157 / 177
第157話では訓練を始めよう
しおりを挟む
「はい! では早速始めます! 今日の主な活動階層はダンジョンの21階層ですね! 本日のレベル上げはここから先で行います!」
進行担当のレイナさんは上機嫌で解説しながらダンジョンを進んだ。
だが案内中の階層はいきなり連れてこられるとモンスターの凶暴な気配で鳥肌が止まらなくなる魔境の入り口に違いなかった。
「21階ですか!? それはまたずいぶん深い……私達でもなかなか行く階層ではありませんよ?」
「当然です! レベル上げにはリスクがつきもの……しかし我々はそのリスクを限りなく少なくすることを目指しています」
強火ファンな書記さんと軽快なトークを重ね、順調に引率するレイナさんは21階をどんどん進んでゆく。
歩みに迷いがないのは、下準備をしっかりとした結果だった。
最終的に到着したのは薄暗い洞窟で、重そうな扉が入り口をふさいでいる。
自分で作りはしたものの、時間を置いてみると迫力がすごい。
その場所は一見すると地獄の門のようだった。
レイナさんは入り口の前でいったん止まると、気圧されている生徒会のメンバーを振り返って、最後の確認をする。
「では……ここが地獄の三丁目です。入るのなら―――相応のお覚悟を」
危険を伴うと強調して前置きするレイナさんに対して、フフンと鼻を鳴らしたのは筋肉隆々の生徒会の庶務さんだった。
「地獄の三丁目? ずいぶん古風な言い回しをするじゃないか」
「そうでしょう? 勉強しました! 我ながらピッタリの言葉を探したものだと自画自賛です!」
「……なんだと?」
「それだけよく考えて挑んで欲しいという事です! はいコレ。皆さんに回してくださいね!」
ただ、そう言ってレイナさんが手渡した棒に、全員が首をかしげていた。
「これは……何なんだ?」
庶務さんが最初に口にしたが、まぁ簡単にわかるようなものではないだろう。
しかしこいつは圧倒的格上を倒す上で大変ためになるありがたい棒なのだ。
「特製レベルアップ棒です! こいつで殴るとあなたもレベルアップ間違いなしですね!」
「そんな怪しげな通販みたいな……」
「……信じてくれないですか?」
「はい! 信じまぁす!」
即座に返事をした書記さんは、幸せそうで何よりだ。
まぁその分レイナさん以外に向ける視線が殺人鬼のそれだが……今この場で細かいことを気にしない人はとてもありがたい。
「それは良かった! 準備した甲斐があるというものです。それでは覚悟ができた人からご入場ですね!」
仲間のもうこいつは当てにならんなという視線はいっそ気の毒だし、このまま行ってもらうとしよう。
ギギッと音を立てて扉が開く。
洞窟の中は細い通路が続き、突き当りは非常に大きな空間になっていて天井にぽっかり穴が開いている作りになっているが、おそらく細かく注目できる人間は少ないと思われる。
「心の準備が出来た人、ちゃんと入りましたか? ではお願いします!」
そしてレイナさんの声に従い、僕と桃山君は巨大な扉を閉めて退路を断った。
「な! なんだ!」
「なんで扉を閉めたんだ!」
「どういうことです!」
「落ち着け! 集中しろ!」
「油断しないで……モンスターがいる」
何でと聞かれたら、ここから先に退路は不要だからと僕は答えるだろう。
レイナさんはその場からゆっくりと空中に浮かび上がる。
そして爽やかな顔で手を振って、彼らを見送っていた。
「当然レベリングの為です。いいですか? 今からあなた方は大量のモンスターと戦うことになります。一瞬でも気を抜けば死んでしまう可能性があるんです。だから極力戦うことだけ考えてください」
「「「「「は?」」」」」
生徒会一行の呆けた声は、いったいどんな思いが込められていたのかそれはわからない。
ただ間違いないのは、この空間の中には大量のモンスターがひしめいているという事だった。
「「「「「……!」」」」」」
「では! レベリング開始です!」
ただし大量とただ言ってしまうには、密度が半端じゃない。
それはかつて経験したモンスターハウスよりもはるかに多いモンスターのギッチリ詰まった地獄だった。
進行担当のレイナさんは上機嫌で解説しながらダンジョンを進んだ。
だが案内中の階層はいきなり連れてこられるとモンスターの凶暴な気配で鳥肌が止まらなくなる魔境の入り口に違いなかった。
「21階ですか!? それはまたずいぶん深い……私達でもなかなか行く階層ではありませんよ?」
「当然です! レベル上げにはリスクがつきもの……しかし我々はそのリスクを限りなく少なくすることを目指しています」
強火ファンな書記さんと軽快なトークを重ね、順調に引率するレイナさんは21階をどんどん進んでゆく。
歩みに迷いがないのは、下準備をしっかりとした結果だった。
最終的に到着したのは薄暗い洞窟で、重そうな扉が入り口をふさいでいる。
自分で作りはしたものの、時間を置いてみると迫力がすごい。
その場所は一見すると地獄の門のようだった。
レイナさんは入り口の前でいったん止まると、気圧されている生徒会のメンバーを振り返って、最後の確認をする。
「では……ここが地獄の三丁目です。入るのなら―――相応のお覚悟を」
危険を伴うと強調して前置きするレイナさんに対して、フフンと鼻を鳴らしたのは筋肉隆々の生徒会の庶務さんだった。
「地獄の三丁目? ずいぶん古風な言い回しをするじゃないか」
「そうでしょう? 勉強しました! 我ながらピッタリの言葉を探したものだと自画自賛です!」
「……なんだと?」
「それだけよく考えて挑んで欲しいという事です! はいコレ。皆さんに回してくださいね!」
ただ、そう言ってレイナさんが手渡した棒に、全員が首をかしげていた。
「これは……何なんだ?」
庶務さんが最初に口にしたが、まぁ簡単にわかるようなものではないだろう。
しかしこいつは圧倒的格上を倒す上で大変ためになるありがたい棒なのだ。
「特製レベルアップ棒です! こいつで殴るとあなたもレベルアップ間違いなしですね!」
「そんな怪しげな通販みたいな……」
「……信じてくれないですか?」
「はい! 信じまぁす!」
即座に返事をした書記さんは、幸せそうで何よりだ。
まぁその分レイナさん以外に向ける視線が殺人鬼のそれだが……今この場で細かいことを気にしない人はとてもありがたい。
「それは良かった! 準備した甲斐があるというものです。それでは覚悟ができた人からご入場ですね!」
仲間のもうこいつは当てにならんなという視線はいっそ気の毒だし、このまま行ってもらうとしよう。
ギギッと音を立てて扉が開く。
洞窟の中は細い通路が続き、突き当りは非常に大きな空間になっていて天井にぽっかり穴が開いている作りになっているが、おそらく細かく注目できる人間は少ないと思われる。
「心の準備が出来た人、ちゃんと入りましたか? ではお願いします!」
そしてレイナさんの声に従い、僕と桃山君は巨大な扉を閉めて退路を断った。
「な! なんだ!」
「なんで扉を閉めたんだ!」
「どういうことです!」
「落ち着け! 集中しろ!」
「油断しないで……モンスターがいる」
何でと聞かれたら、ここから先に退路は不要だからと僕は答えるだろう。
レイナさんはその場からゆっくりと空中に浮かび上がる。
そして爽やかな顔で手を振って、彼らを見送っていた。
「当然レベリングの為です。いいですか? 今からあなた方は大量のモンスターと戦うことになります。一瞬でも気を抜けば死んでしまう可能性があるんです。だから極力戦うことだけ考えてください」
「「「「「は?」」」」」
生徒会一行の呆けた声は、いったいどんな思いが込められていたのかそれはわからない。
ただ間違いないのは、この空間の中には大量のモンスターがひしめいているという事だった。
「「「「「……!」」」」」」
「では! レベリング開始です!」
ただし大量とただ言ってしまうには、密度が半端じゃない。
それはかつて経験したモンスターハウスよりもはるかに多いモンスターのギッチリ詰まった地獄だった。
23
あなたにおすすめの小説
鬼死回生~酒呑童子の異世界転生冒険記~
今田勝手
ファンタジー
平安時代の日本で魑魅魍魎を束ねた最強の鬼「酒呑童子」。
大江山で討伐されたその鬼は、死の間際「人に生まれ変わりたい」と願った。
目が覚めた彼が見たのは、平安京とは全く異なる世界で……。
これは、鬼が人間を目指す更生の物語である、のかもしれない。
※本作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ネオページ」でも同時連載中です。
異世界帰りの英雄は理不尽な現代でそこそこ無双する〜やりすぎはいかんよ、やりすぎは〜
mitsuzoエンターテインメンツ
ファンタジー
<これからは「週一投稿(できれば毎週土曜日9:00)」または「不定期投稿」となります>
「異世界から元の世界に戻るとレベルはリセットされる」⋯⋯そう女神に告げられるも「それでも元の世界で自分の人生を取り戻したい」と言って一から出直すつもりで元の世界に戻った結城タケル。
死ぬ前の時間軸——5年前の高校2年生の、あの事故現場に戻ったタケル。そこはダンジョンのある現代。タケルはダンジョン探索者《シーカー》になるべくダンジョン養成講座を受け、初心者養成ダンジョンに入る。
レベル1ではスライム1匹にさえ苦戦するという貧弱さであるにも関わらず、最悪なことに2匹のゴブリンに遭遇するタケル。
絶望の中、タケルは「どうにかしなければ⋯⋯」と必死の中、ステータスをおもむろに開く。それはただの悪あがきのようなものだったが、
「え?、何だ⋯⋯これ?」
これは、異世界に転移し魔王を倒した勇者が、ダンジョンのある現代に戻っていろいろとやらかしていく物語である。
日本国 召喚獣管理省 関東庁 召喚獣総合事案即応科。
wakaba1890
ファンタジー
召喚獣。
それは向こう側とされる所から、10歳を迎えた日本人の子供の下に召喚されるモンスターのことである。
初代天皇・神武天皇が日本を建国した際に書かれた絵画には彼は金鵄と呼ばれる金色に輝く鵄(とび)と契約したのが原初となっている。
そして、縄文、弥生、古墳、飛鳥、平安、戦国時代から近代から今に至るまで、時代を動かしてきた人物の側には確かに召喚獣は介在していた。
また、奇妙な事に、日本国に限り、齢10歳を迎えた日本在住の日本人にのみ体のどこかから多種多様な紋章が発現し、当人が念じると任意の場所から召喚陣が現れ、人ならざるモンスターを召喚される。
そして、彼らモンスターは主人である当人や心を許した者に対して忠実であった。
そのため、古来の日本から、彼ら召喚獣は農耕、治水、土木、科学技術、エネルギー、政治、経済、金融、戦争など国家の基盤となる柱から、ありとあらゆる分野において、今日に至るまで日本国とアジアの繁栄に寄与してきた。
そして、建国から今まで、国益の基盤たる彼ら数万種類以上をも及ぶ召喚獣を取り締まり管理し、2600年以上と脈々と受け継がれてきた名誉ある国家職がーーーーー国家召喚獣管理官である。
俺の召喚獣だけレベルアップする
摂政
ファンタジー
【第10章、始動!!】ダンジョンが現れた、現代社会のお話
主人公の冴島渉は、友人の誘いに乗って、冒険者登録を行った
しかし、彼が神から与えられたのは、一生レベルアップしない召喚獣を用いて戦う【召喚士】という力だった
それでも、渉は召喚獣を使って、見事、ダンジョンのボスを撃破する
そして、彼が得たのは----召喚獣をレベルアップさせる能力だった
この世界で唯一、召喚獣をレベルアップさせられる渉
神から与えられた制約で、人間とパーティーを組めない彼は、誰にも知られることがないまま、どんどん強くなっていく……
※召喚獣や魔物などについて、『おーぷん2ちゃんねる:にゅー速VIP』にて『おーぷん民でまじめにファンタジー世界を作ろう』で作られた世界観……というか、モンスターを一部使用して書きました!!
内容を纏めたwikiもありますので、お暇な時に一読していただければ更に楽しめるかもしれません?
https://www65.atwiki.jp/opfan/pages/1.html
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
この世界にダンジョンが現れたようです ~チートな武器とスキルと魔法と従魔と仲間達と共に世界最強となる~
仮実谷 望
ファンタジー
主人公の増宮拓朗(ましみやたくろう)は20歳のニートである。
祖父母の家に居候している中、毎日の日課の自宅の蔵の確認を行う過程で謎の黒い穴を見つける。
試にその黒い穴に入ると謎の空間に到達する。
拓朗はその空間がダンジョンだと確信して興奮した。
さっそく蔵にある武器と防具で装備を整えてダンジョンに入ることになるのだが……
暫くするとこの世界には異変が起きていた。
謎の怪物が現れて人を襲っているなどの目撃例が出ているようだ。
謎の黒い穴に入った若者が行方不明になったなどの事例も出ている。
そのころ拓朗は知ってか知らずか着実にレベルを上げて世界最強の探索者になっていた。
その後モンスターが街に現れるようになったら、狐の仮面を被りモンスターを退治しないといけないと奮起する。
その過程で他にもダンジョンで女子高生と出会いダンジョンの攻略を進め成長していく。
様々な登場人物が織りなす群像劇です。
主人公以外の視点も書くのでそこをご了承ください。
その後、七星家の七星ナナナと虹咲家の虹咲ナナカとの出会いが拓朗を成長させるきっかけになる。
ユキトとの出会いの中、拓朗は成長する。
タクロウは立派なヒーローとして覚醒する。
その後どんな敵が来ようとも敵を押しのける。倒す。そんな無敵のヒーロー稲荷仮面が活躍するヒーロー路線物も描いていきたいです。
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
《カクヨム様で15000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う
なべぞう
ファンタジー
ダンジョンが生まれて百年。
スキルを持つ人々がダンジョンに挑む世界で、
ソラは非戦闘系スキル《アイテムボックス》しか持たない三流シーカーだった。
弱さゆえに仲間から切り捨てられ、三十五歳となった今では、
満身創痍で生きるだけで精一杯の日々を送っていた。
そんなソラをただ一匹だけ慕ってくれたのは――
拾ってきた野良の黒猫“クロ”。
だが命の灯が消えかけた夜、
その黒猫は正体を現す。
クロは世界に十人しか存在しない“祝福”を与える存在――
しかも九つの祝福を生んだ天使と悪魔を封印した“第十の祝福者”だった。
力を失われ、語ることすら封じられたクロは、
復讐を果たすための契約者を探していた。
クロは瀕死のソラと契約し、
彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。
唯一のスキル《アイテムボックス》。
そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、
弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。
だがその裏で、
クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、
復讐の道を静かに歩み始めていた。
これは――
“最弱”と“最凶”が手を取り合い、
未来をやり直す物語
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる