妻の望みは………貞操逆転世界

クロハナ

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7日目/岡崎優輝【面会②】

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朋子おばさん、なぜにあの公園の事を静子さんに教えたのですか?

俺は見えないはずの空に向かって問いかけた……


諦めよう……あの事を知っている人には逆らうもんじゃない。


「あらあら、あれは見てるこっちも恥ずかったものね。思い出したかしら優輝君?」


俺は静子さんが聞いてきたが、すぐに答える事が出来ないくらい精神的にダメージが多かった。

あの時、朋子おばさんが飼っていた犬のタロが、散歩中に逃げて俺の所に来なければ見つかる事はなかったはずなのに……


「し、静子さん、若気の至りって事で忘れてください!お願いします。」


「まぁ、衝撃的だったから忘れられないけど内緒にはしておくわ。その代わり条件があるわ」


「条件?」


「ちゃんと家族としてうちで生活するのと私には嘘をつかない事が条件かしらね。守れるかしら?」


「はい!精一杯守ります。」


「うん!優輝君はいい子ね……でもまだまだ聞きたい事があるので答えてくださいね。」


「な、なんでしょう?」


「私が朋子さんから教えて貰ったのは、結婚した所まで……それも何歳の時かもわからないの……優輝君は何歳でこちらの世界に来たの?」


「え~と静子さん?質問に質問で返すのは悪いと思うんですけど、夢の中で朋子おばさんの目線で体験したって言ってましたけど詳しく教えて貰えますか?」


「あらあら、そー言えば大事な事を教えてなかったわね。夢の中では音が一切無かったのよ、だから私は唇の動きで会話を知ったの。夢の中には優輝君の他にも清十郎さんや雪子さんそれに[あや]さんにも会ったわ。」


「音がなかった?随分変わった夢なんですね。」


「えー本当に変わった夢だったわ、でも凄くリアルで目が覚めてもハッキリ覚えていて不思議だったわ。」


「え~とさっきの質問なんですが、こっちに来る直前は46歳の時でした。結婚したのは32歳の時ですね。」


「よ、46?」


「えぇ、彩が先立ってしまって、一人で孤独に生きていました。それが突然朝起きたら知らない病院のベットの上で、体も若返っていて……もう何が何だかわからない感じですね。」


「え?1人?[あや]さんが亡くなった?どうして?」


俺は結婚してから不妊治療を夫婦で頑張ったが叶わなかった事や、彩が癌になり闘病の末亡くなった事、1人になってから生きる気力もなくダラダラと生活していた事を話した。

俺も誰かに聞いて欲しかったのかも知れない。

溜めていた気持ちと一緒に吐き出すように……話を終えた時には俺は泣いていた。

静子さんも泣いていた。


「夢の続きにはそんな事があったのね……残念だわ、あれから幸せに過ごしていると思っていたのに……」


「俺はどうすればいいと思います?」


「そうね……朋子さんが私に見せた過去の事を考えれば、優輝君の事を頼みますって意味のような気がするの。でも優輝君に示せる様な事は何一つ教えて貰ってはいないと思うわ。逆に優輝君は何かしたい事や前の世界での未練みたいな物は無いのかしら?」


「ん~~、そう言われても……未練があるとすれば、彩とまた会いたい……会って今度は一緒に歳をとって子供に囲まれて往生したいですかね。」


「今も愛しているのね……そうよ!探してみましょう?もしかしてこっちの世界にも[あや]さんいるかもしれないじゃない?」


「え?いるかもしれない?俺がいた時代から100年ぐらいこっち未来ですよ?」


「え?ゆ、優輝君は過去から来たの?」


「あっ!まだ言ってなかったですね、俺がいたのは2016年の年末でした。」


「はぁ~あの夢を見ていなかったら、とてもじゃないけど信じられない事よね。未来の違う世界に来た……何か意味があるのかしら」


そうか!こんな事が起きているのには何か意味があるのかもしれない。

そんな風に考えていると、部屋に突然電話の音が鳴りだした。

俺は音の鳴る方を見ると壁に一台の電話が掛けられていた。あっ!電話あったんだ。

俺は電話に向かって立ち上がり電話を取った。


「こちらはナースセンターです。面会の規定時間になりましたので、申し訳ありませんがそろそろ退出の準備をして頂けないでしょうか?」


あっ!そー言えば面会時間って1時間って聞いてたの忘れてた。


「わ、わかりました。」


「ありがとうございます、では5分後に退出をお願いします。」


俺は電話を元に戻して静子さんに時間が来た事を伝えた。


「もう時間なのね、残念だわ。今日は本当に急に無理を言ってしまってごめんなさいね。」


「いえいえ会いに来て貰ってありがとうございました。正直とても不安だったので安心しました、退院したらよろしくお願いします。」


「こちらこそ宜しくお願いしますね、では4日後に迎えに来ますから」


そう言って静子さんは椅子から立ちあがり帰ろうと扉まで歩いて行った。

俺はその後ろ姿をただ見ていたら、静子さんが何か思い出したような声をあげて振り返った。


「あっ!そうそうお話に夢中になって忘れてたいたわ、これ優輝君に渡そうと思って持って来てたの。あちらでも同じ様な物あったはずだから使ってくださいね。」


静子さんは小さくて薄い箱を、部屋の中央の仕切り板の荷物用の受け渡し口から渡してきた。

なんだろう?

その箱をよく見てみると箱のふたの部分に端末の絵が…

俺は嬉しさのあまり


「端末!」と声に出してしまっていた。


それを見ていた静子さんは微笑みながら


「あらあらそんなに欲しかったの?」


「あっ!すいません。ちょうど欲しいと思ってたんですけど、どうやって手に入れようかと悩んでて……本当にありがとうございます。」


「良かったわ喜んで貰って、他にも欲しい物があったら気兼ねなく教えてくださいね。」


「え?あっ、そんな……仕事見つけて「家族!」……」


「私と朋子さんは同じと思ってくださいね、家族で甥っ子が欲しいと思う物を買ってあげる。その気持ち理解できますよね?」


静子さんは笑顔で……でも何故か怖い感じで……俺は首を縦に振るしか出来なかった。

静子さんは満足した様子で帰って行った。


退院まであと4日

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