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第125話新しいパターン
「えー要するにです。龍宮院先生はあと一個レベルが上がれば攻撃力、生命力の数値が一定値を満たすので、上級職へのジョブチェンジが可能です。魔闘士 聖闘士 力闘士が候補ですね。
魔闘士は生命力を魔力に変換して、魔法より初速の速い遠距離攻撃を放てるようになります。
聖闘士は打たれ強く、回復能力が特に高いです。
相手の攻撃から魔力を奪ったりダメージを攻撃力に変換したりとタメて攻撃するトリッキーさが売りです。
力闘士はそのままですね。パワーがあってシンプルに強い。現在の上位互換だと考えてください」
どれも単純にモンクよりも強くなるが、攻撃手段に少々癖があるから練習が必要になる。
「……今まで見つけられなかったのは?」
「たんにパラメーター不足でしょう。本来なら50くらいレベルがあれば、発見する人はいたんじゃないかと」
「……50かぁ」
だが今まではいなかった。
そして龍宮院先生もその水準には届いていなかったという事だ。
龍宮院先生はなるほどと納得した上で、ときめいた風に語り始めた。
「何だろう……実に心惹かれる。隠してもしょうがないから言うけど……私は“波”を撃つことに猛烈に憧れているんだよ」
それはとても浪漫にあふれている。僕はとても感銘を受けて、大いに頷いた。
「なるほど―――わかります」
「魔法も試したが、あれはタメが長すぎてね。接近戦と合わせるのが難しいんだ。こう……連射できたり、ここぞと言うところで魂を込めて撃ったりできたら―――最高だね。ここに来てその可能性があるのなら、手を伸ばさないと嘘だろう」
そこに異論をはさむ余地はない。
波と魔法は違うものだし、どっちも違ってどっちも良い。
だがこだわらないと味気ない物ではある。
運用上、役割の違う現状の魔法は近接戦闘と相性が悪いだろう。しかしこれから先生が覚えるスキルは接近戦に組み込んでこそ真価を発揮できるはずだった。
「では先生は魔闘士に最初になる感じですね」
「ああ、それで頼む。……最初ってなんだろう?」
細かいところに気がついた先生はしかし鋭かった。
僕らのやり方だとスキルは案外すぐに上がる。
そして魔闘士を含めた3つのジョブはスキルの育てやすさは破格なのだが、それには理由が存在した。
「ああ、最終的に全部取れたらいい感じだと思いますよ。スタイル変えられますし」
「……大変じゃないかな?」
もちろんそれでも大変だ。
しかし大変だとしてもやる理由は間違いなくある。
なぜならばその試練を乗り越えた先に新たな地平があるからだった。
「最終的に三種類のジョブのスキルをすべて覚えると王闘士にジョブチェンジできて、実質最上級ジョブみたいなことになるんですけど……どうしました?」
「それはすごい事じゃないか!?」
龍宮院先生がものすごく詰め寄って来たけど、まぁそれは毎度お馴染み前例のない攻略君情報だから詳しく言えないのはもどかしい。
「すごいことですけど前例がないですから。信じるかどうかはそれこそ先生の判断にゆだねます。僕が提供できるのは情報だけなんですよ」
「ソースは聞いても?」
「それは聞かないでおいてください。直感のようなものとだけ」
「直感か……なるほど」
「そうです。未熟者が語る前例のない眉唾な情報です。それでも貴女は信じてくれますか?」
「…………もちろんだ。ああ、もちろん信じるとも」
先生にも精神的葛藤が見て取れるけれども、失敗してもレベルだけは上げさせてあげたいところだった。
ただ、さっそくで申し訳ないが先生には良くない知らせもある。
僕は隠しているのも危険なので、包み隠さず計画を語った。
「ですが先生には覚悟をしておいてもらいたいです。次に僕らは久しぶりにレベリングに行こうと思います」
「好都合じゃないか」
龍宮院先生にしてみたら、実にタイミングのいい話である。
最近は、みんな戦闘のスタイルが確立して戦い方が洗練されてきた。
だが、狩場の関係上それぞれのレベル差が顕著に出始めるのは分かっていたことだった。
「そうなんですよ。でも今度のレベリングは……僕ら全員のレベルの差を減らすためのレベリングなんです。やっぱりスキルメインで動くと、レベルがばらけまして。深い階層の方がレベルは上がるんですよ」
だいたいその階層の深さがレベルの目安で、それ以上は頑張ってレベルを上げてもそんなに上がらない傾向にある。
経験値も途端に渋くなるのはきっと気のせいじゃない。
「だから、かなり深いところで全体の底上げをします。特に龍宮院先生と、ちょっとレベル低めの浦島先輩には負担を掛けると思いますからがんばってください」
「あ、ああ。ちなみに……どれくらいの深さに行くとかもう決めているのかな?」
ここに来て、不安そうに尋ねてくる龍宮院先生の怯え気味の視線に耐え切れずに、僕はスイッと目を逸らした。
「……90階オーバーは確実かなって」
「やめよう! 絶対やめた方がいい!」
「いやー。そんなに驚かなくても。もう先生だって90階は体験済みじゃないですかー」
「だから言ってるんだよ……アレよりやばいモンスターって……そりゃヤバいだろう? もっと手前でレベリングする気は?」
「……残念ながら」
「……なんでそんなに頑なになる必要があるの?」
いやいや僕もどうかとは思いますよ? というか正気じゃないとも思います。
でも僕には、いや、サブカルチャー研究部にはどうしても必要な鍵がこの先に眠っているようなのですよ。
そのために多少の冒険はしてみようと僕は考えていた。
魔闘士は生命力を魔力に変換して、魔法より初速の速い遠距離攻撃を放てるようになります。
聖闘士は打たれ強く、回復能力が特に高いです。
相手の攻撃から魔力を奪ったりダメージを攻撃力に変換したりとタメて攻撃するトリッキーさが売りです。
力闘士はそのままですね。パワーがあってシンプルに強い。現在の上位互換だと考えてください」
どれも単純にモンクよりも強くなるが、攻撃手段に少々癖があるから練習が必要になる。
「……今まで見つけられなかったのは?」
「たんにパラメーター不足でしょう。本来なら50くらいレベルがあれば、発見する人はいたんじゃないかと」
「……50かぁ」
だが今まではいなかった。
そして龍宮院先生もその水準には届いていなかったという事だ。
龍宮院先生はなるほどと納得した上で、ときめいた風に語り始めた。
「何だろう……実に心惹かれる。隠してもしょうがないから言うけど……私は“波”を撃つことに猛烈に憧れているんだよ」
それはとても浪漫にあふれている。僕はとても感銘を受けて、大いに頷いた。
「なるほど―――わかります」
「魔法も試したが、あれはタメが長すぎてね。接近戦と合わせるのが難しいんだ。こう……連射できたり、ここぞと言うところで魂を込めて撃ったりできたら―――最高だね。ここに来てその可能性があるのなら、手を伸ばさないと嘘だろう」
そこに異論をはさむ余地はない。
波と魔法は違うものだし、どっちも違ってどっちも良い。
だがこだわらないと味気ない物ではある。
運用上、役割の違う現状の魔法は近接戦闘と相性が悪いだろう。しかしこれから先生が覚えるスキルは接近戦に組み込んでこそ真価を発揮できるはずだった。
「では先生は魔闘士に最初になる感じですね」
「ああ、それで頼む。……最初ってなんだろう?」
細かいところに気がついた先生はしかし鋭かった。
僕らのやり方だとスキルは案外すぐに上がる。
そして魔闘士を含めた3つのジョブはスキルの育てやすさは破格なのだが、それには理由が存在した。
「ああ、最終的に全部取れたらいい感じだと思いますよ。スタイル変えられますし」
「……大変じゃないかな?」
もちろんそれでも大変だ。
しかし大変だとしてもやる理由は間違いなくある。
なぜならばその試練を乗り越えた先に新たな地平があるからだった。
「最終的に三種類のジョブのスキルをすべて覚えると王闘士にジョブチェンジできて、実質最上級ジョブみたいなことになるんですけど……どうしました?」
「それはすごい事じゃないか!?」
龍宮院先生がものすごく詰め寄って来たけど、まぁそれは毎度お馴染み前例のない攻略君情報だから詳しく言えないのはもどかしい。
「すごいことですけど前例がないですから。信じるかどうかはそれこそ先生の判断にゆだねます。僕が提供できるのは情報だけなんですよ」
「ソースは聞いても?」
「それは聞かないでおいてください。直感のようなものとだけ」
「直感か……なるほど」
「そうです。未熟者が語る前例のない眉唾な情報です。それでも貴女は信じてくれますか?」
「…………もちろんだ。ああ、もちろん信じるとも」
先生にも精神的葛藤が見て取れるけれども、失敗してもレベルだけは上げさせてあげたいところだった。
ただ、さっそくで申し訳ないが先生には良くない知らせもある。
僕は隠しているのも危険なので、包み隠さず計画を語った。
「ですが先生には覚悟をしておいてもらいたいです。次に僕らは久しぶりにレベリングに行こうと思います」
「好都合じゃないか」
龍宮院先生にしてみたら、実にタイミングのいい話である。
最近は、みんな戦闘のスタイルが確立して戦い方が洗練されてきた。
だが、狩場の関係上それぞれのレベル差が顕著に出始めるのは分かっていたことだった。
「そうなんですよ。でも今度のレベリングは……僕ら全員のレベルの差を減らすためのレベリングなんです。やっぱりスキルメインで動くと、レベルがばらけまして。深い階層の方がレベルは上がるんですよ」
だいたいその階層の深さがレベルの目安で、それ以上は頑張ってレベルを上げてもそんなに上がらない傾向にある。
経験値も途端に渋くなるのはきっと気のせいじゃない。
「だから、かなり深いところで全体の底上げをします。特に龍宮院先生と、ちょっとレベル低めの浦島先輩には負担を掛けると思いますからがんばってください」
「あ、ああ。ちなみに……どれくらいの深さに行くとかもう決めているのかな?」
ここに来て、不安そうに尋ねてくる龍宮院先生の怯え気味の視線に耐え切れずに、僕はスイッと目を逸らした。
「……90階オーバーは確実かなって」
「やめよう! 絶対やめた方がいい!」
「いやー。そんなに驚かなくても。もう先生だって90階は体験済みじゃないですかー」
「だから言ってるんだよ……アレよりやばいモンスターって……そりゃヤバいだろう? もっと手前でレベリングする気は?」
「……残念ながら」
「……なんでそんなに頑なになる必要があるの?」
いやいや僕もどうかとは思いますよ? というか正気じゃないとも思います。
でも僕には、いや、サブカルチャー研究部にはどうしても必要な鍵がこの先に眠っているようなのですよ。
そのために多少の冒険はしてみようと僕は考えていた。
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