158 / 257
第158話モンスタートラップ
「ヒィィ! 会長! 先手を打たれました! こいつら私達を殺すつもりです!」
「狼狽えるな! これはあくまで訓練の一環! ……たぶんな!」
「……これはマズイ。みんな強い……! でもたぶんダイジョウブ!」
「さっきからたぶんって何ですか!」
「会長! お下がりください! 我らが必ず血路を開いて見せますぅぅぅ」
悲鳴が聞こえたけど、手を貸すのは本当に危なくなった時だけの予定だ。
怒涛の勢いですさまじい数ツッコんでくるモンスターの群れは、確実に生徒会メンバーより格上で、そいつらは容赦なく生徒会の面々に襲い掛かっていた。
だが詰め込み過ぎているから、お互いが邪魔をして動きはすさまじく悪い。
そこにレイナさんは念を押して叫んだ。
「棒! 棒を忘れないで! キーアイテムです!」
「ぐぅ……く、くそおおおおお!」
だがさすがは生徒会。慌てはしていたがすぐに攻撃に転じた彼らは手渡していた棒を振り回したが、棒が当たった瞬間―――モンスターは一撃で消滅した。
「…………は?」
余りにも脆すぎるモンスターに、倒した本人の庶務さんが呆けた声を出して動きを止めると監視役のレイナさんはさらに慌てて叫んだ。
「しっかり! 次々倒す! 止まったら死にます!」
「いいいい!」
大声にハッとして庶務さんは殴り続ける、だが隙を突いて攻撃をかいくぐった一体は猛烈な一撃を庶務さんに食らわせた。
「ごほぉあ!」
格上モンスターからの一撃に、吹き飛んだ庶務さんはほとんど瀕死だったのだが……もちろん備えは万全だった。
「ポーション行きます!」
「了解でござる!」
声を掛け、すかさずポーションを使い一気に回復。
庶務さんは意識は失っていなかったらしく、ビクリと体を震わせて飛び起きた。
「は! 私は!」
そして僕らは一度死に掛けた庶務さんには小声で内容を説明した。
「いいですか? あいつらは強いですが、呪われています。全員体力が1の状態なんです」
「は? な、なんでそんなモンスターが……」
「そういう場所なんですよ。だがこのチャンス活かしてください。レベル大幅上昇のチャンスです」
「う、うむ……」
なんでそんな都合のいい話がと思うだろうが、呪いを駆使すればできなくはないことはこの僕自身がすでにこの身で体験済みなので堂々とお出しできる情報である。
では今回の特別装置を説明しよう。
僕はこいつを『天空ダイブ式レベル上げ部屋』と名付けた。
無限湧きモンスターハウスを利用したかなり極悪なトラップである。
とある階層に存在するモンスターハウスに空間魔法にて転移陣を設置。
モンスターがポップした端から空中に飛ばして、死ぬギリギリのラインから地面に叩き落してゆく。
さらに落下地点の周囲には呪いの液体を注ぎ入れたプールを用意して、最短でHPを1に。
そうするとあら不思議、でたらめに強い一撃で倒れてくれる、最高のレベルアップモンスターの完成である。
浦島先輩とレイナさんにモンスターをタメる作業をお願いした結果、すさまじい量のモンスターが溜まってしまったが、効率はかなりいいトラップになった。
ただ本来であれば、モンスターをいったん何かで足止めして、隙間からチクチク刺すのが安全でいいのだが……今回そういうのはなく普通にモンスターと戦ってもらうことになったのは話し合いの結果だった。
「ダメージを喰らったら確実に致命傷です。だけどこれが大事」
とはレイナさんの言い分なのだが、しかし言っていることが言っていることだけに、僕は首を傾げた。
「な、何が大事なの?」
「戦った感です。努力した感でもいいですけど……つまりはレベルが上がるのならそれなりの過程が欲しい。そういう事です」
「えぇぇ? それ僕らが言う?」
「ノンノン。私達は同じではありません。目的が違います。言ってしまえば彼らは私達にいちゃもんを付けるために戦いに来たんですよ?」
ピッと人差し指を立てて言われて、僕はむぐっと唸った。
「そう……思います?」
「見ればわかります。サブカルチャー同好会との合同探索でレベルが上がる事なんて期待していません。むしろ上がらない方が、今後関わりが無くなってせいせいするくらいに思っていてもおかしくないのです。しかし骨のあるトレーニング法を提案して実際にレベルが上がれば問題はありません」
「それで戦ってる感……」
「そうです。レベル上げって本来そういうものでしょう? いつも通りにちょっとしたアイディアで挑んで、効率よくレベルアップする……ダメージがあれど納得というすんぽうです! これを丁度いい感といいます!」
僕は自信満々のレイナさんの表情がやけに印象に残っていた。
「ちょうどいい感……本当かな?」
「どうでござろうな……まぁやってみなければなんともでござる」
「そうだねぇ」
そういうわけで僕らは当初の予定通りにポーション係と蘇生薬係に徹し、後ろで結果を待つだけだった。
一方で、驚きから立ち直って生徒会の面々は必死に応戦し続けていた。
そしてたまに攻撃が命中して生徒会員が飛んで来る。
今回目を回しているのは、風紀さんだった。
「うぅ! 倒しても倒しても湧いて出て……」
「それでも殴れば死にますから。気は抜かないで」
「……くそぅ! わけがわからない!」
それでもまたモンスターに突撃していく辺り彼女は勇敢である。
罪悪感は浮かんだが、頑張って欲しい。
まだまだ回復薬の貯蔵は十分だし、モンスターのおかわりは次々来る予定だった。
「狼狽えるな! これはあくまで訓練の一環! ……たぶんな!」
「……これはマズイ。みんな強い……! でもたぶんダイジョウブ!」
「さっきからたぶんって何ですか!」
「会長! お下がりください! 我らが必ず血路を開いて見せますぅぅぅ」
悲鳴が聞こえたけど、手を貸すのは本当に危なくなった時だけの予定だ。
怒涛の勢いですさまじい数ツッコんでくるモンスターの群れは、確実に生徒会メンバーより格上で、そいつらは容赦なく生徒会の面々に襲い掛かっていた。
だが詰め込み過ぎているから、お互いが邪魔をして動きはすさまじく悪い。
そこにレイナさんは念を押して叫んだ。
「棒! 棒を忘れないで! キーアイテムです!」
「ぐぅ……く、くそおおおおお!」
だがさすがは生徒会。慌てはしていたがすぐに攻撃に転じた彼らは手渡していた棒を振り回したが、棒が当たった瞬間―――モンスターは一撃で消滅した。
「…………は?」
余りにも脆すぎるモンスターに、倒した本人の庶務さんが呆けた声を出して動きを止めると監視役のレイナさんはさらに慌てて叫んだ。
「しっかり! 次々倒す! 止まったら死にます!」
「いいいい!」
大声にハッとして庶務さんは殴り続ける、だが隙を突いて攻撃をかいくぐった一体は猛烈な一撃を庶務さんに食らわせた。
「ごほぉあ!」
格上モンスターからの一撃に、吹き飛んだ庶務さんはほとんど瀕死だったのだが……もちろん備えは万全だった。
「ポーション行きます!」
「了解でござる!」
声を掛け、すかさずポーションを使い一気に回復。
庶務さんは意識は失っていなかったらしく、ビクリと体を震わせて飛び起きた。
「は! 私は!」
そして僕らは一度死に掛けた庶務さんには小声で内容を説明した。
「いいですか? あいつらは強いですが、呪われています。全員体力が1の状態なんです」
「は? な、なんでそんなモンスターが……」
「そういう場所なんですよ。だがこのチャンス活かしてください。レベル大幅上昇のチャンスです」
「う、うむ……」
なんでそんな都合のいい話がと思うだろうが、呪いを駆使すればできなくはないことはこの僕自身がすでにこの身で体験済みなので堂々とお出しできる情報である。
では今回の特別装置を説明しよう。
僕はこいつを『天空ダイブ式レベル上げ部屋』と名付けた。
無限湧きモンスターハウスを利用したかなり極悪なトラップである。
とある階層に存在するモンスターハウスに空間魔法にて転移陣を設置。
モンスターがポップした端から空中に飛ばして、死ぬギリギリのラインから地面に叩き落してゆく。
さらに落下地点の周囲には呪いの液体を注ぎ入れたプールを用意して、最短でHPを1に。
そうするとあら不思議、でたらめに強い一撃で倒れてくれる、最高のレベルアップモンスターの完成である。
浦島先輩とレイナさんにモンスターをタメる作業をお願いした結果、すさまじい量のモンスターが溜まってしまったが、効率はかなりいいトラップになった。
ただ本来であれば、モンスターをいったん何かで足止めして、隙間からチクチク刺すのが安全でいいのだが……今回そういうのはなく普通にモンスターと戦ってもらうことになったのは話し合いの結果だった。
「ダメージを喰らったら確実に致命傷です。だけどこれが大事」
とはレイナさんの言い分なのだが、しかし言っていることが言っていることだけに、僕は首を傾げた。
「な、何が大事なの?」
「戦った感です。努力した感でもいいですけど……つまりはレベルが上がるのならそれなりの過程が欲しい。そういう事です」
「えぇぇ? それ僕らが言う?」
「ノンノン。私達は同じではありません。目的が違います。言ってしまえば彼らは私達にいちゃもんを付けるために戦いに来たんですよ?」
ピッと人差し指を立てて言われて、僕はむぐっと唸った。
「そう……思います?」
「見ればわかります。サブカルチャー同好会との合同探索でレベルが上がる事なんて期待していません。むしろ上がらない方が、今後関わりが無くなってせいせいするくらいに思っていてもおかしくないのです。しかし骨のあるトレーニング法を提案して実際にレベルが上がれば問題はありません」
「それで戦ってる感……」
「そうです。レベル上げって本来そういうものでしょう? いつも通りにちょっとしたアイディアで挑んで、効率よくレベルアップする……ダメージがあれど納得というすんぽうです! これを丁度いい感といいます!」
僕は自信満々のレイナさんの表情がやけに印象に残っていた。
「ちょうどいい感……本当かな?」
「どうでござろうな……まぁやってみなければなんともでござる」
「そうだねぇ」
そういうわけで僕らは当初の予定通りにポーション係と蘇生薬係に徹し、後ろで結果を待つだけだった。
一方で、驚きから立ち直って生徒会の面々は必死に応戦し続けていた。
そしてたまに攻撃が命中して生徒会員が飛んで来る。
今回目を回しているのは、風紀さんだった。
「うぅ! 倒しても倒しても湧いて出て……」
「それでも殴れば死にますから。気は抜かないで」
「……くそぅ! わけがわからない!」
それでもまたモンスターに突撃していく辺り彼女は勇敢である。
罪悪感は浮かんだが、頑張って欲しい。
まだまだ回復薬の貯蔵は十分だし、モンスターのおかわりは次々来る予定だった。
あなたにおすすめの小説
さびれたレンタル道具屋の転生おっさん、道具の使い方を教えまくる。~客のS級冒険者が俺を歴戦の英雄と勘違いして弟子入りを求めてくるんだが~
遥風 かずら
ファンタジー
前世で過労死した久世織人が目を覚ますとそこは異世界の王都、しかも古道具屋の跡取り息子として転生していた。アクセル・リオットとして成長した彼は荷物持ちとして冒険者パーティーに同行、その道中に【無限収納】スキルを開花させる。
パーティー活動から離脱後、四十歳となったアクセルは前世の記憶を思い出し、儲かりそうという考えで道具レンタル屋を始めていた。客足もなく店がさびれる中、道具の使い方が出来てない冒険者によって治安の乱れや魔物討伐の失敗が続いているという話を常連客から聞かされる。あらゆる道具に精通するアクセルは客の冒険者に使い方を教えに行くことを思い立つ。
アクセルの教えにより、やがてS級冒険者や聖女、王女までも勘違いして彼の元には次々と弟子入りを求める者が現れていくのだった。
《カクヨム様で50000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う
なべぞう
ファンタジー
ダンジョンが生まれて百年。
スキルを持つ人々がダンジョンに挑む世界で、
ソラは非戦闘系スキル《アイテムボックス》しか持たない三流シーカーだった。
弱さゆえに仲間から切り捨てられ、三十五歳となった今では、
満身創痍で生きるだけで精一杯の日々を送っていた。
そんなソラをただ一匹だけ慕ってくれたのは――
拾ってきた野良の黒猫“クロ”。
だが命の灯が消えかけた夜、
その黒猫は正体を現す。
クロは世界に十人しか存在しない“祝福”を与える存在――
しかも九つの祝福を生んだ天使と悪魔を封印した“第十の祝福者”だった。
力を失われ、語ることすら封じられたクロは、
復讐を果たすための契約者を探していた。
クロは瀕死のソラと契約し、
彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。
唯一のスキル《アイテムボックス》。
そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、
弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。
だがその裏で、
クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、
復讐の道を静かに歩み始めていた。
これは――
“最弱”と“最凶”が手を取り合い、
未来をやり直す物語
俺の家に異世界ファンタジーガチャが来た結果→現実世界で最強に ~極大に増えていくスキルの数が膨大になったので現実世界で無双します~
仮実谷 望
ファンタジー
ガチャを廻したいからそんな理由で謎の異世界ガチャを買った主人公はガチャを廻して自分を鍛えて、最強に至る。現実世界で最強になった主人公は難事件やトラブルを解決する。敵の襲来から世界を守るたった一人の最強が誕生した。そしてガチャの真の仕組みに気付く主人公はさらに仲間と共に最強へと至る物語。ダンジョンに挑戦して仲間たちと共に最強へと至る道。
ガチャを廻しまくり次第に世界最強の人物になっていた。
ガチャ好きすぎて書いてしまった。
素材ガチャで【合成マスター】スキルを獲得したので、世界最強の探索者を目指します。
名無し
ファンタジー
学園『ホライズン』でいじめられっ子の生徒、G級探索者の白石優也。いつものように不良たちに虐げられていたが、勇気を出してやり返すことに成功する。その勢いで、近隣に出没したモンスター討伐に立候補した優也。その選択が彼の運命を大きく変えていくことになるのであった。
ダンジョンのある生活《スマホ片手にレベルアップ》
盾乃あに
ファンタジー
進藤タクマは25歳、彼女にフラれて同棲中の家を追い出され、新しい部屋を借りたがそこにはキッチンに見知らぬ扉が付いていた。床下収納だと思って開けたらそこは始まりのダンジョンだった。
ダンジョンを攻略する自衛隊、タクマは部屋を譲り新しい部屋に引っ越すが、そこにもダンジョンが……
始まりのダンジョンを攻略することになったタクマ。
さぁ、ダンジョン攻略のはじまりだ。
ダンジョントランスポーター ~ 現代に現れたダンジョンに潜ったらレベル999の天使に憑依されて運び屋になってしまった
海道一人
ファンタジー
二十年前、地球の各地に突然異世界とつながるダンジョンが出現した。
ダンジョンから持って出られるのは無機物のみだったが、それらは地球上には存在しない人類の科学や技術を数世代進ませるほどのものばかりだった。
そして現在、一獲千金を求めた探索者が世界中でダンジョンに潜るようになっていて、彼らは自らを冒険者と呼称していた。
主人公、天城 翔琉《あまぎ かける》はよんどころない事情からお金を稼ぐためにダンジョンに潜ることを決意する。
ダンジョン探索を続ける中で翔琉は羽の生えた不思議な生き物に出会い、憑依されてしまう。
それはダンジョンの最深部九九九層からやってきたという天使で、憑依された事で翔は新たなジョブ《運び屋》を手に入れる。
ダンジョンで最強の力を持つ天使に憑依された翔琉は様々な事件に巻き込まれていくのだった。
ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ
高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。
タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。
ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。
本編完結済み。
外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。