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五話 肝心な事はもっと早く言えよ!(2)
しおりを挟む村全体は、真ん中にある井戸を中心に円状になっていた。
この村と呼べるかどうかも怪しいこれからの僕たちの住居を一通り見てから委員長がいるところに向かおうとしたが、 そこまで広くは無いため、直ぐに全体を見る事が出来た。
委員長がいるという場所に行くとそこにはコンビニ程度の大きさの簡素な木造の建物があった。
中には、委員長と数人の男子生徒が、作業をしていた。
「ああ、能崎。君が一番か。狩りはどうだった?」
委員長は、作業をしながら話しかけきた。
「ああ、一角ウサギを5匹狩ってこれたよ。委員長、解体できるのか?」
「問題ないよ。肉をとるだけなら右の建物に、塞怒(さいど)くんがいるはずだから、そいつに渡してくれ。」
流石に委員長がやるわけでは無いらしい。僕達は塞怒君の所へ向かった。
右の建物は、少し小さな建物だった。中に入ってみると、そこは、木と石で造られた調理場と食事場があった。石のフライパンと石包丁しか見当たらないが、これ以上を求めるのは、酷だろう。
そんな事を考えていたら、奥から塞怒君が出てきた。塞怒君は155cmと小柄だが、中学まではどっかの山奥で農家をやっていたおじいさんを手伝っていて、筋肉がすごいある、力持ちなのだ。
「あ、ノザキ。きてたのか。言ってくれよ。んで、肉の解体だろ?大丈夫大丈夫!まかせろ!実家では鹿とか猪とか解体しとったでいけるいける!」
何故か僕の事をノザキという。
そんな事は置いといて、一角ウサギを渡した。
直ぐに塞怒君は解体を始めた。
塞怒君の包丁(と言うか短刀だと思う)さばきは見事なものだった。僕は解体なんてした事ないからよく解らないけど、あっという間に一匹を捌き終わった。
「いやあ、初めてだったから肉の美味しいとこ潰しちまった。すまんなノザキ。」
塞怒君にとっては上手くは出来てないらしい。一五分位でこんな事ができるんだからすごいと思う。これからはいっぱい捌くんだし、今はしっかりみんなが食べる量さえあれば良いんだし。
「ああ、そういえば、みんなが捌くの見てたから言わなかったけど、委員長からの伝言だ。学園長からメールが届いたらしいから、井戸前広場で待っとけってさ。井戸前広場はわかるよな?この簡易施設全体の中心にあるあれだ。まあ、広場つっても井戸とイスしか無いけどななんか、重要なことがあるらしいからな。みんなが揃ったら話すそうだから、まだ時間はあると思うがな。さあさあ出てった出てった。俺はまだ沢山捌かんといかんからなぁ。」
なんか追い出されるように建物を出た後、井戸前広場にきた僕達は少しの間待つ事にした。
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