ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち

文字の大きさ
152 / 257

第152話一旦インターバル

 トラブルはあったが、その場は一端解散となった。

 クールダウンはお互い必要そうだけど、正直何しに来たんだお前らと、そう思わないではなかった。

「なんなんですか! 正直これ以上無茶ぶりに応える義理はないです!」

 特にレイナさんがマズイ。

 ぷんすか怒ってなんだか体が帯電しているし、彼女の契約している精霊もその怒りを受け取って、ずいぶんと荒ぶっている様子である。

「っていうかホントに何しに来たの? カチコミなの?」

「……スマン」

 浦島先輩のツッコミに八坂生徒会長がションボリしている図はとても珍しい。

 ただし、別に喧嘩したいわけでもないのは双方同じだった。

 まずは浦島先輩が咳払いしながら八坂生徒会長に歩み寄る。

「えー……っと? とりあえず私共としては生徒会の皆さんに協力したいとは考えています。八坂さんもそうなんですね?」

「もちろんだ。しかし今となってはそうも言えないか……」

「そもそもなんでみんなで来たんですか? 生徒会長一人で来て、前もって話しておくことだってできそうなものだけど?」

「それはお前がダンジョンに潜ったまま上がってこないからだな。サブカル部で浦島以外の連絡先は知らないし。今日はワタヌキ君がダンジョンに入っていないようだったから直接話をしようと思ったら……何人かついて行くと言い出した」

「あー……入ダン記録見たんだ。そう言えば最近入り浸りだったわ」

 しまったなと頭を掻いた浦島先輩は恐々スマホを確認して、青くなっていた。

 入ダンとは、ダンジョン入場記録の事で誰でも確認することができる。

 本来は単純に生存確認のために戻ってきているのか調べるためのデータベースだった。

「いちおうメッセージは送っていたが返事もない。まぁ仕方なくというわけだ」

「それにしたって、あんまり険悪ならもうちょっとどうにかして欲しいんですけど?」

「……まぁなんだ。言ってしまえば我々は一年のエースを君達に引き抜かれた、そう考えているメンバーも多くてな」

「……ああ、レイナさんの話か。まだ尾を引いてる感じ?」

「引いてるな。ファンも多いから……」

 遠い目をする八坂生徒会長は、乾いた笑いを浮かべているところを見ると、だいぶん強火のファンは生徒会内部にも存在していたんだろうなって感じだった。

 まぁ有名人の宿命である。

「つまり……もめたから、一旦連れて来て丸投げしようとしたと?」

「……それは言い方が悪くないか?」

 八坂生徒会長は不服そうだったが、そばに控えていた如月副会長の方はここぞとばかりに沈黙を破って、補足した。

「……間違ってはいない。連れて行かないと収まらない感じだったから、さぁ言いたいことがあるなら言ってみろって感じ。どうかと思う」

「如月……お前って奴は容赦がないな」

「仕方がない。私達は自分達で話を進め過ぎた。彼らだって生徒のために頑張ってきた自負はある」

「……まぁな」

 それでも黙っていたらその結果として、レイナさんが生徒会を抜けたというのなら、納得いかないと思う生徒がいても無理はない。

 ただ本人の意思を完全に無視した圧力は気分のいい物じゃなかった。

「……だけど私は、今回は強行でも何でもすべきだと思う。サブカルチャー研究部とは仲よくするべき。そうじゃないと生徒会が取り残されかねない」

「……それで揉めても、リターンはあると?」

「そう。わかってるはず。彼らのノウハウを学べれば必ず今後に生かせるはず」

「……そうだな」

 なんというか、うちの学校の生徒会ってとても強い人達が集まっているとは思ってはいたけど、ずいぶんと僕らのために頑張ってくれている組織でもあるみたいだ。

 ただ浦島先輩は大変苦々しく笑っていた。

「なるほど? 内々で処理してくれてすごい助かってた私らが言えることじゃないけど……私ら超恨まれてるじゃん」

「そうなんだがな……しかし在学中の有力な探索者と、我々が繋がっていること自体は普通の事なんだぞ? 一線級の探索者の人手は常に足りない。ダンジョンが出現して、まだたった10年程度。真剣に探索している方々は当然現役だからな。戦える教職員の方はあまりにも少ない。連絡先だって把握して管理しているし、非常時は協力を要請する場合だってある。言い訳させてもらえば今話題のサブカルチャー同好会との合同ダンジョン探索だ、生徒会の業務として割り切ってくれると思っていたんだがな……」

「へーそうなんだ」

「その有力な探索者にお前も含まれているんだぞ? 浦島?」

「あ、連絡網に入ってる? 実力派探索者枠で?……何か意外だな」

「加わったのは最近だがな。実際どうなんだ? その……部に昇格してから調子の方は?」

「絶好調だと言わせていただきますよ? 動画見たんでしょ? サブカルチャーっぽくない?」

 さりげなくアピールしてくれる浦島先輩は素敵である。

 ただ、動画を見たであろう八坂生徒会長は、なんとも言えない反応で曖昧に言葉を選んでいるのが気になったが。

「……お前達の絶好調は……聞いててなんだか怖いな」

「いや、普通に顧問の先生とも仲良くやれてるし、攻略だって順調って意味合いの方が主だからね?」

「……そうだな。顧問は龍宮院先生だったか。あの人は私も尊敬している探索者の一人だよ。彼女のような人が、教師として招かれてくれたのは幸運だった。おそらく攻略の糸口になるような発想を求めての施策の一つというところなんだろうが、心強いよ。御迷惑をおかけするだろうから、今回の件も話しておくべきだろうな……」

「そうだね。レベリングって概念が私らのやつはそもそも珍しいんだよ。普通ならゲームじゃないんだからと一蹴されるんだろうけど……龍宮院先生なら大丈夫」

「……すでにお前達の毒が回っているのか?」

「毒て」

 心外だと渋い表情を浦島先輩は浮かべていたが、如月副会長も龍宮院先生に話を通すことは賛成のようだった。

「人気も実力もある先生。生徒会の他の後輩もひとまず口は狭めないはず」

「あとレイナさんと、ファイアーボールヘッドとガスマスク侍がいたら形は整うんじゃない? 実際の私らと、あのエキスポ実力者コスプレ集団が結びつかないのが問題なんでしょ? ひとまず実力者とゆかいな仲間達って体裁は整うはず」

「……そうだな。頼めるか?」

「もちろん。話すなら先生は今ダンジョンにいるはずだから、早い方がいいよ。そんなに時間もかからないから」

「分かった。では行こうか」

 トントンと進んでいく話に、僕は口もはさめない。

 ただ微妙な顔をしている僕に、如月副会長は一言。

「何か言いたそうな顔をしている。……どうぞ?」

「全然違う様で……浦島先輩と生徒会長ってなんか似てません?」

「……フフッ」

「「似てないよ」」

「「……」」

 似ている人たちはいつもそういうことを言うんだ。

 ひとまず声を揃えていては何の説得力もない。

 この人達は、こうやって丁寧に外堀から埋めていくんだろうなって思ったけど、僕も人のことは言えなかったか。 
感想 3

あなたにおすすめの小説

さびれたレンタル道具屋の転生おっさん、道具の使い方を教えまくる。~客のS級冒険者が俺を歴戦の英雄と勘違いして弟子入りを求めてくるんだが~

遥風 かずら
ファンタジー
前世で過労死した久世織人が目を覚ますとそこは異世界の王都、しかも古道具屋の跡取り息子として転生していた。アクセル・リオットとして成長した彼は荷物持ちとして冒険者パーティーに同行、その道中に【無限収納】スキルを開花させる。 パーティー活動から離脱後、四十歳となったアクセルは前世の記憶を思い出し、儲かりそうという考えで道具レンタル屋を始めていた。客足もなく店がさびれる中、道具の使い方が出来てない冒険者によって治安の乱れや魔物討伐の失敗が続いているという話を常連客から聞かされる。あらゆる道具に精通するアクセルは客の冒険者に使い方を教えに行くことを思い立つ。 アクセルの教えにより、やがてS級冒険者や聖女、王女までも勘違いして彼の元には次々と弟子入りを求める者が現れていくのだった。

《カクヨム様で50000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う

なべぞう
ファンタジー
ダンジョンが生まれて百年。 スキルを持つ人々がダンジョンに挑む世界で、 ソラは非戦闘系スキル《アイテムボックス》しか持たない三流シーカーだった。 弱さゆえに仲間から切り捨てられ、三十五歳となった今では、 満身創痍で生きるだけで精一杯の日々を送っていた。 そんなソラをただ一匹だけ慕ってくれたのは―― 拾ってきた野良の黒猫“クロ”。 だが命の灯が消えかけた夜、 その黒猫は正体を現す。 クロは世界に十人しか存在しない“祝福”を与える存在―― しかも九つの祝福を生んだ天使と悪魔を封印した“第十の祝福者”だった。 力を失われ、語ることすら封じられたクロは、 復讐を果たすための契約者を探していた。 クロは瀕死のソラと契約し、 彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。 唯一のスキル《アイテムボックス》。 そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、 弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。 だがその裏で、 クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、 復讐の道を静かに歩み始めていた。 これは―― “最弱”と“最凶”が手を取り合い、 未来をやり直す物語

俺の家に異世界ファンタジーガチャが来た結果→現実世界で最強に ~極大に増えていくスキルの数が膨大になったので現実世界で無双します~

仮実谷 望
ファンタジー
ガチャを廻したいからそんな理由で謎の異世界ガチャを買った主人公はガチャを廻して自分を鍛えて、最強に至る。現実世界で最強になった主人公は難事件やトラブルを解決する。敵の襲来から世界を守るたった一人の最強が誕生した。そしてガチャの真の仕組みに気付く主人公はさらに仲間と共に最強へと至る物語。ダンジョンに挑戦して仲間たちと共に最強へと至る道。 ガチャを廻しまくり次第に世界最強の人物になっていた。 ガチャ好きすぎて書いてしまった。

素材ガチャで【合成マスター】スキルを獲得したので、世界最強の探索者を目指します。

名無し
ファンタジー
学園『ホライズン』でいじめられっ子の生徒、G級探索者の白石優也。いつものように不良たちに虐げられていたが、勇気を出してやり返すことに成功する。その勢いで、近隣に出没したモンスター討伐に立候補した優也。その選択が彼の運命を大きく変えていくことになるのであった。

ダンジョンのある生活《スマホ片手にレベルアップ》

盾乃あに
ファンタジー
進藤タクマは25歳、彼女にフラれて同棲中の家を追い出され、新しい部屋を借りたがそこにはキッチンに見知らぬ扉が付いていた。床下収納だと思って開けたらそこは始まりのダンジョンだった。  ダンジョンを攻略する自衛隊、タクマは部屋を譲り新しい部屋に引っ越すが、そこにもダンジョンが……  始まりのダンジョンを攻略することになったタクマ。    さぁ、ダンジョン攻略のはじまりだ。

ダンジョントランスポーター ~ 現代に現れたダンジョンに潜ったらレベル999の天使に憑依されて運び屋になってしまった

海道一人
ファンタジー
二十年前、地球の各地に突然異世界とつながるダンジョンが出現した。 ダンジョンから持って出られるのは無機物のみだったが、それらは地球上には存在しない人類の科学や技術を数世代進ませるほどのものばかりだった。 そして現在、一獲千金を求めた探索者が世界中でダンジョンに潜るようになっていて、彼らは自らを冒険者と呼称していた。 主人公、天城 翔琉《あまぎ かける》はよんどころない事情からお金を稼ぐためにダンジョンに潜ることを決意する。 ダンジョン探索を続ける中で翔琉は羽の生えた不思議な生き物に出会い、憑依されてしまう。 それはダンジョンの最深部九九九層からやってきたという天使で、憑依された事で翔は新たなジョブ《運び屋》を手に入れる。 ダンジョンで最強の力を持つ天使に憑依された翔琉は様々な事件に巻き込まれていくのだった。

ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ

高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。 タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。 ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。 本編完結済み。 外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。