ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち

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第152話一旦インターバル

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 トラブルはあったが、その場は一端解散となった。

 クールダウンはお互い必要そうだけど、正直何しに来たんだお前らと、そう思わないではなかった。

「なんなんですか! 正直これ以上無茶ぶりに応える義理はないです!」

 特にレイナさんがマズイ。

 ぷんすか怒ってなんだか体が帯電しているし、彼女の契約している精霊もその怒りを受け取って、ずいぶんと荒ぶっている様子である。

「っていうかホントに何しに来たの? カチコミなの?」

「……スマン」

 浦島先輩のツッコミに八坂生徒会長がションボリしている図はとても珍しい。

 ただし、別に喧嘩したいわけでもないのは双方同じだった。

 まずは浦島先輩が咳払いしながら八坂生徒会長に歩み寄る。

「えー……っと? とりあえず私共としては生徒会の皆さんに協力したいとは考えています。八坂さんもそうなんですね?」

「もちろんだ。しかし今となってはそうも言えないか……」

「そもそもなんでみんなで来たんですか? 生徒会長一人で来て、前もって話しておくことだってできそうなものだけど?」

「それはお前がダンジョンに潜ったまま上がってこないからだな。サブカル部で浦島以外の連絡先は知らないし。今日はワタヌキ君がダンジョンに入っていないようだったから直接話をしようと思ったら……何人かついて行くと言い出した」

「あー……入ダン記録見たんだ。そう言えば最近入り浸りだったわ」

 しまったなと頭を掻いた浦島先輩は恐々スマホを確認して、青くなっていた。

 入ダンとは、ダンジョン入場記録の事で誰でも確認することができる。

 本来は単純に生存確認のために戻ってきているのか調べるためのデータベースだった。

「いちおうメッセージは送っていたが返事もない。まぁ仕方なくというわけだ」

「それにしたって、あんまり険悪ならもうちょっとどうにかして欲しいんですけど?」

「……まぁなんだ。言ってしまえば我々は一年のエースを君達に引き抜かれた、そう考えているメンバーも多くてな」

「……ああ、レイナさんの話か。まだ尾を引いてる感じ?」

「引いてるな。ファンも多いから……」

 遠い目をする八坂生徒会長は、乾いた笑いを浮かべているところを見ると、だいぶん強火のファンは生徒会内部にも存在していたんだろうなって感じだった。

 まぁ有名人の宿命である。

「つまり……もめたから、一旦連れて来て丸投げしようとしたと?」

「……それは言い方が悪くないか?」

 八坂生徒会長は不服そうだったが、そばに控えていた如月副会長の方はここぞとばかりに沈黙を破って、補足した。

「……間違ってはいない。連れて行かないと収まらない感じだったから、さぁ言いたいことがあるなら言ってみろって感じ。どうかと思う」

「如月……お前って奴は容赦がないな」

「仕方がない。私達は自分達で話を進め過ぎた。彼らだって生徒のために頑張ってきた自負はある」

「……まぁな」

 それでも黙っていたらその結果として、レイナさんが生徒会を抜けたというのなら、納得いかないと思う生徒がいても無理はない。

 ただ本人の意思を完全に無視した圧力は気分のいい物じゃなかった。

「……だけど私は、今回は強行でも何でもすべきだと思う。サブカルチャー研究部とは仲よくするべき。そうじゃないと生徒会が取り残されかねない」

「……それで揉めても、リターンはあると?」

「そう。わかってるはず。彼らのノウハウを学べれば必ず今後に生かせるはず」

「……そうだな」

 なんというか、うちの学校の生徒会ってとても強い人達が集まっているとは思ってはいたけど、ずいぶんと僕らのために頑張ってくれている組織でもあるみたいだ。

 ただ浦島先輩は大変苦々しく笑っていた。

「なるほど? 内々で処理してくれてすごい助かってた私らが言えることじゃないけど……私ら超恨まれてるじゃん」

「そうなんだがな……しかし在学中の有力な探索者と、我々が繋がっていること自体は普通の事なんだぞ? 一線級の探索者の人手は常に足りない。ダンジョンが出現して、まだたった10年程度。真剣に探索している方々は当然現役だからな。戦える教職員の方はあまりにも少ない。連絡先だって把握して管理しているし、非常時は協力を要請する場合だってある。言い訳させてもらえば今話題のサブカルチャー同好会との合同ダンジョン探索だ、生徒会の業務として割り切ってくれると思っていたんだがな……」

「へーそうなんだ」

「その有力な探索者にお前も含まれているんだぞ? 浦島?」

「あ、連絡網に入ってる? 実力派探索者枠で?……何か意外だな」

「加わったのは最近だがな。実際どうなんだ? その……部に昇格してから調子の方は?」

「絶好調だと言わせていただきますよ? 動画見たんでしょ? サブカルチャーっぽくない?」

 さりげなくアピールしてくれる浦島先輩は素敵である。

 ただ、動画を見たであろう八坂生徒会長は、なんとも言えない反応で曖昧に言葉を選んでいるのが気になったが。

「……お前達の絶好調は……聞いててなんだか怖いな」

「いや、普通に顧問の先生とも仲良くやれてるし、攻略だって順調って意味合いの方が主だからね?」

「……そうだな。顧問は龍宮院先生だったか。あの人は私も尊敬している探索者の一人だよ。彼女のような人が、教師として招かれてくれたのは幸運だった。おそらく攻略の糸口になるような発想を求めての施策の一つというところなんだろうが、心強いよ。御迷惑をおかけするだろうから、今回の件も話しておくべきだろうな……」

「そうだね。レベリングって概念が私らのやつはそもそも珍しいんだよ。普通ならゲームじゃないんだからと一蹴されるんだろうけど……龍宮院先生なら大丈夫」

「……すでにお前達の毒が回っているのか?」

「毒て」

 心外だと渋い表情を浦島先輩は浮かべていたが、如月副会長も龍宮院先生に話を通すことは賛成のようだった。

「人気も実力もある先生。生徒会の他の後輩もひとまず口は狭めないはず」

「あとレイナさんと、ファイアーボールヘッドとガスマスク侍がいたら形は整うんじゃない? 実際の私らと、あのエキスポ実力者コスプレ集団が結びつかないのが問題なんでしょ? ひとまず実力者とゆかいな仲間達って体裁は整うはず」

「……そうだな。頼めるか?」

「もちろん。話すなら先生は今ダンジョンにいるはずだから、早い方がいいよ。そんなに時間もかからないから」

「分かった。では行こうか」

 トントンと進んでいく話に、僕は口もはさめない。

 ただ微妙な顔をしている僕に、如月副会長は一言。

「何か言いたそうな顔をしている。……どうぞ?」

「全然違う様で……浦島先輩と生徒会長ってなんか似てません?」

「……フフッ」

「「似てないよ」」

「「……」」

 似ている人たちはいつもそういうことを言うんだ。

 ひとまず声を揃えていては何の説得力もない。

 この人達は、こうやって丁寧に外堀から埋めていくんだろうなって思ったけど、僕も人のことは言えなかったか。 
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