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第163話念願のステーキ
我らがキャンプでは、太鼓でも叩きたくなるようなキャンプファイアーが赤々と燃え上がっていた。
しかし僕がやりたいのはキャンプファイアーなんて遊びじゃない。
ただ純粋に、調理の炎が必要だからだった。
「ちょあぁぁぁ!」
桃山君の気合の掛け声とともにマンモス肉が輪切りになって行く。
ぼとぼと落ちてくる肉に、僕が次々解呪を掛けて皮をはぎ取った。
肉の余計な部分のトリミングなんかはもう慣れたもの。勝手が違うのはわざわざ巨大な輪切り肉にしてもらったことだろう。
普通モンスターの骨は強靭だし、普通は骨からそぐものだ。
しかし、この調理法は満場一致でこの場の総意だった。
綺麗に洗い、塩と胡椒とニンニクをこれでもかと塗りたくる。
そして真ん丸な骨付き肉を見た瞬間、僕は思わず涙が込み上げた。
「……完璧だ」
もうこのビジュアルーーー完璧である。
しかし肉の美学は多岐に渡るもの。
そこは様々なカットの仕方を用意しておくのが、きめ細やかな心遣いと言うものだろう。
しかし目の前の光景は、とてもきめ細やかなんてものじゃない。
だってでっかい炎に焼かれた岩のグリルは、完全に原始の世界だった。
「鉄板OK! 肉をグルグルする棒は?」
「OK! 取っ手も作ってみたよ!」
もう一人の調理担当、浦島先輩の返事を聞き、僕は頷く。
「最高です! では行きましょう!」
温度が低めの所を狙って、輪切り肉をダイブ!
ジュワッと肉が焼ける音と共にニンニクの香りが立ち込めて、いい感じに鼻孔をくすぐった。
分厚い肉は低温でじっくり丁寧に焼き、程よく火が通ったタイミングで強火で一気に表面を焼き上げる。
ジュワッと景気良い音が聞こえるたび、背後で歓声が上がっていた。
「こ……これは……あまりにも……あまりにも」
「……ね? すごいでしょう? モンスター。でもこれは想像以上」
「わ、私、こういうやついつか食べてみたいなと……思っていたんですよね」
風紀の腕章を付けた風紀さんは生唾を飲み込んで喉を鳴らし、完全な状態に近づきつつある肉を前にして、視線が釘付けである。
フッ……堕ちたな。
古来より、人の心を動かす最も単純な方法は胃袋を掴むことなんだと、はっきりわかんだね。
僕は生徒会との完全な和解への一歩に大きく手ごたえを感じていた。
僕も正直涎が止まらないわけだが、今は我慢。
最高の一瞬を逃すなんて、肉に失礼だというものだった。
「では、毒見を……」
「……私も?」
「毒見なので、次お願いします」
「ブー」
「そんな顔をしてもこればかりはダメです」
如月副会長のブーイングを背景に、まずは一口。
僕は大きくカットした肉を口いっぱいに頬張ると原始の世界の力強いパワーが広がっていた。
「もぐもぐもぐ……」
「おいしい? おいしいの?」
「死んだ? 死んでますか?」
如月副会長と、風紀さんが僕の顔を覗きこむ顔を見て、僕の意識は肉の世界から舞い戻った。
「……ごっくん。生きてますよ。結構固くて歯ごたえがある……ちょっと味に癖があるかな……でもこいつが原初の幸せって奴なんですかね? 今この瞬間、僕は望みを叶えちゃったんじゃないでしょうか?」
ゴクリと大きな音が聞こえた。
僕は滲んだ涙をぬぐい、視線を感じて顔を上げると、すでに皿を持ってならぶ如月副会長を筆頭に全員が同じ顔をしている。
「分かっていますとも……存分に食べてください」
結構ボリュームあるからお腹いっぱいにはしないでね?
だって、マンモス肉の石焼き輪切りステーキの後には、もう一つのメインディッシュが控えている。
そしてそれは十分に輪切りステーキに勝るとも劣らない魅力があった。
「よーし! 上手に焼けたよー!」
続いて、浦島先輩達の管理する骨付き肉からは白い湯気が立ち上り、パリッと焼けた皮はメイラードな魅力に満ち溢れていた。
ハッとして、全員が振り返るその動作は、古くから存在する骨付きの浪漫が全員に息づいていることを感じさせる。
では堪能していただこう。
これがモンスター食の真骨頂、マンモスロマン肉のセットである。
「さぁ―――ご堪能ください。 味はきっと気に入ってくれると思います」
いただきますとと口火を切ったお食事タイムはどんな反応が返って来るのか、僕は食べてもらう前から楽しみだった。
しかし僕がやりたいのはキャンプファイアーなんて遊びじゃない。
ただ純粋に、調理の炎が必要だからだった。
「ちょあぁぁぁ!」
桃山君の気合の掛け声とともにマンモス肉が輪切りになって行く。
ぼとぼと落ちてくる肉に、僕が次々解呪を掛けて皮をはぎ取った。
肉の余計な部分のトリミングなんかはもう慣れたもの。勝手が違うのはわざわざ巨大な輪切り肉にしてもらったことだろう。
普通モンスターの骨は強靭だし、普通は骨からそぐものだ。
しかし、この調理法は満場一致でこの場の総意だった。
綺麗に洗い、塩と胡椒とニンニクをこれでもかと塗りたくる。
そして真ん丸な骨付き肉を見た瞬間、僕は思わず涙が込み上げた。
「……完璧だ」
もうこのビジュアルーーー完璧である。
しかし肉の美学は多岐に渡るもの。
そこは様々なカットの仕方を用意しておくのが、きめ細やかな心遣いと言うものだろう。
しかし目の前の光景は、とてもきめ細やかなんてものじゃない。
だってでっかい炎に焼かれた岩のグリルは、完全に原始の世界だった。
「鉄板OK! 肉をグルグルする棒は?」
「OK! 取っ手も作ってみたよ!」
もう一人の調理担当、浦島先輩の返事を聞き、僕は頷く。
「最高です! では行きましょう!」
温度が低めの所を狙って、輪切り肉をダイブ!
ジュワッと肉が焼ける音と共にニンニクの香りが立ち込めて、いい感じに鼻孔をくすぐった。
分厚い肉は低温でじっくり丁寧に焼き、程よく火が通ったタイミングで強火で一気に表面を焼き上げる。
ジュワッと景気良い音が聞こえるたび、背後で歓声が上がっていた。
「こ……これは……あまりにも……あまりにも」
「……ね? すごいでしょう? モンスター。でもこれは想像以上」
「わ、私、こういうやついつか食べてみたいなと……思っていたんですよね」
風紀の腕章を付けた風紀さんは生唾を飲み込んで喉を鳴らし、完全な状態に近づきつつある肉を前にして、視線が釘付けである。
フッ……堕ちたな。
古来より、人の心を動かす最も単純な方法は胃袋を掴むことなんだと、はっきりわかんだね。
僕は生徒会との完全な和解への一歩に大きく手ごたえを感じていた。
僕も正直涎が止まらないわけだが、今は我慢。
最高の一瞬を逃すなんて、肉に失礼だというものだった。
「では、毒見を……」
「……私も?」
「毒見なので、次お願いします」
「ブー」
「そんな顔をしてもこればかりはダメです」
如月副会長のブーイングを背景に、まずは一口。
僕は大きくカットした肉を口いっぱいに頬張ると原始の世界の力強いパワーが広がっていた。
「もぐもぐもぐ……」
「おいしい? おいしいの?」
「死んだ? 死んでますか?」
如月副会長と、風紀さんが僕の顔を覗きこむ顔を見て、僕の意識は肉の世界から舞い戻った。
「……ごっくん。生きてますよ。結構固くて歯ごたえがある……ちょっと味に癖があるかな……でもこいつが原初の幸せって奴なんですかね? 今この瞬間、僕は望みを叶えちゃったんじゃないでしょうか?」
ゴクリと大きな音が聞こえた。
僕は滲んだ涙をぬぐい、視線を感じて顔を上げると、すでに皿を持ってならぶ如月副会長を筆頭に全員が同じ顔をしている。
「分かっていますとも……存分に食べてください」
結構ボリュームあるからお腹いっぱいにはしないでね?
だって、マンモス肉の石焼き輪切りステーキの後には、もう一つのメインディッシュが控えている。
そしてそれは十分に輪切りステーキに勝るとも劣らない魅力があった。
「よーし! 上手に焼けたよー!」
続いて、浦島先輩達の管理する骨付き肉からは白い湯気が立ち上り、パリッと焼けた皮はメイラードな魅力に満ち溢れていた。
ハッとして、全員が振り返るその動作は、古くから存在する骨付きの浪漫が全員に息づいていることを感じさせる。
では堪能していただこう。
これがモンスター食の真骨頂、マンモスロマン肉のセットである。
「さぁ―――ご堪能ください。 味はきっと気に入ってくれると思います」
いただきますとと口火を切ったお食事タイムはどんな反応が返って来るのか、僕は食べてもらう前から楽しみだった。
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