ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち

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第102話こわー

「マジで間に合わせて来た……」

 ”ライブ放送見てるで!”

 っという手紙と共に送って来たアームを見て、僕はかなり驚いた。

 若干驚きを通り越して呆れるまであるが……しかし僕はしっかりとそれを受け取る。

 運送業の方に受け取りサインもばっちりだ。

 これは恥ずかしいところは見せられないってことだね。

 錬金術で最後の調整を施して、試作品アーム一号は僕の腕として完全に機能した。

 左手の巨大ラウンドシールドはダンジョン金属ヒヒイロカネ製。

 そして一番の目玉であるパイルバンカーの杭の一部にもそれは使われている。

「……よし行こう」

 準備は万端。

 今日は学校から、龍宮院先生が車を出してくれる約束を律儀にも守ってくれるようだった。



 朝一番に会場にたどり着くと、すでに専用の会場入り口には長蛇の列が出来上がり、花火の音が空に響いていた。

 安請け合いした龍宮院先生はしかしとんでもなく間抜けな顔で当日を迎えることになった。

「……えぇ? 本当に?」

「もちろんです! ようこそダンジョンエキスポへってところですね!」

 会場に到着するとレイナさんの案内に従って、一般の入場者とは違う方向へ進む。

 そしてレイナさんはスタッフの人に何やら確認すると、更に奥に案内された。

「ワタシ達は裏から入るみたいです。急ぎましょう」

「おお、並ばなくていいんだ」

「……うう、緊張してきたでござるな。胃薬持ってないでござるか?」

「……場違い感がすごい」

「さぁ行きましょう! これからが本番です!」

 しかしあの人が沢山いる雰囲気を感じてもものともしないレイナさんは慣れている感じで流石だった。

 だがスタッフの人の案内で僕らが控室の前にたどり着き、さあ中に入ろうというそんなタイミングで、タッタッタと軽快な足音が聞こえて来た。

 音に反応して振り向くと、そこには金髪碧眼の女の子が全力ダッシュでこっちに向かって来ているところだった。

 ダッシュからのジャンプはタックルのようだったが、それをレイナさんは流れるように受け止める。

 ここからはちょっと英語で何言ってるかわかんなかったけど。


「レイナ!」

「ミア! 来てたんですか!」

「そうなの! 今回のエキシビジョン、相手は私達よ!」

「そうなんだ!」

「ブランクがあるからって手加減しないけど、逃げたりしないわよね?」

「ブランク? 何のことです?」

「留学の事! 遊びに行ってるようなものでしょ? 本国で一線で戦ってる私達とは、もうずいぶん差がついてると思うけど?」

「ふーむ……それはどうですかね? ミアと戦えるのは嬉しいけど……ちょっと悲しい」

「なんでよ?」

「あっという間に終わってしまうかもしれないわ―――それじゃあ傷つくでしょう?」

「……へぇ。言うじゃない。じゃあ手加減の必要はないってことね?」

「もちろんです。殺す気で来ないと一瞬ですよ?」



「「フッフッフッフッ……」」

 コワーイ。なんかめっちゃ笑っていらっしゃる。

 だけど僕にはどこか圧迫感があるのは絶対気のせいじゃないという確信があった。

「……控室、先に入ってようか?」

 僕がそう言うと今度は僕がヘイ! と呼び止められる。

 嫌な予感は当たっていて、自分と同じくらいの身長のミアというらしい女の子は僕の前にやってきて英語で何か言うと、トンと胸を突かれた。

 言いたいことを言い終えたらしく満足そうに手を振ってミアは帰っていく。

 ドキドキする自分の胸を押さえて僕は呟いた。

「こわー……なにー?」

「ゴメンね、ワタヌキ。彼女は故郷でライバルだったの、今回の対戦相手なんだって」

「あ、そうなの? それで彼女は何て?」

「……ちょっと恥ずかしいですね。君みたいな貧弱なボーヤがレイナの隣に立てるのか確かめてあげるって。彼女ちょっとオーバーなんです」

 恥ずかしそうに直訳して頬に手を当てているレイナさんはやたら楽しそうだ。

「まぁでもワタシも隣に立つ人間は選びます。マスターワタヌキは胸を張って立っててください」

「えぇー……過大評価も甚だしいよ? 足を引っ張らないように頑張るけれども」

「またまた! マスターのすごいとこ見せてください!」

 期待が重いレイナさんだが、しかしどうなんだろう?

 隣どころか、ここにいる事にも場違い感があるんだけど?

 勝ち負けに関わらず、これほど悪目立ちしているとは思わなかった。

 主に精神的に最後まで立っていられるのか? 切実にそれが問題だけど、目立つなんて未知の行動はやり慣れていない運動をするようなものだ。

 僕としてはメンタルケアの心配はことが終わってから、ゆっくりやっていくつもりだった。
感想 3

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