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6日目/山内彩芽【食事会①】
しおりを挟む今、私とお母さんとで橘家に向かって歩いている。
近所なので、歩いても3分ぐらいの距離。
昨日の夕方に恵美ちゃんのお母さんから電話があったらしい。
用件はあの男性との面会の打ち合わせを兼ねた食事会。
まだ会った事はないけど、あの男性の担当保護官も来るらしい。
少しはあの人の事、教えてくれるかな?
お母さんは私の保護者として、無理矢理でも面会に同行するって昨日言ってた。
男性保護官の人、許してくれるかな?
そんな事を考えていたらもう恵美ちゃんの玄関の前に着いていた。
そ~言えば最近お邪魔する事もなくなっていたな~最後に来たのは成人式の日だったかな?
お母さんが慣れた様に玄関のインターホンを押した。
「こんばんわ~山内で~す。」
すると、家の中から足音らしき音が聞こえて玄関の電気が点いてドアの鍵が開いた音が聞こえて玄関が開いた。
「は~い、こんばんわ~どうぞ入って」
そう言って出てきたのは、恵美ちゃんのお母さんの正美さんだった。
「久しぶりに来ちゃった、お邪魔しま~す。」
「正美さん!お邪魔しま~す。」
私達は慣れた感じで玄関に入って靴を脱ぎスリッパを履いて家の中にあがらせてもらった。
小さい頃は毎日の様にお互いの家にお邪魔していたので、今さら他人行儀など出来ないくらい慣れた家なのだ。
正美さんも特にこちらにとか言う事もなく、普通にリビングに向かっているし身内が来たみたいな感じなのかな?
リビングに入ると、恵美ちゃんはソファーに寝そべったままで
「こんばんわ~まだ時間あるしゆっくりしてたよ~」
「こら!恵美!あんたはこっち来て準備手伝いなさい。」
「え~~ダルいんだけど?……しっかたないな~じゃ~彩芽も手伝って!」
いきなり私にも話が来たので、ちょっとビックリしたけど恵美ちゃんは普段からこんな感じだから
「え?うん。わかった。」
正美さんはソファーに寝転ぶ恵美ちゃんに
「恵美!あんたはいっつも彩芽ちゃんも巻き込むのやめなさい!」そう言ってから私に
「ごめんなさいね。彩芽ちゃん、二人はソファーに座って待っててちゃうだい。」
「私で手伝える事なら手伝いますから。恵美ちゃん一緒にしようよ。」
こんな感じのやり取りもなんか久しぶりだな~
小っちゃい頃にも二人でお手伝いとかしたよね。
お母さんも正美さんも、少し懐かしく感じでいるのか楽しそう。
恵美ちゃんだけは、本当にだるそうだけど……
昔の様にみんなで準備をしました。
準備をしながら、これから来る男性保護官の人の事を正美さんが教えてくれました。
恵美ちゃんが生まれる少し前まで、正美さんが男性保護官をしていた事には私もビックリした。
私のお母さんは知っていたみたいで驚いてはいなかったけど。
今から来るその人と正美さんは同期で一番仲の良かった事とか教えてくれた。
恵美ちゃんも何回も会った事あるらしく、親戚のおばちゃんみたいな感じって言ってた。
それを聞いた正美さんは、もし『おばさん』って言ったら一週間キノコ料理にするからねと恵美ちゃんを脅していたのには笑ってしまった。
そんな感じでお鍋の準備は進んで約束の時間に近づいてきた。
インターホンが鳴った。
「あら?珍しく時間前に来たようね。」
そう言って正美さんは玄関にパタパタと迎えにいった。あっ恵美ちゃんも迎えに行った。
私はお母さんに「どんな人なのかな?ちょっと緊張するね?」
「そうね、お母さんもちょっと緊張してるのよ。でも大丈夫!頑張って面会に同席出来るようにしなくっちゃね。」
そう、お母さんの願いは同席!私が第一発見者だから私が会えるのは確実なんだけどね、お母さんの事はお願いしてみないとわからないだよね。
玄関の方からなにやら話声が聞こえてきて、それからリビングにその人が入ってきた。
「こんばんわ、初めまして男性保護官の三神と言います。忙しい所時間を作って頂きありがとうございます。」
「こんばんわ、こちらも色々とお聞きしたい事もありましたのでお会いできて光栄ですわ。うちの娘の話だと男性に関わる話だと聞いたもので保護者として付いてきました。良かったかしら?」
「はい、問題はありません。後ほど詳しくお話しをさせて頂きますが、今回の男性の話を聞いた方も関係がありますので、こちらとしましては大変助かります。それで、そちらの娘さんが山内彩芽さんですか?」
あっ!私に来た。あまりにもお母さんが真面目な感じで話しているのでちょっと固まってしまってた。
いつもはのんびりした感じでいるから……
「あっ!はい!や、山内彩芽です。え~と、こ、こんばんわ、よろしくお願いします。」
緊張して何か汗出てきちゃった。
「あはは、彩芽~緊張してる~うける~」
恵美ちゃんが私を指さして笑っていた。
「あたり前でしょ?どっちも初対面なんだから、あんたはもうちょっと場の空気を読みなさい。」
恵美ちゃんの隣にいた正美さんは呆れた感じで、恵美ちゃんの頭に軽くゲンコツを振り落とした。
「いたっ!だって、これからご飯食べるのにこんな雰囲気じゃ食べにくいし!」
私はいつも通りの恵美ちゃんに笑ってしまった。でもお母さんも三神さんも笑ってた。
そのおかげでその後の食事は楽しく進んで行った。
「いや~仕事として来たつもりだったが、やはりここに来ると和んでしまうな。山内さん達には申し訳ない。」
最初はちょっと怖いとさえ思ってしまったけど、こうやって一緒に食事すると真面目で良い人なんだってわかってきた。
「いや、いいですよ。私も話やすくてなって助かりました。」
「そう言って貰えると助かります。最初、橘から打ち合わせするなら家でご飯でも食べながらしないかと言われた時にはビックリしてしまった。」
そう言って正美さんの顔を覗きこんでいた。
でも正美さんは平然と
「そう?ちょうどあなたもストレス溜まって飲みたいかと思ってたし、山内さんとも久しぶりに一緒に食事したかったし、私としては一石二鳥かなって思って。娘達も最近会ってなかったみたいだし、ちょうど良かったのよ。」
「いやいや、仕事と一緒にするのはどうかと思うが?」
「そうかしら?これから『お願い』するんでしょ?頼みやすくなったんじゃない?」
「はぁ~そこまで狙ってたのか?」
「さあ、どうかしらね?ほらそろそろ酔う前にお話し始めましょ?ちなみにうちの恵美も彩芽ちゃんから聞いて知ってるから関係者よ。私はいいとして3人には『お願い』しないとね。」
「なっ!く~また1人増えたのか……わ、わかった。」
三神さんはこめかみに片手で押さえるように少し悩んでから話始めた。
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