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第109話ダンジョンは人を変える
ダンジョンという場所は、大なり小なり中に入ると人生が変わるような体験があるものだ。
そして僕の行うダンジョンアタックは、特に衝撃が強いのは自覚するところだった。
天使の階層から引き上げて、僕らは一端拠点に戻る。
やはり誰かと一緒に深い層に潜ると気疲れするなと、僕も龍宮院先生も疲れの滲んだため息を吐いたのは、カフェにたどり着いて席に着いた瞬間だった。
龍宮院先生の第一声はしかし僕が思ったよりも意識が高かった。
「なんというか……守られてばかりのダンジョンアタックというのは、屈辱的だね……」
「戦ってないですけどね」
「そういえば……そうだった。……ずいぶん危険なことをしているように感じるけど、何時もなのかな?」
「……慣れるとそうでもないんですよ? コツがあるんです」
「それだけじゃ説明できないこともありそうだけど?」
「全部説明したりはしませんよ。知ってることしか知りませんし」
ただし真似をしても出来ないと思うけど。
不審そうな先生の視線は、何も理不尽なものじゃない。
しばし龍宮院先生と視線でけん制し合ったが、彼女は諦めて肩をすくめていた。
「……わかった。なにか生き残れる算段があるならいい……というかないとここまで思い切ったことは出来ないか」
「そうですねぇ。僕って奴はかなり臆病な人間なので」
「……実際、どうなんだろう? 浦島さんがすべての秘密を握っていて、君はやらされてるってことはないだろうか?」
「浦島先輩に対する不信感が強いですねぇ……いい人ですよ? ちょっと強引なところはありますけど」
「それは……とてもそう思うな」
僕らは今度は、お互いに笑いあった。
ああ、そっちの線も疑っていたか。
経緯を考えたら無理もない。
おそらく真の黒幕がいるとすれば僕なんだろうけどとは絶対言えないが、そのうち察して欲しいところだった。
「でも先輩が先生を誘ったのは、たぶん本当に先生と仲良くしたかったってこともあると思いますよ?」
「……そうかな?」
「ええ。浦島先輩が誘ったってことは、先生もなにか趣味が僕らに近いところがあるんですよね?」
「……え? なんでそう思うの?」
龍宮院先生からは即真顔で聞かれたが、そこは僕らにも当てはまるラインがある。
実際、このサブカル同好会はきちんと趣味が合うかどうかは厳格だ。
その辺り浦島先輩の嗅覚は鋭く、部室目当てだったり、不当な理由で入って来る部員はすべて弾かれる。
まぁ元々入ろうとする人間もほぼいないけどそれはそれだ。
という事はスカウトまでされた龍宮院先生が、先生という立場が例外でないのならかなりの逸材である可能性はかなり高い。
しかし指摘した時の絶望的な龍宮院先生の表情は蒼白に近かった。
「……ノーコメントでいいかな?」
「いいですけど……浦島先輩はそこの所きっちりしてますから、隠しても意味ないですよ?」
「なら、ここだけの話ってことにしておいて……」
「……今どき普通の趣味だと思うんですけど?」
「私の時は違ったんだ! だからくれぐれも学校では秘密で頼むよ?」
「……分かりました」
趣味との付き合い方は人それぞれだ、そこは強制すべきところじゃない。
僕だって今回のアタックで深追いしてほしくないところはあるのだから、お相子だとしておこう。
だけど―――。
「ああ、甘い物を頼むよ。給仕は……そうだな、今日は〇〇さんが声優のキャラで頼む」
ケットシーの給仕にすぐさま注文した先生は、あまりにもなじんでいる気がするのだが?
というか、もはや隠す気があるのかは疑問だった。
……うん。この人もダンジョンに入って―――変わったのだろう。
そしてたぶんそれは自分でも思っても見ない方向であるのは間違いなかった。
「ところで、今日持って来たものは、どこで使うつもりなんだろう?」
「……部室になんて」「それは止めてくれ」
「えー」
かぶせ気味に即否定されてしまったが、じゃあどうしよう?
せっかく取って来たけど、どこに設置するかはまた考えないとまずそうだった。
そして僕の行うダンジョンアタックは、特に衝撃が強いのは自覚するところだった。
天使の階層から引き上げて、僕らは一端拠点に戻る。
やはり誰かと一緒に深い層に潜ると気疲れするなと、僕も龍宮院先生も疲れの滲んだため息を吐いたのは、カフェにたどり着いて席に着いた瞬間だった。
龍宮院先生の第一声はしかし僕が思ったよりも意識が高かった。
「なんというか……守られてばかりのダンジョンアタックというのは、屈辱的だね……」
「戦ってないですけどね」
「そういえば……そうだった。……ずいぶん危険なことをしているように感じるけど、何時もなのかな?」
「……慣れるとそうでもないんですよ? コツがあるんです」
「それだけじゃ説明できないこともありそうだけど?」
「全部説明したりはしませんよ。知ってることしか知りませんし」
ただし真似をしても出来ないと思うけど。
不審そうな先生の視線は、何も理不尽なものじゃない。
しばし龍宮院先生と視線でけん制し合ったが、彼女は諦めて肩をすくめていた。
「……わかった。なにか生き残れる算段があるならいい……というかないとここまで思い切ったことは出来ないか」
「そうですねぇ。僕って奴はかなり臆病な人間なので」
「……実際、どうなんだろう? 浦島さんがすべての秘密を握っていて、君はやらされてるってことはないだろうか?」
「浦島先輩に対する不信感が強いですねぇ……いい人ですよ? ちょっと強引なところはありますけど」
「それは……とてもそう思うな」
僕らは今度は、お互いに笑いあった。
ああ、そっちの線も疑っていたか。
経緯を考えたら無理もない。
おそらく真の黒幕がいるとすれば僕なんだろうけどとは絶対言えないが、そのうち察して欲しいところだった。
「でも先輩が先生を誘ったのは、たぶん本当に先生と仲良くしたかったってこともあると思いますよ?」
「……そうかな?」
「ええ。浦島先輩が誘ったってことは、先生もなにか趣味が僕らに近いところがあるんですよね?」
「……え? なんでそう思うの?」
龍宮院先生からは即真顔で聞かれたが、そこは僕らにも当てはまるラインがある。
実際、このサブカル同好会はきちんと趣味が合うかどうかは厳格だ。
その辺り浦島先輩の嗅覚は鋭く、部室目当てだったり、不当な理由で入って来る部員はすべて弾かれる。
まぁ元々入ろうとする人間もほぼいないけどそれはそれだ。
という事はスカウトまでされた龍宮院先生が、先生という立場が例外でないのならかなりの逸材である可能性はかなり高い。
しかし指摘した時の絶望的な龍宮院先生の表情は蒼白に近かった。
「……ノーコメントでいいかな?」
「いいですけど……浦島先輩はそこの所きっちりしてますから、隠しても意味ないですよ?」
「なら、ここだけの話ってことにしておいて……」
「……今どき普通の趣味だと思うんですけど?」
「私の時は違ったんだ! だからくれぐれも学校では秘密で頼むよ?」
「……分かりました」
趣味との付き合い方は人それぞれだ、そこは強制すべきところじゃない。
僕だって今回のアタックで深追いしてほしくないところはあるのだから、お相子だとしておこう。
だけど―――。
「ああ、甘い物を頼むよ。給仕は……そうだな、今日は〇〇さんが声優のキャラで頼む」
ケットシーの給仕にすぐさま注文した先生は、あまりにもなじんでいる気がするのだが?
というか、もはや隠す気があるのかは疑問だった。
……うん。この人もダンジョンに入って―――変わったのだろう。
そしてたぶんそれは自分でも思っても見ない方向であるのは間違いなかった。
「ところで、今日持って来たものは、どこで使うつもりなんだろう?」
「……部室になんて」「それは止めてくれ」
「えー」
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