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第166話助っ人をお願いする
「それはとあるトイレに突然現れるのだといいます。トイレは常に神出鬼没は仕様なんですけど、もう限界だ!と思うタイミングでそこにあるトイレに飛び込むと……ぺろりと尻を舐められるのだとか」
「……なんなのそれ? あ! 新しめのセクハラか!」
「違いますよ。最近流行っている噂です」
最近すっかり真ん丸体型に激太りした、浦島先輩は平常運転だった。
確かにセクハラだなと心の中で考えてしまったが、浦島先輩はしかし一応怪談に近い話を鼻で笑い飛ばしていた。
「噂ねぇ……でもこないだ、ゾンビランドでパレードかましてきたのにだから何だって感じ……すごくない?」
「そりゃそうなんですけど……僕が作ったトイレの中で起っているのが気になるんですよ。本来ならモンスターは入らないはずではあるんですよ? でもそういうイレギュラーが起っちゃうのがダンジョンじゃないですか? もし突如発生した刃物系の妖怪にケツの割れ目をざっくりやられる事案でも発生したら……切れ痔待ったなしですよ?」
「たとえ独特だなぁ……なんなのその緊張感があるんだかないんだかわかんないやつ」
要は信頼性の問題だった。
怖いだけなのと実害があるのとでは天地の差がある。
せっかく減らしたストレスをまた再発なんてこと、放っておけるはずもなかった。
「でしょう? ダンジョン内の建築って、僕らが初の成功例ってことなんでしょうけど……だからどんなことが起こっても不思議じゃないんですよね」
『そんなに変な事は起らないはずなんだけどなぁ』
と言っているのは攻略くんだが、実際噂になっているなら確かめることは必要だった。
「先輩も気になるでしょう? 最近建築頑張ってるみたいですし……というか、かなり頑張ってるじゃないですか?」
そして僕はカフェの外を見る。
そこには浦島先輩が最高にサポートジョブを使いこなしている実例をバッチリ見ることができた。
「フッフッフッでしょう? コツコツと人型のモンスターを集めて来た成果だよね。種族別に一人ずつサポートジョブを覚えさせて、それぞれ役割分担させたのがうまくいったね」
「へー……」
カフェの周囲の絶賛工事中のセーフエリアは完全に今、建築現場のそれであった。
主に中心になっているのがケットシーなあたり浦島先輩の趣味が見て取れる。
動きが速く、相当に器用らしい彼らは教育にも力が入っているようで、様々なサポートジョブを習得し全ての現場で作業をこなしていた。
そして実作業で大活躍なのは、精霊とオーガだと思われるモンスターの群れだろう。
浦島先輩と相性のいい土の精霊たちが建設予定地の地面を自在に整地し、オーガ達が素材を集めていて、桁外れのパワーは本当に重機いらずだ。
そして基礎が出来上がったところにはすでに建物が建て始められている場所まである。
人型に近いサキュバスや、インキュバス、更にはドライアドなどの植物系のモンスターは建築系のスキルと相性がいいのか、それこそ魔法のように高度な建築が組み上がっていた。
「こりゃぁ……セーフエリアが、町になる日も近いっすね」
思わず零すと、そうだろうそうだろうと浦島先輩は腕を組んだまま大きく頷いた。
「その通り! 牧場に訓練場。カフェテラスだけでもいいっちゃいいんだけどね。せっかく広々してるんだから利用しない手はないでしょ」
「そうなんですよね……」
「でも作業員を増やそうにもテイムが大変なんだわ。最初集めるのが好物やらアイテムやらバラエティに富み過ぎだよ」
「そこが、テイムの難しいところなんですよ。自分より強い相手にそれができるかっていうとちょっと難しい」
「ジョブが育ったら育ったで強制テイムも確率だしねぇ」
しみじみとアドバイスをした方と、有効活用した方が頷きあえば、苦労が多少報われる気がする。
まぁ地味ではあるが、ここまでできるようになるまでにも相当に細かい努力が必要だったという話だった。
「これって結局町にするんですよね? 宿泊施設とか?」
「まぁそうだけど……目指すところはテイムモンスターの町だね」
「テイムモンスターのですか?」
正直建築に入ってからはほとんどノータッチだったから驚いたけど、浦島先輩の構想は壮大だった。
「そう! 今野放しじゃん? だけどきっちり一体一体に自分の家を作らせてさ? みんなはそこからカフェなり宿なりに通うわけ! 絶対これ可愛いいっしょ! だからカフェ周辺にはケットシーの家メインで行くよ?」
「あーなるほどですね! 確かにちょっと心苦しかったかも!」
野生動物に近い浦島先輩の愛猫ワカンダ君みたいならまだいいのだが、人の形に近づくほど何かしてあげたくなってくるのが人情というものだろう。
それでいうと浦島先輩の案はとても魅力的に思えた。
「でしょう? ワタヌキ君の天使も連れてきな? なんかいい感じのやつ組み込もうぜ?」
挑戦的な浦島先輩は実に楽しそうで、実際途中経過だけでもかなり面白い。
僕もここに来て自分にない発想が芽吹き始めた気分である。
しみじみと頷く浦島先輩も一緒に苦労しただけに、やはりちょっとだけでも建築系の事件には、思うところもありそうだった。
「でもまぁ数も揃ってこれからって時に問題あるかもってのは気になるね……。うん。じゃあ行ってみようか?」
「よろしくお願いします! いやぁ……正直ランダムポップする大量のトイレを全部回るのは相当きつくて……」
「……どんだけ作った? ワタヌキ後輩?」
「へへっ……もう数えるのはだいぶん昔に止めちゃいましてね」
「……」
視線が痛いけれど強力な助っ人の力を借りられるなら、どうにかなるかもしれない。
そしてこの件に関して攻略君はなにも言ってはくれなかった。
「……なんなのそれ? あ! 新しめのセクハラか!」
「違いますよ。最近流行っている噂です」
最近すっかり真ん丸体型に激太りした、浦島先輩は平常運転だった。
確かにセクハラだなと心の中で考えてしまったが、浦島先輩はしかし一応怪談に近い話を鼻で笑い飛ばしていた。
「噂ねぇ……でもこないだ、ゾンビランドでパレードかましてきたのにだから何だって感じ……すごくない?」
「そりゃそうなんですけど……僕が作ったトイレの中で起っているのが気になるんですよ。本来ならモンスターは入らないはずではあるんですよ? でもそういうイレギュラーが起っちゃうのがダンジョンじゃないですか? もし突如発生した刃物系の妖怪にケツの割れ目をざっくりやられる事案でも発生したら……切れ痔待ったなしですよ?」
「たとえ独特だなぁ……なんなのその緊張感があるんだかないんだかわかんないやつ」
要は信頼性の問題だった。
怖いだけなのと実害があるのとでは天地の差がある。
せっかく減らしたストレスをまた再発なんてこと、放っておけるはずもなかった。
「でしょう? ダンジョン内の建築って、僕らが初の成功例ってことなんでしょうけど……だからどんなことが起こっても不思議じゃないんですよね」
『そんなに変な事は起らないはずなんだけどなぁ』
と言っているのは攻略くんだが、実際噂になっているなら確かめることは必要だった。
「先輩も気になるでしょう? 最近建築頑張ってるみたいですし……というか、かなり頑張ってるじゃないですか?」
そして僕はカフェの外を見る。
そこには浦島先輩が最高にサポートジョブを使いこなしている実例をバッチリ見ることができた。
「フッフッフッでしょう? コツコツと人型のモンスターを集めて来た成果だよね。種族別に一人ずつサポートジョブを覚えさせて、それぞれ役割分担させたのがうまくいったね」
「へー……」
カフェの周囲の絶賛工事中のセーフエリアは完全に今、建築現場のそれであった。
主に中心になっているのがケットシーなあたり浦島先輩の趣味が見て取れる。
動きが速く、相当に器用らしい彼らは教育にも力が入っているようで、様々なサポートジョブを習得し全ての現場で作業をこなしていた。
そして実作業で大活躍なのは、精霊とオーガだと思われるモンスターの群れだろう。
浦島先輩と相性のいい土の精霊たちが建設予定地の地面を自在に整地し、オーガ達が素材を集めていて、桁外れのパワーは本当に重機いらずだ。
そして基礎が出来上がったところにはすでに建物が建て始められている場所まである。
人型に近いサキュバスや、インキュバス、更にはドライアドなどの植物系のモンスターは建築系のスキルと相性がいいのか、それこそ魔法のように高度な建築が組み上がっていた。
「こりゃぁ……セーフエリアが、町になる日も近いっすね」
思わず零すと、そうだろうそうだろうと浦島先輩は腕を組んだまま大きく頷いた。
「その通り! 牧場に訓練場。カフェテラスだけでもいいっちゃいいんだけどね。せっかく広々してるんだから利用しない手はないでしょ」
「そうなんですよね……」
「でも作業員を増やそうにもテイムが大変なんだわ。最初集めるのが好物やらアイテムやらバラエティに富み過ぎだよ」
「そこが、テイムの難しいところなんですよ。自分より強い相手にそれができるかっていうとちょっと難しい」
「ジョブが育ったら育ったで強制テイムも確率だしねぇ」
しみじみとアドバイスをした方と、有効活用した方が頷きあえば、苦労が多少報われる気がする。
まぁ地味ではあるが、ここまでできるようになるまでにも相当に細かい努力が必要だったという話だった。
「これって結局町にするんですよね? 宿泊施設とか?」
「まぁそうだけど……目指すところはテイムモンスターの町だね」
「テイムモンスターのですか?」
正直建築に入ってからはほとんどノータッチだったから驚いたけど、浦島先輩の構想は壮大だった。
「そう! 今野放しじゃん? だけどきっちり一体一体に自分の家を作らせてさ? みんなはそこからカフェなり宿なりに通うわけ! 絶対これ可愛いいっしょ! だからカフェ周辺にはケットシーの家メインで行くよ?」
「あーなるほどですね! 確かにちょっと心苦しかったかも!」
野生動物に近い浦島先輩の愛猫ワカンダ君みたいならまだいいのだが、人の形に近づくほど何かしてあげたくなってくるのが人情というものだろう。
それでいうと浦島先輩の案はとても魅力的に思えた。
「でしょう? ワタヌキ君の天使も連れてきな? なんかいい感じのやつ組み込もうぜ?」
挑戦的な浦島先輩は実に楽しそうで、実際途中経過だけでもかなり面白い。
僕もここに来て自分にない発想が芽吹き始めた気分である。
しみじみと頷く浦島先輩も一緒に苦労しただけに、やはりちょっとだけでも建築系の事件には、思うところもありそうだった。
「でもまぁ数も揃ってこれからって時に問題あるかもってのは気になるね……。うん。じゃあ行ってみようか?」
「よろしくお願いします! いやぁ……正直ランダムポップする大量のトイレを全部回るのは相当きつくて……」
「……どんだけ作った? ワタヌキ後輩?」
「へへっ……もう数えるのはだいぶん昔に止めちゃいましてね」
「……」
視線が痛いけれど強力な助っ人の力を借りられるなら、どうにかなるかもしれない。
そしてこの件に関して攻略君はなにも言ってはくれなかった。
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