ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち

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第257話僕の世界

「ビックリしたよ! 城がいきなり光り出すから!」

「大丈夫でござるか!」

 浦島先輩達の声が聞こえて僕は目を覚ます。

 ちょっと疲労に浸って寝ていたらいつの間にか、みんな集まってきてしまっていた。

 待ち合わせに遅れちゃったかな? こりゃあまずいところを見られたね。

 そしてなぜか大量の天使達も全員集合で、いつになく大げさに頭を下げていた。

「えぇ? なにこれ? こわぁ……。なんでモンスター集まって来てるの?」

 そんな独り言の様な問いに答えたのは、攻略君だった。

『君の魔力に引かれて駆けつけたんだろう。この階層すべてに行き渡ったはずだからね』

「……そうなんだ」

 魔力が階層に行き渡るとかちょっと意味が分からない言葉は、見て廻っていればそのうち分かるやつなんだろう。

 そして攻略君がそこはかとなく嬉しそうな時、それは大きな価値のある変化の証だった。

『ああ、君のイメージで城も階層も書き換わったはずだよ』

「書き換わるって?……おいおい聞いてないよ?」

 それって、この椅子に座ったことで、城を大改造しちゃったってこと?

 椅子に座るだけでリフォームとは、随分とお手軽だけど、そりゃあものすごく派手な事になっていたんじゃないだろうか?

 部の仲間達を見てみるとやたらワチャワチャしていて、それだけで焦りが伝わってくるようだった。

「……こりゃぁ、やらかしたかな?」

 今や歴戦の猛者であるみんなが動揺しているところを見ると、やはり相当ものすごいことが起こったらしい。

 だけど僕とてそろそろ非常識なことをうっかり起こしてしまった時の対応策は固まりつつある。

 動揺を態度に出したらより不安を煽りかねないので、あくまで落ち着いて、当然って顔でまずは事実を確認すればいい。

 驚くのは……まぁ家のトイレででも済ませればいい事だった。

「じゃあ……ちょっと見てみようか?」

 僕はひとまずそう声に出して、外が見られそうなテラスを発見すると、そちらに向かう。

 そして外に出てこの階層を一望できたのだが……目の前に広がっていた景色は確かに元の不毛の荒野ではなかった。

「…………っ」

 本本本本また本だ。

 無限に続いているように見える棚とそこにギッチリ詰まった恐ろしいほどの本が、世界を埋め尽くしている。

 階層がうたた寝の間に一新されるというスケールの大きさをこの目で目の当たりにして、僕は思わずクラリと眩暈を覚えた。

 だというのに攻略君は僕の頭の中で何やら感動していて、感嘆のため息など漏らしながらとてもうれしそうだった。

『ハァ……美しいフロアになったじゃないか』

「……貸出カードでも作る?」

『うーん……君のコメントは適切不適切もあるが、基本的に軽いね?』

 それこそ紙のようにって? やかましいです。

 しかし本の山が僕の内面を反映しているというのは少しばかり釈然としなかった。

 攻略君の影響も大きそうだななんて思っていたら、はしゃいで手短な本棚から見つけた本を見て興奮する浦島先輩の声で、僕の頭は現実に引き戻された。

「これはっ!……ワタヌキ後輩! 私らが生まれる前の同人の棚とかあるよ! ヤバ! こっちは、漫画の初版本の棚! 今時手に入らないやつ」

「……」

 僕はスッと両手で真っ赤になった顔を隠した。

「なんか超恥ずかしい……」

『……まぁ趣味の本が手短な場所に揃うのは仕方のないことだよ』

 攻略君変な慰めは不要。僕とて予想できたことである。
 
 多少赤裸々すぎる蔵書もあるに違いないが、確かに眺めは悪くない。

 それどころか珍しく殺伐としたダンジョン攻略には、ちょうどいい癒しのある締めになったんじゃないかと思う。

 僕は振り返り、仲間に宣言した。

「うん! 見ての通り、この階層は僕らのものです! ではこれにて100階層本当に攻略完了です! 城を自由に見て廻れるようになったんで、戦利品の山分けと行きましょうか?」

 すると仲間どころか、モンスター達まで勝鬨を上げていて割れんばかりの歓声を響かせた。

感想 3

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