ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち

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第87話ぶっちゃけた後の話し合い

 八坂生徒会長と浦島先輩が、拠点で向かい合っている。

「……」

「……」

 セーフエリアの拠点は部外者お断りの話し合いにもってこいではあるのだが、今は喫茶店とは思えないほど緊迫感が増していた。

 しかしこの二人は学生とは思えない妙な迫力があるなぁ。

 特に腕を組んでソファーの背にもたれている浦島先輩は、とてもサブカルチャー同好会の部長とは思えなかった。

「というわけで―――私達の秘密の一部を公開したわけだけど……満足してもらえたかな?」

 だが頭を抱えた八坂生徒会長は、疑問を口にする。

「……なぜ明かそうと思った?」

「当然、私達は同じ趣味である限り、来る者は拒まないからよ。それぞれどんな事情があったとしても、誰でも自由に楽しめるのがサブカルチャーってものでしょう? いくらでも遊び方もあるのに、一緒に遊びたいって部員を見捨てちゃ遊びの流儀に反するわい」

「全く……どんなこだわりだ?」

「ちなみに全く趣味に興味ない陽キャだったら、問答無用で叩き出すわ!」

「……拒むんじゃないか。しかも間口は結構狭いな実は? だが……君達の状況は理解できないが、良く分かった」

 八坂生徒会長は苦々しい表情を浮かべていたが、頷く。

 そして脇にいた如月副会長は、無表情のままメガネを輝かせ言った。

「実は私もアニメとか好きなの……同好会に入部できない?」

「おい。それはさすがに許可しないからな」

「……残念」

 如月先輩という人は実は一番抜け目がない人なのかもしれない。

 この状況でぶっこんでくるとは、レイナさんに通じる行動力の人だった。

「ちょっと本気だっただろうお前? まったく……しかしトーレスさんがこの同好会に所属するのは対外的に問題があると理解してくれ。……まぁ言ってしまえば外聞が悪い。それはトーレスさんにとってもためにならないと……私は思う」

「つまり……どうしろと?」

 浦島先輩が眉を顰めると、八坂生徒会長はきっぱり言った。

「せめて部に昇格してくれ」

「あー……なるほどぉ?」

 でも同好会が部に昇格って結構大変だと聞く。

 条件は学校ごとに違うのだろうが、浦島先輩の顔を見るとこの学校でも簡単なことではないみたいだ。

 ただ、やって見せろというよりはむしろ積極的に部にしたいのは、八坂先輩の方のようだった。

「部員の数は4人でもいい。後は顧問の先生と……部にふさわしい実績を証明してくれたら、こちらで何とかしよう」

「またかぁ……実績を証明ってどうするのさ?」

「何でもいいさ。何かしらの大会に出て上位入賞でもできれば申し分ないが……ボランティアやら研究発表やら、とにかく部として活動していますと学校側にアピールできる材料が欲しい」

「……ポーションじゃ足りない?」

「足りない」

「うーむ……この間サブカル同好会でどう世間にアピールすりゃいいのよって話したばっかりなんだよなぁ。結局この同好会って、生徒のガス抜きのためにあるわけよ」

「そう言えてしまう割り切りっぷりもすごいな。だがそうだとしても君達はサブカルチャー同好会のメンバーである前に、ダンジョン探索者専門学校の生徒でもある。現時点でアプローチする方法はそちらの方が現実的じゃないか?」

「そうだねぇ……」

 浦島先輩は天井を仰ぎ見る。だがこれは難しいところだと僕は思った。

 現在までの攻略情報を開示すれば、サブカルチャー同好会は十分に活動的な同好会として認めてもらうことが出来るかもしれない。

 しかしレイナさんの所属くらいでこうもトラブルが続くと、どの程度学校と情報を共有するかは、慎重に考えたくもなってしまうだろう。

 まぁ攻略情報なんて全部公開してしまえば、生徒会でも出来てしまうことはある。

 そうなったら、レイナさんがサブカル同好会にいる意味もなくなって、問題は振り出しに戻りそうだ。

「……よし、わかったやってみるわ」

 結局浦島先輩は承諾した。

 返事を聞いた八坂生徒会長は、まぁ気楽にやれと苦笑いを浮かべていた。

「期待してるよ。まぁ今日のを見た感じ、いけそうな気もするが……」

 チラリと桃山君を見る八坂生徒会長は、ずいぶんと期待の重そうな視線を桃山君に送っているけど、本人は分かっていなさそうだった。

 そして二人の話を聞いて、レイナさんは待ち構えていたかのように力強く手を上げ言った。

「はい! そういう事なら活動に最適のイベント、ワタシ予定あります!」

「「?」」

 ちなみに、僕はレイナさんの主張に心当たりは全くない。

 しかし有名な探索者である彼女の提案ともなると、これは期待できると思ってしまった僕は単純である。

 浦島先輩も、今のところ成果らしい成果の具体的なプランはなかったようで、別の問題を解決することにしたらしい。

「……なら、顧問の方は私が何とかするよ。ちょっと心当たりがある」

 そうあっさり言ってのけた浦島先輩はやたら頼もしい。

 こんなことをやれと言われて即やれる事を思いつけるのは素直にすごいと思う。

 僕もなんにもわからないけれど、やれるだけ頑張ってみよう。

 なに、僕の無茶ぶりに比べたら大抵のことは実現可能だろうと思うと、申し訳ないやら気合が入るやらいろんな感情が頭をよぎるけれども、多少の無茶ぶりなら僕だって少しは対応できるはずだった。
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