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第138話思いもしないお客さん
さてカフェでネットが使えるようになったとなると事情が変わって来る。
つまるところ引っ越しの必要が出て来たと感じた僕らは部室にある荷物を少しばかり移動させることにした。
そういうわけで、僕と桃山君は部室でゲーム機を移動するために、バタバタと荷造りの真っ最中である。
今となっては、部室を守るためと奮闘していた日々が懐かしい。
環境が整いつつある今なら生徒会が変な気を起こしたって、気軽に部室を手放せてしまえそうだった。
「桃山君、据え置き機は全部持ってく?」
「そうでござるね。オタクシフトも正直移動が面倒だったでござるから、全部いっちゃって大丈夫なんじゃないでござるか?」
「ぶっちゃけるねぇ桃山氏」
ネットにつながるゲーム機と、パッケージで集めたソフトをアイテムボックスに詰め込めば、だいぶん部室もスッキリする。
こんなに広い部室は僕的に初体験だった。
「おー、いいね。ちょこっと広くなったんじゃない? でもこの部室はどうすんだろうね?」
「やっぱり応接室なんじゃないでござるか? 誰も彼もカフェに連れて行くわけにもいかんでござろう?」
「そうだねぇ。でも僕ここ好きなんだよね……別にダンジョンに行かなくてもここで十分だべれるし、いっそここに扉付けちゃおうか?」
僕がそう言うと桃山君は困惑顔で訊ねた。
「……そんなことできるんでござるか?」
「もちろんWi-Fi飛ばすより簡単だよ」
「ひゅー。もはやどこでもなんとかも真っ青でござるな!」
「おうともさ。まだまだ使い始めたばかりだから、うっかりギロチンになったらごめんね?」
「……それは勘弁でござる」
あながち冗談でもないのが怖いところだが、まぁ何とか練習して安全性の方は積極的に突き詰めていくとしよう。
部室の改造案は、まぁ少し落ち着いてからじっくりやるとして、もう少し部室を楽しもう。
ゲーム棚の他にもこの部室にはとにかくモノが多い。
探してみるともっと面白いものを発掘できそうな気配があるが、それは浦島先輩がいる時にでもじっくりとやった方がよさそうなくらいには魔境だった。
ひとまずざっくりと荷造りを終え、さてじゃあカフェに向かおうかと考えていたそんな時、絶妙なタイミングで部室の扉がノックされた。
おや、お客さんとは珍しい。
……いや、そういえばエキスポからこっち、騒がしいから雲隠れを決め込んでいたんだったか。
知らない先生とかだったらどうしようとドキドキしながら僕はそっと扉を開けると、扉の向こうには黒い髪を肩口で切りそろえた優しそうな印象の女生徒が一人立っていた。
「あのーすみません。こちらにワタヌキさんという方いらっしゃいますか?」
そして知らない女の子が呼んだのは、レイナさんとかではなく、なぜだか僕の名前である。
独特のイントネーションは関西の方だろうか? 制服を着ているから同じ学校だとは思うけど、まるで知らないことに変わりはなかった。
「ああ、僕がワタヌキですけど……」
一応正直に名乗ってみる。
一体何事何だろうと身構えていたが、彼女は嬉しそうに胸を撫でおろしていた。
「まぁ! そうなんですか! 良かった、お会いできて! 初めまして。私東雲と言います。よろしくお願いしますね」
だが彼女の名乗った苗字の響きに、僕は最近聞き覚えがあった。
「東雲さん? ……東雲さんっていうとひょっとしてパイルバンカーの?」
頭をよぎった心当たりを口にしてみると目の前の女の子は嬉しそうに微笑んでいた。
「はい! その東雲の娘で、東雲 蘭っていいます」
ああ、やっぱりあの社長さんの娘さん!
わざわざ探しに来てくれるとは、こいつは手間を掛けさせてしまったものだ。
そういう事なら完全に僕のお客さんである。
「ええっとじゃあ、立ち話もなんですから、中にどうぞ? 紅茶とコーヒーどっちがいい?」
「お構いなく。お邪魔しますね」
せっかく来てくれたので快く迎え入れて、オタクシフトではなく来客シフトを発動。
僕はこんなこともあろうかと用意していた各種おもてなしグッズをすぐさま引っ張り出してきて、準備を整えた。
つまるところ引っ越しの必要が出て来たと感じた僕らは部室にある荷物を少しばかり移動させることにした。
そういうわけで、僕と桃山君は部室でゲーム機を移動するために、バタバタと荷造りの真っ最中である。
今となっては、部室を守るためと奮闘していた日々が懐かしい。
環境が整いつつある今なら生徒会が変な気を起こしたって、気軽に部室を手放せてしまえそうだった。
「桃山君、据え置き機は全部持ってく?」
「そうでござるね。オタクシフトも正直移動が面倒だったでござるから、全部いっちゃって大丈夫なんじゃないでござるか?」
「ぶっちゃけるねぇ桃山氏」
ネットにつながるゲーム機と、パッケージで集めたソフトをアイテムボックスに詰め込めば、だいぶん部室もスッキリする。
こんなに広い部室は僕的に初体験だった。
「おー、いいね。ちょこっと広くなったんじゃない? でもこの部室はどうすんだろうね?」
「やっぱり応接室なんじゃないでござるか? 誰も彼もカフェに連れて行くわけにもいかんでござろう?」
「そうだねぇ。でも僕ここ好きなんだよね……別にダンジョンに行かなくてもここで十分だべれるし、いっそここに扉付けちゃおうか?」
僕がそう言うと桃山君は困惑顔で訊ねた。
「……そんなことできるんでござるか?」
「もちろんWi-Fi飛ばすより簡単だよ」
「ひゅー。もはやどこでもなんとかも真っ青でござるな!」
「おうともさ。まだまだ使い始めたばかりだから、うっかりギロチンになったらごめんね?」
「……それは勘弁でござる」
あながち冗談でもないのが怖いところだが、まぁ何とか練習して安全性の方は積極的に突き詰めていくとしよう。
部室の改造案は、まぁ少し落ち着いてからじっくりやるとして、もう少し部室を楽しもう。
ゲーム棚の他にもこの部室にはとにかくモノが多い。
探してみるともっと面白いものを発掘できそうな気配があるが、それは浦島先輩がいる時にでもじっくりとやった方がよさそうなくらいには魔境だった。
ひとまずざっくりと荷造りを終え、さてじゃあカフェに向かおうかと考えていたそんな時、絶妙なタイミングで部室の扉がノックされた。
おや、お客さんとは珍しい。
……いや、そういえばエキスポからこっち、騒がしいから雲隠れを決め込んでいたんだったか。
知らない先生とかだったらどうしようとドキドキしながら僕はそっと扉を開けると、扉の向こうには黒い髪を肩口で切りそろえた優しそうな印象の女生徒が一人立っていた。
「あのーすみません。こちらにワタヌキさんという方いらっしゃいますか?」
そして知らない女の子が呼んだのは、レイナさんとかではなく、なぜだか僕の名前である。
独特のイントネーションは関西の方だろうか? 制服を着ているから同じ学校だとは思うけど、まるで知らないことに変わりはなかった。
「ああ、僕がワタヌキですけど……」
一応正直に名乗ってみる。
一体何事何だろうと身構えていたが、彼女は嬉しそうに胸を撫でおろしていた。
「まぁ! そうなんですか! 良かった、お会いできて! 初めまして。私東雲と言います。よろしくお願いしますね」
だが彼女の名乗った苗字の響きに、僕は最近聞き覚えがあった。
「東雲さん? ……東雲さんっていうとひょっとしてパイルバンカーの?」
頭をよぎった心当たりを口にしてみると目の前の女の子は嬉しそうに微笑んでいた。
「はい! その東雲の娘で、東雲 蘭っていいます」
ああ、やっぱりあの社長さんの娘さん!
わざわざ探しに来てくれるとは、こいつは手間を掛けさせてしまったものだ。
そういう事なら完全に僕のお客さんである。
「ええっとじゃあ、立ち話もなんですから、中にどうぞ? 紅茶とコーヒーどっちがいい?」
「お構いなく。お邪魔しますね」
せっかく来てくれたので快く迎え入れて、オタクシフトではなく来客シフトを発動。
僕はこんなこともあろうかと用意していた各種おもてなしグッズをすぐさま引っ張り出してきて、準備を整えた。
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