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第76話桃山君の相談
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こちらに歩いてくる桃山君に手を振ってみると、彼も手を上げて応えた。
「桃山君、お疲れー」
「あーお疲れ様でござる。もうみんな来てるんでござるか?」
「もうみんな集まってるよ。っていうか店がすごいことになってた」
「店がすごいことに? 前も十分すごかったと思うんでござるが?」
答えながら歩いて来る桃山君は、近づくにつれてどうにも生傷が多いことに気がついて僕は何気なく訊ねていた。
「ひょっとして桃山君、もうダンジョン行ってた?」
「……実は。ちょっと回ってきていたでござるよ」
「いや、流石に階層深いところはソロじゃ危ないよ? 声かけてくれればよかったのに」
「……そうでござるな」
何やら思い悩んでいる空気を感じる。
そして口に出すか躊躇っていた桃山君は何やら思いつめたような顔で言った。
「あの! 少し話を聞いてもらってもいいでござるか?」
「? いいよ? 今中は盛り上がってるからね」
「? かたじけない」
桃山君の話は、彼の実家の話だった。
うっすらと古武術の道場をやっているという話は聞いていたが、そういう家で育ったことで桃山君も強さに対して特別な思い入れがあるらしい。
「うちは7人兄弟で、拙者は末っ子なんでござるが、拙者は兄弟に比べて優秀ではなかったんでござる。自分なりに頑張っていたんでござるけど全然で……いつの間にか諦めていたんでござるよ」
「うーん。桃山君の動きはすごかったけど、あれでもダメなの?」
「ダメなんでござるよね。でも、ワタヌキ殿が誘ってくれてからは違っていて、毎日強くなってる実感があって、こう……道場で稽古に励んでいた時の情熱みたいなものが戻って来た気がしていて……」
照れくさそうに桃山君は頭を掻く。
僕としてもそう言ってもらえると、気が楽になるというものだった。
「まぁ確かに。僕も最近は強くなってきてる実感がすごい」
ちょっとやりすぎかも?っと思っているくらいなのだが、桃山君のように元々武道に身を置いていた人からしたら、何らかの起爆剤になってしまうのもわからない話ではなかった。
そして桃山君はグッと表情に力を入れて、どこか決心したように僕に言った。
「恥を忍んで言う。これはチャンスだと思うんだ。だから限界まで強くなりたい。でも思い付きでやったって、すぐ死ぬのはわかってるんだ。だから……調子のいい話だとは思うんだけど、ダンジョンでどうやったら今より強くなれるか、考えを聞かせてもらえないだろうか?」
口調まで崩れてしまった、というか整ってしまった桃山君に僕はなんとも複雑な気分になった。
なんか桃山君にも色々あるんだなって感じだ。
しかしそんなに肩に力を入れないでも、もっと気楽に話をしてほしいものだった。
「……桃山氏、口調が普通でござるよ?」
「うぬ……まぁ思わずでござる」
「うんそうそう。いつものしゃべりの方がいいって。全然そっちでも僕は力を貸すよ。だって僕の時は君は力を貸してくれただろう?」
「……ワタヌキ殿」
「しかし……問題は、もう今の時点で出来る限りの力を貸してるってことなんだよね」
レベルを急上昇させて、そのために必要なビルドも紹介している。
言ってしまえば、今の桃山君は出会った時よりはるかに強い状態だ。
いやそれどころか、今の彼に勝てる人間がどれくらいいるのかって話である。
「逆に聞くけど、どの辺が足りてないと思う?」
「……それは色々あるでござるが。一番は先日悪魔との戦いでのワタヌキ殿の一撃を見たからでござろうか?」
「僕?」
「頭が青く燃え上がったと思ったら、凄い一撃を放ったでござろう? 正直背筋が震えたでござる」
「ああー……なるほどねぇ」
やべぇ。切り札使ったのバレてたか。
確かに、いきなり十倍のパラメーターで動き始めたら、実力を隠していた感じになるだろう。
実際隠していたんだが、まぁあれは隠しておくことに意味がある類の力だから勘弁してほしい。
「他にも、今までなぞるだけだった流派の型や、武器の使い方を拙者なりに実戦に落とし込めていないとか……あとは拙者も同好会で役に立ちたいんでござるよ」
「それならすでに役に立ってくれてると思うけど。そうだなぁ……」
今の話を聞いて僕はどうすればいいと思う? と攻略君に聞いてみた。
すると攻略君は中々面白い情報を出してきた。
『なら侍にだけ発現する裏スキルを試してみては?』
「……侍だけの裏スキル?」
ああこれ、絶対死ぬ目に合うやつだと僕はその瞬間悟った。
「何でござるかそれ!?」
「あっ」
しまった口に出しちゃった。
これは言わない訳にはいかないが、攻略君曰くそれは習得がとても大変なようだ。
「えーと、習得は大変だけど……やる?」
「願ってもない! よろしく頼むでござる!」
深々と頭を下げる桃山君に引くつもりはないらしい。
僕としても友人から頭を下げられるのはすごく居心地が悪かった。
軽くため息を吐き、僕はまず最初に言うべきことを伝えることにした。
「なら先に言っておくけど……たぶん桃山君、場合によっては何回も死ぬよ? それでもやる?」
「……なんですと?」
しかしそれを聞いた桃山君は完全に意表を突かれた顔をしていた。
「桃山君、お疲れー」
「あーお疲れ様でござる。もうみんな来てるんでござるか?」
「もうみんな集まってるよ。っていうか店がすごいことになってた」
「店がすごいことに? 前も十分すごかったと思うんでござるが?」
答えながら歩いて来る桃山君は、近づくにつれてどうにも生傷が多いことに気がついて僕は何気なく訊ねていた。
「ひょっとして桃山君、もうダンジョン行ってた?」
「……実は。ちょっと回ってきていたでござるよ」
「いや、流石に階層深いところはソロじゃ危ないよ? 声かけてくれればよかったのに」
「……そうでござるな」
何やら思い悩んでいる空気を感じる。
そして口に出すか躊躇っていた桃山君は何やら思いつめたような顔で言った。
「あの! 少し話を聞いてもらってもいいでござるか?」
「? いいよ? 今中は盛り上がってるからね」
「? かたじけない」
桃山君の話は、彼の実家の話だった。
うっすらと古武術の道場をやっているという話は聞いていたが、そういう家で育ったことで桃山君も強さに対して特別な思い入れがあるらしい。
「うちは7人兄弟で、拙者は末っ子なんでござるが、拙者は兄弟に比べて優秀ではなかったんでござる。自分なりに頑張っていたんでござるけど全然で……いつの間にか諦めていたんでござるよ」
「うーん。桃山君の動きはすごかったけど、あれでもダメなの?」
「ダメなんでござるよね。でも、ワタヌキ殿が誘ってくれてからは違っていて、毎日強くなってる実感があって、こう……道場で稽古に励んでいた時の情熱みたいなものが戻って来た気がしていて……」
照れくさそうに桃山君は頭を掻く。
僕としてもそう言ってもらえると、気が楽になるというものだった。
「まぁ確かに。僕も最近は強くなってきてる実感がすごい」
ちょっとやりすぎかも?っと思っているくらいなのだが、桃山君のように元々武道に身を置いていた人からしたら、何らかの起爆剤になってしまうのもわからない話ではなかった。
そして桃山君はグッと表情に力を入れて、どこか決心したように僕に言った。
「恥を忍んで言う。これはチャンスだと思うんだ。だから限界まで強くなりたい。でも思い付きでやったって、すぐ死ぬのはわかってるんだ。だから……調子のいい話だとは思うんだけど、ダンジョンでどうやったら今より強くなれるか、考えを聞かせてもらえないだろうか?」
口調まで崩れてしまった、というか整ってしまった桃山君に僕はなんとも複雑な気分になった。
なんか桃山君にも色々あるんだなって感じだ。
しかしそんなに肩に力を入れないでも、もっと気楽に話をしてほしいものだった。
「……桃山氏、口調が普通でござるよ?」
「うぬ……まぁ思わずでござる」
「うんそうそう。いつものしゃべりの方がいいって。全然そっちでも僕は力を貸すよ。だって僕の時は君は力を貸してくれただろう?」
「……ワタヌキ殿」
「しかし……問題は、もう今の時点で出来る限りの力を貸してるってことなんだよね」
レベルを急上昇させて、そのために必要なビルドも紹介している。
言ってしまえば、今の桃山君は出会った時よりはるかに強い状態だ。
いやそれどころか、今の彼に勝てる人間がどれくらいいるのかって話である。
「逆に聞くけど、どの辺が足りてないと思う?」
「……それは色々あるでござるが。一番は先日悪魔との戦いでのワタヌキ殿の一撃を見たからでござろうか?」
「僕?」
「頭が青く燃え上がったと思ったら、凄い一撃を放ったでござろう? 正直背筋が震えたでござる」
「ああー……なるほどねぇ」
やべぇ。切り札使ったのバレてたか。
確かに、いきなり十倍のパラメーターで動き始めたら、実力を隠していた感じになるだろう。
実際隠していたんだが、まぁあれは隠しておくことに意味がある類の力だから勘弁してほしい。
「他にも、今までなぞるだけだった流派の型や、武器の使い方を拙者なりに実戦に落とし込めていないとか……あとは拙者も同好会で役に立ちたいんでござるよ」
「それならすでに役に立ってくれてると思うけど。そうだなぁ……」
今の話を聞いて僕はどうすればいいと思う? と攻略君に聞いてみた。
すると攻略君は中々面白い情報を出してきた。
『なら侍にだけ発現する裏スキルを試してみては?』
「……侍だけの裏スキル?」
ああこれ、絶対死ぬ目に合うやつだと僕はその瞬間悟った。
「何でござるかそれ!?」
「あっ」
しまった口に出しちゃった。
これは言わない訳にはいかないが、攻略君曰くそれは習得がとても大変なようだ。
「えーと、習得は大変だけど……やる?」
「願ってもない! よろしく頼むでござる!」
深々と頭を下げる桃山君に引くつもりはないらしい。
僕としても友人から頭を下げられるのはすごく居心地が悪かった。
軽くため息を吐き、僕はまず最初に言うべきことを伝えることにした。
「なら先に言っておくけど……たぶん桃山君、場合によっては何回も死ぬよ? それでもやる?」
「……なんですと?」
しかしそれを聞いた桃山君は完全に意表を突かれた顔をしていた。
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