ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち

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第9話成果と初めての冒険

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「ふぅ」

 早朝一番で僕はダンジョンに入る。

 ただし今までのなんとなく検証程度の気合とは今日は一味違う。

 受付のお姉さんの差し出す書類を持つ手にも力が籠ると言うものだった。

「今日はまた一段と早いですね」

「ええ。ちょっと今日はいつもより階層を潜ってみようかなって」

「……無理をしないで頑張ってくださいね」

「はい」

 心配そうな受付のお姉さんに見送られて僕はダンジョンに入ると、いつも以上に念入りに準備運動した。

 まず深呼吸を一つ。そしてクラウチングスタートから―――久しぶりに本気で走った。

 しかし我がことながら、そのあまりの加速にちょっとビビってしまった。

「……!」

『ダンジョンに入れば、君達が言う筋力トレーニングとはまた意味合いの違う強化がある。たった1レベルが上がっても世界が変わるだろう? 速さを抑えている君でも、十分超人だ。そこ右だね』

 攻略君のナビは、今日の絶対的な命綱だ。

 スピードにも段々慣れて来て、僕は順調にダンジョンを駆ける。

 言われた通りに進むと、下に降りる階段があって最短の道を進むと言った攻略君のナビは正確な様だ。

 そして当然モンスターも存在しているはずだが、予想よりも出てこない。

 これはきちんと攻略君が仕事をしている証拠だった。

「モンスターとの遭遇は避けている。今出会って戦ったら確実に死ぬからね」

「ひぇぇ」

 だがそれでもどうしても避けようのない時はあるのだが、今回の攻略は回避一択だった。

「前方でっかいカエル!」

『無視だ! あいつは前しか襲って来ない! 大きく回り込んで!』

 2階

「でっかいトンボ発見!」

『あいつは速いから見つからないように、視界にいる間はゆっくりと動いて、まだ速い! もうちょい動きを遅くしたら目で追えない』

 3階

「海がある! ぎゃあああ! でっかい魚が水辺からぁ!」

『三秒後にジャンプ! 飛び込んだ先の渦がゴール!』






などなどさすがダンジョン、試練とトラブルの連続は最短だろうと僕の寿命を容赦なく削ってくれたのだった。

「ハーハーハーハー……し、しぬぅぅぅぅ」

『生きてる生きてる。いい感じだったよ」

「ぐぐぐ……」

 軽い言葉に思わず視線に殺意が籠った。

 もはや緊張と疲労で喉もカラカラである。

 持ってきていた水筒からガブガブ水を飲んで一息つくと、今一瞬前の自分がやったことを頭が理解してきて、体が震えた。

 次々モンスターとの遭遇を華麗に回避! とか気軽に言えない。

 生きているからこそ、大変心臓に悪い道のりだった。

 その先も攻略君の攻略ナビをフル活用しながら進み、忠実に言葉に従うことで僕は無事10階に到着することに成功したのだ。

「……多分一回でもミスっていたら死んでたよね?」

『当然そうだ。道順もタイミングも大げさなほど慎重に選んでいるよ』

「……それはありがとう。じゃないと10階なんて拝めるわけないもんね」

 そしてかなり上がっていた身体能力は、この局面で存分にその真価が発揮されていたと思う。

 そして自分が、今実力よりもはるか上の階層に辿りついているという事実は、まるで命が綿毛のように軽くなったようなフワフワした気持ちだった。

「10階……。死ぬかと思ったけど10階ってさ……」

『そう……ここが階層の守護者ルーム。本日の狩場だ』

「……ふへへへへ」

 攻略君が肯定したことで、さすがに僕の胃もズンと重くなった。
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