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酷な再会
*5*
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「あ・・・あ、あの、おめでとうございます。」
『おめでとうございます』の前に『ご結婚』をつけることを無意識に避けてしまっていた。その現実を言葉にしたくなかったのだ。自分の器の小ささに嫌気がさす。
「あ?・・・あ、あぁ、ありがとう・・・あ!それ!」
少し困ったように返した明日先輩の視線は私が持っている栞に注がれていた。
「あ、これ、ここに落ちて・・・。」
「よかったー!!なくしちゃったかと思って、今フロントに行ってきたんだ。交番にも行こうかなって。」
先輩はまるで一瞬でお花が咲いたみたいにパァッと笑顔になった。
「!?もしかしてこれって先輩の・・・!?」
「そう。ばあちゃんにもらったんだ。会社の前の広場で四つ葉探してたけど見つからなくて、親切な人が探して栞にして送ってくれたんだって。四つ葉見つけてくれたのはその人の同僚らしいけど。誰なんだろう?直接お礼言いたいよ。うちの会社の人かも。」
あのおばあさん、サチさんの苗字は明日先輩と同じ『鈴木』だった。よくある苗字だから全く気づかなかった。先輩の端正な顔を改めてよく見てみるとほんのりとサチさんの面影がある。
「ばあちゃんたらさ、その人のことえらく気に入ったみたいで、『明日にはああいうおなごと結婚してほしい』って何回も繰り返すんだよ。『孫のところに嫁に来てほしい』って言っちゃったらしいんだけど、その人には好きな男がいるみたいで断られたって。そんなこと言われても困るよね。」
明日先輩は苦笑して言った。『その人』は私で『好きな男』は先輩自身だなんて今更とても言えなかった。心がずんと重くなる。
『おめでとうございます』の前に『ご結婚』をつけることを無意識に避けてしまっていた。その現実を言葉にしたくなかったのだ。自分の器の小ささに嫌気がさす。
「あ?・・・あ、あぁ、ありがとう・・・あ!それ!」
少し困ったように返した明日先輩の視線は私が持っている栞に注がれていた。
「あ、これ、ここに落ちて・・・。」
「よかったー!!なくしちゃったかと思って、今フロントに行ってきたんだ。交番にも行こうかなって。」
先輩はまるで一瞬でお花が咲いたみたいにパァッと笑顔になった。
「!?もしかしてこれって先輩の・・・!?」
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