3 / 4
大国主の神座は何故西向なのか?
しおりを挟む
大国主の神座は本殿正面向きでなく西向きなのか?
2002/5/31
春の和菓子
姫路青山銘菓
「桜小径」
筆者おすすめ!
本殿脇にある神座の図 本殿西側の大国主神の正面の位置を指す札
大国主怨霊説の四柏手以外の根拠に神座が参拝者へ向かって正面を向かず横を向いている(つまり西向きである)」というのがあります。出雲大社本殿に祭られている大国主命は参拝者側から見ると横を向いた格好になり、参拝者の正面には「客座五神」が正面(参拝者の方)を向いて鎮座しているのです。
ただし大国主のいるさらに奥の方に五神の神座は正面を向きならんでいます。
大国主の正面奥側に大国主に向かって横(つまり参拝者側・南)を向いて並んでいるのです。
向かって左から
天之御中主神
高御産巣立日神
神産巣立日神
宇麻志阿斯訶備比古遅神
天之常立神
の五神です。
この神座の配置から「客座五神」こそが参拝をうける対象であると考え、大国主は、いわば「囚われの神」であるとして、怨霊説に広げていくのですが、これもどうかと思います。
客座五神とは何なのか?と考えるとこれは面白いことに古事記において神々の一番最初に登場する「別天神」と同一なのが判ります。「別天神」とは何もないところから現れ出でる神で、森羅万象全ての元でもあるのです。
大国主や素戔嗚、天照、月読などの人格神ではなく「世界と人間、神の根本」を象徴している神のことです。これらの神名は古事記では天孫の祖先神としてえがかれる一方(タカミムスビ)、出雲の祖先神(カミムスビ)としても現われています。
他の三柱の神は天神地祇とそれを結ぶ柱を表しているとも考えられています。
これらの五神の神名は世界の要素を象徴する神名であり、出雲族や天孫族の祖神というよりむしろ、古代人の世界観を表すものではないかと思われます。ということは出雲・天孫のどちらもが崇めていた「自然神」であるのではないでしょうか?五神は出雲大社や伊勢神宮といった神社建築物の大柱にも見たてられているのかもしれません。
ちなみに、本居宣長の玉勝間に収録されている金輪造営図には田の字型に配置された9本の大柱が記されている。また弥生遺跡である田和山遺跡にも9本の柱跡があることから見て、9本柱による巨大建築物(神殿?)はかなりの昔からの建築様式だったことが伺われる。
そして、神統譜上の系譜をおいて考えれば、これらの神の神格(性)は、決して天孫族とその被支配民だけが崇めるものでなく、日本列島に住む人々にとって普遍的な自然信仰(精霊信仰)の対象でもあるのです。
つまり、「天孫族がまつる五神」によって大国主の怨霊を封じているとはいいきれないということです。むしろ見方を変えれば大国主の正面に居並ぶ五神は大国主によって祭祀されている支配されているという形にもとれるのです。
さらに、大国主が横を向いているのと同じで参拝者に対して横を向いた形の神座をもち、しかも出雲國造が直接祭祀する神社は他にもあります。
もちろん出雲の地には他にも大社づくりの神社が数多くありますし出雲國造の家系や流れに連なる神官が祭祀する神社も多くあります。出雲大社だけを抜き出しその特異性を持ち出すのは片手落ちです
2002/5/31
春の和菓子
姫路青山銘菓
「桜小径」
筆者おすすめ!
本殿脇にある神座の図 本殿西側の大国主神の正面の位置を指す札
大国主怨霊説の四柏手以外の根拠に神座が参拝者へ向かって正面を向かず横を向いている(つまり西向きである)」というのがあります。出雲大社本殿に祭られている大国主命は参拝者側から見ると横を向いた格好になり、参拝者の正面には「客座五神」が正面(参拝者の方)を向いて鎮座しているのです。
ただし大国主のいるさらに奥の方に五神の神座は正面を向きならんでいます。
大国主の正面奥側に大国主に向かって横(つまり参拝者側・南)を向いて並んでいるのです。
向かって左から
天之御中主神
高御産巣立日神
神産巣立日神
宇麻志阿斯訶備比古遅神
天之常立神
の五神です。
この神座の配置から「客座五神」こそが参拝をうける対象であると考え、大国主は、いわば「囚われの神」であるとして、怨霊説に広げていくのですが、これもどうかと思います。
客座五神とは何なのか?と考えるとこれは面白いことに古事記において神々の一番最初に登場する「別天神」と同一なのが判ります。「別天神」とは何もないところから現れ出でる神で、森羅万象全ての元でもあるのです。
大国主や素戔嗚、天照、月読などの人格神ではなく「世界と人間、神の根本」を象徴している神のことです。これらの神名は古事記では天孫の祖先神としてえがかれる一方(タカミムスビ)、出雲の祖先神(カミムスビ)としても現われています。
他の三柱の神は天神地祇とそれを結ぶ柱を表しているとも考えられています。
これらの五神の神名は世界の要素を象徴する神名であり、出雲族や天孫族の祖神というよりむしろ、古代人の世界観を表すものではないかと思われます。ということは出雲・天孫のどちらもが崇めていた「自然神」であるのではないでしょうか?五神は出雲大社や伊勢神宮といった神社建築物の大柱にも見たてられているのかもしれません。
ちなみに、本居宣長の玉勝間に収録されている金輪造営図には田の字型に配置された9本の大柱が記されている。また弥生遺跡である田和山遺跡にも9本の柱跡があることから見て、9本柱による巨大建築物(神殿?)はかなりの昔からの建築様式だったことが伺われる。
そして、神統譜上の系譜をおいて考えれば、これらの神の神格(性)は、決して天孫族とその被支配民だけが崇めるものでなく、日本列島に住む人々にとって普遍的な自然信仰(精霊信仰)の対象でもあるのです。
つまり、「天孫族がまつる五神」によって大国主の怨霊を封じているとはいいきれないということです。むしろ見方を変えれば大国主の正面に居並ぶ五神は大国主によって祭祀されている支配されているという形にもとれるのです。
さらに、大国主が横を向いているのと同じで参拝者に対して横を向いた形の神座をもち、しかも出雲國造が直接祭祀する神社は他にもあります。
もちろん出雲の地には他にも大社づくりの神社が数多くありますし出雲國造の家系や流れに連なる神官が祭祀する神社も多くあります。出雲大社だけを抜き出しその特異性を持ち出すのは片手落ちです
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
3
1 / 3
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる