ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち

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第157話では訓練を始めよう

「はい! では早速始めます! 今日の主な活動階層はダンジョンの21階層ですね! 本日のレベル上げはここから先で行います!」

 進行担当のレイナさんは上機嫌で解説しながらダンジョンを進んだ。

 だが案内中の階層はいきなり連れてこられるとモンスターの凶暴な気配で鳥肌が止まらなくなる魔境の入り口に違いなかった。

「21階ですか!? それはまたずいぶん深い……私達でもなかなか行く階層ではありませんよ?」

「当然です! レベル上げにはリスクがつきもの……しかし我々はそのリスクを限りなく少なくすることを目指しています」

 強火ファンな書記さんと軽快なトークを重ね、順調に引率するレイナさんは21階をどんどん進んでゆく。

 歩みに迷いがないのは、下準備をしっかりとした結果だった。

 最終的に到着したのは薄暗い洞窟で、重そうな扉が入り口をふさいでいる。

 自分で作りはしたものの、時間を置いてみると迫力がすごい。

 その場所は一見すると地獄の門のようだった。

 レイナさんは入り口の前でいったん止まると、気圧されている生徒会のメンバーを振り返って、最後の確認をする。

「では……ここが地獄の三丁目です。入るのなら―――相応のお覚悟を」

 危険を伴うと強調して前置きするレイナさんに対して、フフンと鼻を鳴らしたのは筋肉隆々の生徒会の庶務さんだった。

「地獄の三丁目? ずいぶん古風な言い回しをするじゃないか」

「そうでしょう? 勉強しました! 我ながらピッタリの言葉を探したものだと自画自賛です!」

「……なんだと?」

「それだけよく考えて挑んで欲しいという事です! はいコレ。皆さんに回してくださいね!」

 ただ、そう言ってレイナさんが手渡した棒に、全員が首をかしげていた。

「これは……何なんだ?」

 庶務さんが最初に口にしたが、まぁ簡単にわかるようなものではないだろう。

 しかしこいつは圧倒的格上を倒す上で大変ためになるありがたい棒なのだ。

「特製レベルアップ棒です! こいつで殴るとあなたもレベルアップ間違いなしですね!」

「そんな怪しげな通販みたいな……」

「……信じてくれないですか?」

「はい! 信じまぁす!」

 即座に返事をした書記さんは、幸せそうで何よりだ。

 まぁその分レイナさん以外に向ける視線が殺人鬼のそれだが……今この場で細かいことを気にしない人はとてもありがたい。

「それは良かった! 準備した甲斐があるというものです。それでは覚悟ができた人からご入場ですね!」

 仲間のもうこいつは当てにならんなという視線はいっそ気の毒だし、このまま行ってもらうとしよう。

 ギギッと音を立てて扉が開く。

 洞窟の中は細い通路が続き、突き当りは非常に大きな空間になっていて天井にぽっかり穴が開いている作りになっているが、おそらく細かく注目できる人間は少ないと思われる。

「心の準備が出来た人、ちゃんと入りましたか? ではお願いします!」

 そしてレイナさんの声に従い、僕と桃山君は巨大な扉を閉めて退路を断った。

「な! なんだ!」

「なんで扉を閉めたんだ!」

「どういうことです!」

「落ち着け! 集中しろ!」

「油断しないで……モンスターがいる」

 何でと聞かれたら、ここから先に退路は不要だからと僕は答えるだろう。

 レイナさんはその場からゆっくりと空中に浮かび上がる。

 そして爽やかな顔で手を振って、彼らを見送っていた。

「当然レベリングの為です。いいですか? 今からあなた方は大量のモンスターと戦うことになります。一瞬でも気を抜けば死んでしまう可能性があるんです。だから極力戦うことだけ考えてください」

「「「「「は?」」」」」

 生徒会一行の呆けた声は、いったいどんな思いが込められていたのかそれはわからない。

 ただ間違いないのは、この空間の中には大量のモンスターがひしめいているという事だった。

「「「「「……!」」」」」」

「では! レベリング開始です!」

 ただし大量とただ言ってしまうには、密度が半端じゃない。

 それはかつて経験したモンスターハウスよりもはるかに多いモンスターのギッチリ詰まった地獄だった。

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