宇宙の果てで謎の種を拾いました

くずもち

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第80話防衛拠点を作ろう

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 僕達は宇宙空間にいた。

 オペ子さんの提案によって、ワープゲートの前に集まったわけだが、そのメンバーは僕とシュウマツさんと白熊さんである。

 そして白熊さんのアウターの肩には赤いトカゲが乗っかっていた。

「トカゲくんも来たんだ」

「まぁね。クッキーも一緒に行きたいんだって」

「クッキー?」

「この子の名前だよ。いつもクッキーを焼く時、窯に入っているから」

 なるほど。クッキーか。実にかわいらしい名前である。

 しかし白熊さんについて回るようになっているのは、メタル化を狙っている気もするが言わないでおこう。

 この感情の豊かさだと、ルリ同様もう一段上に行くのも近い気がした。

 それはともかく、話し合いである。

 僕はアウターの中のモニターから、オペ子さんに尋ねた。

「それで? 提案って何だろう?」

「はい。実はワタクシ、ニライカナイコロニー周辺に防衛拠点を置くのはどうかと思っていまして」

「防衛拠点?」

「はい。ワープゲートが完成し。電波状態が回復傾向にあります」

 ただ唐突に告げられた情報は、僕にとっては待っていた吉報だった。

「おお、うまくいってるんだ。何度見てもでっかいよね……」

「それだけ穴が巨大だったということだよ」

 シュウマツさんも感慨深げにゲートを眺めていた。

 コロニーにゲート。

 なんともロマンあふれる施設が完成し、こうして目の前にある光景は、つくづく非常識に大規模でSF染みていた。

「はい。機能面でも今のところ順調だと言えます。空間は安定し、地球への帰還も可能でしょう。驚くべきことです。しかし今後、目撃され、通信もできるとなれば、発見されるのは時間の問題だと思われます。そうなった時、防衛戦力の一つもないのはいささか不用心に過ぎると考えます」

「……不用心かな?」

「はい。不用心ですし、礼を失するかと」

 しかしオペ子さんの思っても見なかった言い様に、なんとも僕はさすがに汗をかいた。

「れ、礼儀? そもそも人いないじゃない? 国家でもあるまいし」

「これからはそうとも限りません。普通コロニーを見て、国家が関わっていないと思う人間はいないのです。そして万一接触があった場合、なにもなしでは話もできません」

「できないかな?」

「ええ。舐められたら終わりかと」

「舐められるかなぁ……謎の宇宙生物だっているけど?」

「アレは鉱物採集用でしょう? 戦力として十分だとは言い難いですよ」

「そうかなぁ」

 結構アレ、やばいと思うのだが、確かに防衛用かと言われると、疑問はあるか。

 それにしても何ともおっかない話である。

 考えてみれば確かにお話し合いをしようと思えば国家を想定して準備を整えてくるのはわかる話である。

 そしてオペ子さんは、その準備が軍事行動でも全然おかしくはないと考えているようだ。

 もう少し人間ってやつは理性的な生き物だと僕なんかは思っていたが、どうやらAIにはずいぶんな評価をされているみたいだった。

「そこで、先ほどの機械生命体です。アレは実に面白い。おそらくアレは生物のようではありますが、構造的にロボットに近いものです。ならば宇宙空間で活動することもできるのではないでしょうか?」

「……さすがに無理じゃないかな?」

 そこのところどうなのだと仲間の顔を見回すと、反応があったのは予想外のトカゲくん、クッキーだった。

 クッキーはサッと右手を上げて、翻訳するのは白熊さんである。

「なんか……行けるらしい。あの鳥に負けっぱなしは悔しいから、頑張ったそうだけど」

「君の仕業かい。そんなに悔しかったんだ……後で僕も何か作ってあげるね? いやでも……宇宙に出られたからって、防衛の戦力なんて無理じゃないかな?」

 アレはどう見たって四足歩行の動物だった。

 地面を走るのには向いていても、宇宙空間で走り回るわけにもいかないだろう。

 他に種類がいるとしても、傾向からして地上の生き物を模してくるとは思う。

「そこは適切な装備をさせればすむ話です。幸いここは隕石の多い宙域ですし、踏みしめる地面も問題ないでしょう。適切な調教は必要ですが、武装を施し、拠点に住まわせれば、優秀な戦闘員になると考えます」

「武装なんて使えないんじゃないかな?」

「はい。ですので搭乗できる装備を設計し、キジムナー君を乗せようと考えています。あの子達も空気がなくても問題ありませんので。調教も兼ねてツーマンセルで運用すればより効果的ではないでしょうか?」

「……調教とは。いやキジムナー君か」

 キジムナー君と言えば、オペ子さんが冥界で作った小型の人型アンドロイドだったか。

 子供というか、マスコットの様なものだとばかり思っていたけれど、そう言えば戦って命からがら逃げだしたことを思い出した。

 あのキジムナー君を、金属生命体と抱き合わせで行動させたいと?

 僕はそうなった時のことを頭の中で想像して、尋ねた。

「食われない? キジムナー君?」

「……ボディは修復可能です。そう言う意味でも最適かと」

「……」

 そうか、しばらく齧られるの前提なのか。可哀そうなキジムナー君。

 しかし提案自体は大まじめなようなので検討には値する。

「僕は……ギリギリ面白いと思う。コロニーの中にいるよりはいいかもしれない」

 防衛拠点云々はともかく。少なくとも食べられない生き物によって、コロニー内の生態系が荒れる事態を防げるのは利点と言えると思う。

「そうだね。ひょっとすると、更に最適化するかもしれないから面白い試みだよ」

 シュウマツさんは更なる進化なんて恐ろしいことを期待しているようだが、この上更には勘弁してほしい。

「いいんじゃないかな? じゃあ、見かけしだい捕獲していけばいいんだよね?」

 もうすでに次やることを考え始めている白熊さんも中々である。

「よろしくお願いします」

 同意は得られたと、満足げな表情を浮かべるオペ子さんを見ていると、僕は不安な気持ちになって来た。

「賛成はしたものの……大丈夫?」

「それも含めての、テストです。うまくいけばよいのですが」

「あ、うん。色々試してみるのはいいこと……いいことだよね?」

 僕はとりあえずOKを出した。

 他に代案もなかったからなのだが……これが後にあんなことになるとは、この時僕は想像もしていなかった。
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