秋色の虹

原 愛衣

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忘れ物

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「よく来るの?」

そういってこちらを見る顔は、すべてを見透かされるような、でも綺麗な目だった。



笑うと目元にうっすらと見える小さなシワが、彼をまた色っぽくみせた。


「たまにです。ここはお酒も美味しいし、気軽に来れるから。軽いつまみも出してくれるし。ねっ、マスター」

娘のように可愛がってくれる(いや、孫といった方が正確かもしれない)マスターも藍流とは気があうようで、男同志、ゴルフの話や知人の話なんかをして盛り上がり、また私も混じって楽しい時間を過ごした。


見た目にも若く、話をしていても違和感のない藍流は30代といってもおかしくないだろう。


気になったものの、さすがに初対面で、年齢が聞けるほど慣れていない。

「そろそろ帰るよ。明日も仕事だし。君も早く帰りなよ。女性が1人歩くのは心配だからね」


そういって片手をあげて挨拶をし、すっと店を出て行った。


一言で言うと、スマートだと思った。


今日会ったばかりで、お酒も飲んでいる。

送っていくと言われても、変に警戒してしまうだろう。


知らずに会計だけを済ませてくれた彼にお礼もいえぬまま、その日は家路についた。

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