拾った彼はイケメンでした

まるり

文字の大きさ
上 下
1 / 7

いつもと変わらない日々

しおりを挟む



私は松野真衣。ただのOL。



27歳の独身女だ。



いつものように仕事に行き、上司にコーヒーを出し、お客様に笑顔を振りまく。


ただ、他の人と違うのは、私がデブでメガネで地味という事。


唯一の友達で先輩の愛ちゃんは

愛「真衣さー、眼鏡外したら絶対可愛いのに、何でコンタクトにしないの?」

「私なんかが可愛くなるわけないよ。笑」

愛「でも、香織みたいに女全面に出してたら仲良くなってないかも。笑」

そんな他愛もない話をしていた。




そして、帰宅時間になり愛ちゃんと話していると


愛「え、なにあれ。」

「何??」

愛「あそこ!」

愛ちゃんが指差す先には、肩を押されて、派手に転んでいる人がいた。

「触るんじゃねーよ!きったねーな!!」

スーツを着て、優しそうな顔をしている人なのに、その男は転んだ人に対して怒鳴っていた。

「子供…?」

大人というには小柄で、憔悴しきっていた。

怒鳴っていた男は、肩をほろいながら、そのまま駅に向かって歩き出した。

「あの…大丈夫ですか?」

「……」

その男か女かわからない人は何も言葉を発する事は無かった。

愛「やめなよ…行こうって!」

「でも…私、何かほっとけない!!」

チラッと顔をあげたその子は男の子のようだった。

「あ!ちょっと待ってね。…これ、お昼時間が無くて食べられなかったおにぎりなんだけど、食べる?」

そう言って、おにぎりを差し出すと、すごい勢いでおにぎりを食べ始めた。

「…グス……おいしい…」

泣きながらおにぎりを食べる様子を見て、この子にはきっと何かがあったのだと思った。

「お父さんとお母さんは?」

そういうと、おにぎりを食べていた手をピタたと止めた。

「お父さん…いない。」

「…お母さんは?」

「お母さん…お母さん…グス…」

「うち、来る?」

男の子は私の顔を見て驚いていた。


愛「え!真衣、本気!?」

それは愛ちゃんも同じだったようだ。

「きっとこの子は大丈夫だよ。何かあったんだと思うし…。それに、もし私に何かあったら愛ちゃん気づいてくれるでしょ?」

愛「わかったよ。じゃあ、何かあったら絶対に言うこと!!いい?」

「はーい!」

そして、私は男の子の前にしゃがみ込んだ。








しおりを挟む

処理中です...