白銀色の吸血鬼

yuto銀

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幼少期編

2話 赤の転校生 <後編>

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前回のあらすじ。
朝から喧嘩して登校中にいじめの主犯の首絞めて転校生きた



遡ること数時間前。
俺らのクラスを一瞥し、
「oh!何だこの貧弱な人たちは。教師も貧弱だとは思っていたけどこれはヒドイ!全員腹筋100回背筋100回スクワット100回5セットだな!」
「えっと…とりあえず自己紹介をしてくれる?赤音さん。」
all lightわかった…アメリカ保安部、戦闘特化部隊、チームΔ、特殊大佐、AKANE TONO赤音 遠野。お前達は私の指揮に従って貰う。」
「何言ってんだよ。2組は1組みたいにはならないぞ!!」
「そうよ!こっちはみんな仲良しなんだから!」
shut up黙りな!嫌なら私を倒してみな!」
「うぉぉぉあべしっ!」
「「「や、山田ぁ!!!」」」

軽くあしらわれたぜあいつ…

「貧弱だ、貧弱すぎるぞ山田3等兵。1組とやらが来たらそんな程度の抵抗で勝てるのか?」
「そこまでだぜ!!!」
「Who?お前がここのトップか?」
「ああそうだ!俺がこのクラスでいちばん強い!」
「は?寝言は寝て言え。お前より俺のが強いし!」
「なんだとぉ!!」
「あ?やんのかぁ?!」
「ふん、まぁ何人いようが変わらん。まとめてかかってこい!!!」
「上等だ!!!まとめて倒してやるわ!!!」
「雄士と一緒にぶっ飛ばしてやるぜ!!!!」
「ちょ、ちょっとぉみんな…?」
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

てなわけでいつもの運動場へ、
いつも野球部がトンボかけてくれてるから波がなくてやりやすいぜ。
「いつでもかかってこい。私はいつも構わんぞ」
「んじゃ…遠慮なく…ッ!!」
不意打ちで一撃で決めようとした雄士、もちろん背後に瞬間移動していつものパンチ。好きだなぁそれ。
でも普通のやつなら避けようが無い予測不能の死角からの高速攻撃。まともな人間なら気づくことすらできないだろぜ。

「…速いだけだな、威力がない。」
「?!」

避けることも受け止めることもせず、そして倒れることも怯むことすらなく、そいつは仁王立ちしていた…
頭がピクリとも動かなかった。首の筋肉どうなってんだアイツ
その後雄士が体を蹴って距離を取ってたけどそれにも動じなかった。アメリカの隊長だっけ?あながちハッタリでも無さそうだぜ…



壁でも殴ったのか?まるでビクともしねぇ。
真っ先に倒してさっさと龍鬼ぶっ飛ばそうと思ったけど思った以上に強いぞこいつ…身体能力だけだったら龍鬼以上か?
しかし身体能力強化込で受け止められるとは思わなかったな。これで俺は直接攻撃ではまずダメージが入れられないのがわかった。なら…
「物質化・偽斬、切り刻め!!!」
あの刀を握ってからというもの、能力の増加とともに唐突に能力の使い方が増えた。型があると言うべきか?
今の物質化攻撃も俺の刀の形にすれば無駄なく、かつ最高の切れ味の攻撃を叩き出せる。
今まではただ一直線に飛ばすだけだったけど今なら軌道も変えれる。
打撃は受けきれても皮膚である以上斬撃は回避するしかないだろう。その透かした顔をよけなきゃいけない焦りで顔を歪めてやる。
「なるほどそれがお前のMain Weapons得物か。ならこれでどうだい。」カンカンカララン…カシュッ-
「うわっ、げっほげっほ。白煙だと!あいつどこいったぜ?!」
くっそやられた。スモークグレネードなんて持ってるとか聞いてねぇぞ…この様子じゃなんかしらまだ持ってるな。
思考回路読み損ねたのがでかいな…スタングレネードなんかにも注意しねぇと誤射して関係ねーやつが被害被ることになる…しかし何時どっから取り出した…?
「それでfinish終わりか?」
「!?」
「お前はどういう手品か知らないが、に頼りすぎて単調すぎる。そして過信しすぎた。」
…後ろかっ!?
「さらに、不測の事態に迅速に判断できない…っ!!」



「くっそ、この煙をどうにかしねぇと何も出来ねぇぜ…!!」
しかしどうする。俺にはこの煙をどうにかする方法は思い浮かばねぇ…雄士なら或いはだけどアイツの様子も伺えねぇ。
「仕方ない、この煙から一旦離れるか…?!」
殺気、左、しかし動く気配なし。
こっちに気づいてはいる。じゃなきゃこんな直線的な殺意にはならない。距離的には10m位か。
雄士みたいに理不尽な動きしてこなきゃ動きを見てから回避余裕だと思うけど気をつけた方がいい。この煙といい、なにもってるか分からなねぇからな…
「…っ…」
狙われている感覚、嫌な感じだ。そもそもこの煙でこっちが見えているっておかしい気もするけど自分が持ってきたもので自分が妨害されてたら本末転倒だし何かしら持ってるんだろうな…
しかしこうなると動けない。一体どうしたもんか…



「気づいているな…」
さっきの彼とは違って多少はできるみたいだけど隙だらけだな。誘っているのか?やり返してやろうと思ってスモークを使ってしまったがまさか対応出来る実力があるとは思わなかったな。
しかし正確な位置がわからず動けずにいるようだ。もう少しさっきの彼が粘っていたらスモークの外に逃げられたかもしれないが、luckyだったな。彼にとってはunluckyかもしれないが。
さてさて、不意打ちは効きにくいだろうね。この煙で私の位置を正確に捉えている以上、カウンターされるのが目に見える。
ならどうするか?
正面からやり合うしかないだろう。
煙で正確な動きが見えないならその隙を着いて叩き込む!
「………チェストォォォォォ!!!」
「!?」
突っ込んで来た!
体をねじって地面に叩きつけるような拳をギリギリ飛び退いて避けたがなぜ来るのがわかった??
いやそんなことはどうでもいい。
このまま思い通りに攻撃をさせ続けてはこっちが不利になるばかりだ。
顔面狙いの回し蹴り…しゃがんで避けられるのは想定内、次の拳を左足の裏で蹴り返して距離を取る。
思った以上に足の裏から伝わる力が強くて若干間合いを取りすぎたな。
sharp鋭くて、quick速くPowerful力強い。一つ一つの動作が丁寧すぎて実践向きではないかもしれんが彼、なかなかやるじゃないか。



ゆっくり近づいて来てるのがわかったから正面不意打ちを仕掛けたがやはりこっちが間合いを読んでいたのは想定外だったようだぜ。だけど事態が好転した訳じゃない。
また煙の向こうに逃げられたし、2度も同じ手は食わないだろう。
次はもっと慎重になる必要が…
「……ばして…」
「?…?!」
声のような何かが聞こえたと思えば吹き荒れる急な突風。めっちゃ強いんだけど!!今日こんなに風強くなかったと思うんだけど!!
何が起こったか分からないけど向こうもどうやらこれは想定外らしい。はっきりと見える!!
一面に広がるグラウンド。1やつの姿があった!今だ!
「隙ありだぜ、遠野赤音!!!」
風を受け止めようとして体制が崩れた今なら!
「隙を見せたのはお前も同じよ!!」
っ…立て直すまでが速すぎるぜこの女子!
だけどもう打ち合うしかない、力比べで負けられないぜ!!!
「ぶっ飛ばせぇぇぇええ!!」
「負 け る も の かァァァ!!」
ぶつかり合う拳、とてつもない気迫だぜこれ。
あいつの拳はくっそ重いしこんなん女子が繰り出していい拳じゃない。
弾かれる拳は負け気味で右手…いや踏ん張った両足や右胸筋までもがもう痺れてしばらく動かない。強すぎるぜこいつ…



「まさかここまでとは…」
まともにくらって初めてわかったことだが、左拳で受け止めたはいいが腕がピリピリしている…ここまで私に肉弾戦でダメージを与えたのはパピー…いや大佐以来かもなぁ…下手したら骨が折れていたかもしれないな。お互い受け流すのには成功したから骨に大事は無さそうだが。
さて、それでも力比べは私の勝ちみたいだな。
動けない相手だろうと戦場では命取り、確実にトドメ、いや、敗北を認めさせなければな。

「おつかれちゃーん。龍鬼は思惑通り隙を作ってくれたししっかりお返しはしねぇと、なぁ!?」

「は?」
ぐぁ…油断したっ!
なぜ…?!お前は倒れてたは…ず…

・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

後ろかっ?!
なーんて、最初から得体の知れない相手と相手の有利な場所で戦おうなんて思っちゃいねぇ。
手札を適当に公開して出し切った感出せば先にこっちを倒しに来るはず。
背後を身体能力で硬くしてっと…ぐぇっ!!
ごっは、めっちゃ痛え、なんぞこれ勝利さんやら八岐大蛇よか強いんじゃねぇのこれ!!!身体能力強化込でこれかよバケモンじゃねぇか!!
とはいえ死んだフリ作戦は順調。このまま気配だけ消してモクの外に出て木の上からでも様子を伺えばいい。この空間の支配者は俺やぞ?こんな煙ごときで見えなくなるほど甘くねーよ…

・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

「残念だったな遠野、お前のクラス支配はしばらくお預けだな。」
「おま、どこにいたんだよ。気配が途中からしなくて忘れてたぜ?」
「そりゃ気配消して高みの見物してたからな。あいつとまともに戦うわけねーだろお前じゃあるまいし。
煙が消えてお前らが一発勝負したからその隙をつかせてもらったって訳。」
「はー。そんじゃ掌の上で俺は踊らされてたわけだぜ…
んいやお前が煙ぶっ飛ばしたんじゃないんか?」
「は?いやべつに?強い風がふいたから煙が消えたわけで俺はもうちょいお前らの見物してても良かったんだが…」

龍鬼が知らないってなると不自然だな。
てっきり龍鬼がなんかしたんかと思ってたが。
遠野赤音がやったとも考えにくいしな。最後の殴り合いは明らかに想定外な顔してたし。
ま、いっかぁ!龍鬼にこれで一勝勝ち越しなわけだし~♪

「ほんじゃまお前もくたばれこのや…」
「3人とも!いい加減にしなさーい!!一限終わっちゃうじゃないですかぁ!」
「おわ!?」

うっわビビった。おかあさん先生おったんかそこに。

「急にグラウンドに飛び出して行ったと思ったら煙でモクモクにしちゃうし!止めても聞かないんだから放課にやってって言いましたよねー!」
「…ごめん」
「すまんぜおかあさん…」
「お か あ さ ん じ ゃ な い で す っ て ば ぁ! ! ! 」

学校のチャイムは、そんな叫びと共に雲の隙間に飛んでった…



3話に続く
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