?」
「冷静になってみると、こんな……こんな簡単にスキルがジャブジャブと……おかしいじゃないですか」
「ねー。おかしいよね?」
「普通はいくら魔法を撃ち込んでも倒せないんでござるよね?」
「このペンギン一匹一匹が鉄巨人を瞬殺出来るっぽいし、順当なのでは?」
「「「そんなに強いの!?」」」
「強いって言ってるじゃないですか」
ただ今回のレベル上げは相当状況を整えなきゃいけないし、前の階層でのレベル上げよりお手軽感は低めだと感じる僕はかなり贅沢な自覚があった。
「でも、レイナさんはいきなり高レベルに行き過ぎたかもね。まだ10階くらいでも十分熟練度を荒稼ぎ出来たのに、レベルが上がりすぎると低層で熟練度を稼げなくなっちゃう」
今唯一レイナさんだけが下級職なのだが、このレベル差で熟練度を集めてしまうとあっという間にカンストしてしまうのだからうま味半減かもしれない。
「そうですか? 魔法使いのジョブはビックリするほど育ちましたよ? それで貰ったメモ書き通り、色んなジョブが解放されました」
まぁパラメーターは恐ろしく上がったはず。
だからこそ解放されたジョブは上級職も余裕で含まれていることだろう。
「ああ、出て来たんだ。それで? どんなビルドにするか決めた?」
みんなと同様に、彼女にお勧めのビルドを示したメモ書きは一応前もって渡してある。
その中から希望を決めておくように伝えていたが、レイナさんはすでに候補を決めていたようだった。
「はい! ワタシは―――ネクロマンサーにしようと思います!」
だが質問にはつらつと答えるレイナさんは、また困難な選択をしたものだと僕は目を丸くした。
「……ネクロマンサーか」
「ダメですか?」
「ダメじゃないけど……ちょっと難易度高いよ?」
「それでも……それでもやらねばならないと魂が叫ぶのです!」
グッとシルバーアクセサリーの輝く拳を握るレイナさんの目は熱い情熱で燃え上がっていて、ネクロマンサーという字面に魅せられているようである。
こういうの好きそうだなーとは思ったが、ものすごく欲望に忠実にビルドを決めたものだった。
そして……まぁそういうの僕らは大好物である。
「でもまだネクロマンサーは出てないんです。なんでですか?」
「それは……ネクロマンサーも解放には特殊な条件があるからだね」
「条件ですか?」
「そう……その条件は悪魔系の階層で魔導書を手に入れる事。……このダンジョンだと60階から先ってことになる。スケルトンにゾンビや悪魔、変わり種だとサキュバスやらインキュバスやら……そういうモンスターが山ほど出てくる危険地帯ですな」
しかも現状攻略済みの階層よりさらに攻略を進めなければならないというのも高難易度なポイントである。
しかし……ちょっと僕はしゃべりすぎたようだ。
今出したワードはサブカル同好会メンバーの琴線に触れすぎた。
浦島先輩とレイナさんは僕の話を聞いたとたん、ガタリと立ち上がって叫んだ。
「悪魔のサキュバスだとぉ!? そんな素敵フロアが存在するのか!」
「ゾンビ! ゾンビ出ますか!? スケルトンまで!?」
「……でも結構危ないと思いますよ?」
「一向にかまわん!」
「絶対攻略待ったなしです!」
「……まぁそうなりますかね」
「……わかっててやったでござるな? ワタヌキ氏」
「いやまぁ。興味あるかな? とは思ったけど、こんなに食いつきがいいとは……」
確かに喜んでは欲しかったのだが、ちょっとだけでも以前の常識を思い出して欲しい。
ただ正直僕自身も、今更あの少しずつ攻略していくスタイルがピンとくるかというとそんなこともないのだから慣れというのは恐ろしいものだ。
「じゃあとりあえず……僕、60階に一回行ってきますよ」
ひとまず60階で守護者を倒してセーブしてこなければ始まらない。
ただ今回はいったんここで待ったがかかった。
「ちょっと待ってください。せっかくですから……今度はみんなで行きましょう!」
レイナさんがそんな提案をしてきたのだ。
ただこれには少々僕は難色を示さない訳にはいかなかった。
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