ミナモミナイ

ミナモミナイ

僕は今ゲームの世界にいる。そして、僕の目の前では僕を殺そうとしている殺人鬼がいる。 「うわぁぁああ！！！」 僕は大声を上げてその場から逃げ出した。 後ろからは追いかけてくる足音が聞こえる。 必死に走って逃げるけど、恐怖で上手く走れない。それでも必死に逃げていると、前方に大きな扉が見えた。 僕は迷わずその扉に飛び込んだ。 飛び込むと同時に背後からバタンという音と共に何かが閉まる音が聞こえた。 「はあ……はあ……」 息を切らしながら周りを見渡す。そこはさっきまでいた場所とは違った場所だった。どうやらここはダンジョンの中らしい。 「なんなんだ一体……。あれって現実なのか？それとも夢？」 もしかしたら今までの事は全部夢なんじゃないかと思い頬を思いっきりつねる。普通に痛い。 「……」 とりあえず落ち着いて考える為に座り込み深呼吸をする。 （まず状況を整理しよう） 僕は自分の名前を思い出す為、記憶を探る。 『イヴァン』それが僕の名だ。　名前の意味は『神の贈り物』だ　年齢は17歳。性別は男。家族構成は両親と妹が一人いる。 両親は普通のサラリーマンと専業主婦をしているごく平凡な家庭で育った。 妹の名前は『エリーナ』で今は高校2年生だ。 成績優秀で容姿端麗な自慢の妹だ。 学校の成績は常にトップクラスで、生徒会にも入っているらしい。 ただ一つ問題があるとすれば、少しばかり性格が悪い事だろうか？まあ、そこも可愛いんだけどね。 次にこの世界についてだが、ここは地球ではなく、異世界の世界だ。 理由は分からないが、ある日突然この世界に召喚されたのだ。 最初は混乱したが、今ではすっかり慣れてしまった。 この世界で生きていく為には強くならなければいけないと言われた僕は、剣の才能があると言われて、騎士団に入団した。 それから数年経って、騎士の中でもかなり強い部類に入るようになったいま、僕は勇者として召喚され、魔王を倒す旅に出た。旅に出て1ヶ月ぐらい経った頃に、ようやく魔王を倒したのだが、そこで現れた女神によって、元の世界に戻れるか聞いたところ、無理だと告げられた。 その理由は魔王を倒した事で、元の世界との繋がりが完全に断たれたからだそうだ。 だからもう二度と帰る事が出来ないと言われた。だけど僕はそんな事は最初から分かっていた。だって向こうには両親がいて、友達もいるんだから……。それに、妹のエリーナもきっと悲しむだろう。 そう思って泣くのを我慢していたら、急に女神が僕の事を抱きしめてきた。　その瞬間
そして僕は誓った、この世界でモンスターを倒し、レベルを上げ、ここの住民と暮らすことを・・・