ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち

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第122話ひとまずできた景色

 トラブルはあったが怪我人もなく、そして何より僕らは目的は達成した。

 頑張って作った柵の中には今、沢山のテイム済みモンスターがいて、想定していた通りの景色が広がっていた。

「モー」

「のどかだ……。牧場……できたな」

 いや……ホントにダンジョンとは思えないよ。

 まさかこんなにもうまくいくとは驚きだが、浦島先輩もこの光景にはずいぶん満足しているみたいで、マイカップになみなみと牛乳を汲んでうんむと頷いていた。

「これは完ぺきに牧場だねぇ。ミルクがうまいわ。いや……本当にうまいな。なにかがおかしいんじゃないかと思うくらいうまいわ」

 浦島先輩のコップに注がれた牛乳はまさに一番搾りの一杯である。

「……ちゃんと解呪はかけてますよね?」

「抜かりなしだよ。私も元々僧侶だからね。でも不思議だよ。何で解呪すると毒が無くなるんだろう?」

「ああ、それは毒の種類が呪毒ってやつだからですよ。魔力が変質して残るんです」

「あー……なるほど、理解した。よし、今は忘れましょう。いやーでもこれ売り物になるんじゃない? 濃厚だし、バターとかクリームとか色々作れそう。鶏っぽい奴もいるから、もういくつかなら完全ダンジョン産スイーツもできるんじゃない?」

 浦島先輩は呪毒という字面の禍々しさに思うところがあったようだが、今知らなかったことにした気配を感じた。

「できますね。本当にダンジョンでカフェ経営できそうになってきましたよ。後必要なのは客くらいのもんじゃないですか?」

 大抵牧場で併設しているカフェの乳製品はうまいものだ。

 できれば僕としては是非ともソフトクリームを作る機械を導入しておきたいところだった。

 ただ今後お客が来ることも考えてみたいところだが、浦島先輩はそれはしばらく無理だろうねと笑っていた。

「生徒の頑張り次第かなぁ……でもまぁ私達がゆっくりできるのが一番だから。それよりも冷蔵庫が必要だよ」

「冷蔵庫なんていらなくありません? 地下でも掘って、氷の精霊でも放り込んでおきましょうよ」

「……マジかよ。それでいいよ天才か?」

「よしてください。でもまぁカフェの中には欲しいですかね? そっちは頑張ります……」

 まだまだよくするアイディアはいろいろある。

 少し余裕ができた今なら、僕ももう少し楽しいことができそうな気がしていた。

 そんな僕を見て、浦島先輩は神妙な顔でうーむと大きく唸っていた。

「すごいなぁ。ワタヌキ君は何でもできるねぇ……うん。でもそうだよね。私らもやるべきだわ。猫カフェ作りもめちゃくちゃ楽しかったし」

「ちなみに先輩何か作りたいもの他にあります?」

 僕がそう尋ねると当然だと浦島先輩は頷いた。

「そりゃあるよ。せっかく部になっても、どうもサブカル研究会っぽいことは全然やってないしね。それにほら、私らいろいろワタヌキ君に教えてもらってるじゃない? でも今日さ、君の同級生が戦ってるところを見てて思ったんだよ。私ら改めてダンジョンの事何にも知らんかったんだなって」

「そうですか?」

「そんな感じしなかった? 人ごとではないというか……自分の姿がダブって見えたよねー……」

 浦島先輩は苦笑いを浮かべて、懐かしい自分を思い出しているようだった。

「うん。杖と盾持ってさ? うろうろしてた時を思い出すとぞっとするよ。あれで龍宮院先生みたいに30階まで潜ろうって人がいるとかマジかとか思っちゃう。でもさ? それってただ、いい方法を知ってるか知らないかの差でしかないんだよね」

「そうですねぇ」

「うん……今日みたいな攻略動画もっとあげるの協力するよ、私。浅い層の方が、需要あると思う。いや、需要っていうか、誰かの生存率上がりそうじゃん?」

 浦島先輩は利益も大事だけど、そういうのも大事だよねと笑う。

 僕は頷く。

 それに―――こうしてレベルが上がって、余裕がある時こそサブカルチャーは光るのだろう。

 今の浦島先輩と同じ……とはいい難いが、しかしやりがいが出てきたと感じるのは僕も同じ事だった。

「それに、クラフト系のサポジョブももっと覚えて……いや、私の場合、器用そうなやつ見繕って、覚えさせていくのも手かな?」

「……ん?」

 しかしいくら何でももしそれができるのならチートだなと思ったが、攻略君の返答は可能とのことだった。
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