白銀色の吸血鬼

yuto銀

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幼少期編

2話 赤の転校生 <前編>

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「社長、笹島の開発計画分社ビルの担当者が今日の午後5時頃いらっしゃるようです。」
「わかった、秘書にその旨を。」
「勝利社長、朝日分社から会計報告が届いております。」
「1日遅れている、責任者から報告書も追って送るよう連絡しろ。」
「勝利様、先日の本殿の修理費用の目算が立ちましたのでこちらにまとめてあります。」
「ご苦労、戻って屋敷の方を頼む。」
「かしこまりました。お茶の方入れておきましたのでこちらに置いておきます。」
「ありがとう。」
「勝利社ちょ…」ドアバンッ!
「オヤジィ!龍鬼いつになったら離してやるんだよ!」
「龍鬼…ちょっと今私忙しいんだけど…」
「オヤジの仕事なんていつも忙しいだろうが、待ってたら雄士が干からびちまうぜ!」
「いや干からびはしないと思うけど…」

まぁ確かに、いつになるかわからんなこりゃ…
本当は雄士君のこと調べておかないといけないけど…刀のことも気になるし、厄介極まりない存在だな…
せめて記憶処理だけでもしておかないとまずいんだけどなぁ…
毎年のことだが事業を拡大しすぎたか?1日穴をあけただけでデスクにペーパーウォールができているのはやっぱり代理を雇うべきだったか…

「龍鬼、雄士君解放してもいいけど屋敷から出さないでくれ。さすがに拘束はやりすぎた感あるしお前の言う通り仕事がいつ終わるかわからん。謝っといてくれないか。」
「でも学校どうすんだよ」
「あ…」
失念してたなぁ…社会人ならともかく小学生だし保護者じゃない限りまずいよなぁ…
「親御さんの調べれば連絡先はわかるとして、どうしたもんか…」
「あ、親には連絡入れなくてもいいと思うぞ?」
「そういう訳にはいかんだろ、大人として人の子を預かっている以上責任が伴うんだ。連絡ひとつ入れずに拘束する訳にもいかんだろ…というかお前もいい加減寝ろ。何時だと思っている。」
「いらんと思うけどなぁ…もし心配してるなら10時すぎにうちに連絡来るはずだぜ?」
「………兎に角、今日の学校はここから通ってもらおう。
さすがに疲れてるだろうし」
「ほいよーほんじゃオヤスミー」
「おう、ゆっくり休め。」



「よおー待たせたなー」
「ほんとだよ体がバキバキだわ俺が一体何したってんだ。」
「本当は見た人記憶消さないと返しちゃいけないんだぜ。でもお前には効かないだろ?」
「あんな精密機械じゃ壊れるに決まってるだろ。
それに俺から記憶を抜こうとする時点で無理がある。」
「お前何故か高確率で機械壊すもんな。」
「ちげーよなんもしてねぇのに壊れるんだよ!」

実際その通りなので困るぜ…あれ結構開発費高かった気が。

「んで今日はここで寝てってくれってよ。オヤジの仕事が落ち着くまでこの家から通ってくれってよ。」
「はぁ…?まぁいいけど。」

「よし、客間に着いたぜ。」
「相変わらずバカ広いなこの屋敷…」

7・8分歩いたぞまじデカすぎだろ…

なんか「朝飯になったら呼びに来るぜ」と言ってあいつは出てったし俺も寝るか…今まで以上の力を使って疲れちまった………………



・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「全てを斬りさけ!!!どぉるぁぁぁぁぁあ!!!!!」
『おのれ…おのれぇ…ふざけた倒し方しおって…小僧ども来年まで忘れんぞぉぉお…………」

「は、そんなこと一々覚えてられるか…よ…」ドザッ
「…おわ、なんか一気に力抜け…」ドサッ

「龍鬼君!!」
「2人を運べ。もう1人の彼は拘束しておけ。調べなければならないことがある。」
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・



空には突き刺すような朝日はなく、薄暗く重い雲が一面に広がっていた。
そういや龍鬼ん家に泊まったんだったな。
客間に窓はない。
じゃあなんで空が見えてるかって?
そりゃ…

「起こしに来てやったのにいきなり蹴飛ばすとかお前イカれてるぜ雄士!!!オラァッ!!」
「お前起こすって言葉知ってるか????殴り飛ばされた記憶しかねぇんだよくそ龍鬼ィ!!!くらえやッ!!!」

…朝飯は冷めているんだろうなぁ



「朝から運動するのはいいがお互い時間を守ることだ。時間を守るのはとても大事な事だ。
いいか?時は金なりという言葉があるようにウンタラカンタラ」

朝からオヤジの説教をくらいつつ学校の準備をしているんだけど、まぁ長い。雄士がいる分傘増ししてる?????

「オヤジ、そろそろ終わらんとそれこそ学校遅刻するぜ。」
「おっとそうだったな。今から行けば余裕を持って間に合うだろう。遅刻せずに行くんだぞ。」
「早くしろよ龍鬼。お前だからいつもギリギリなんじゃねぇの?」
「なんでお前は準備終わってんだぜ????」

そんなこんなで準備完了。
いざ学校へ。



なんだかんだで阿呆と学校へ向かっていた。
しかし違った道で行くのも悪くないな…隣がうるさくなければ。

「雄士お前好きな人とか居ねぇの?」
「いねえ。」
「うっそだぁ…」
「いねぇって。」
「なぁ教えろよ。絶対言わねぇから!!」

お前の絶対言わねぇは信用に値しねぇ!!!!
そんなこんなで曲がり角曲がった先になんか人だかり?みたいなのができてる。
ちなみに隣にいた阿呆がいない。
そしてただの人だかりではなく、1人を数人の男子が囲んでる形だ。
ここまで来ればさすがにわかる。そしてあいつがいない理由も同時にわかる。めんどくさっ!

「おい!お前ら1組の奴らだろ、何してんだ!」
「あ?2組にゃかんけぇねぇだろあっちいってろよ」

1組の奴らが人囲うのには大概理由が決まってる。
いじめだ。
1組のクラスには上下関係がある。原因はその上下関係のトップにたってるやつのせい。
金剛 金太郎こんごう きんじろう
俺はどうでもいいと思ってる。2組の問題じゃねぇし。
でもまぁ目の前で目撃してこいつが止まるわけねぇわな…ややこしくなってきた。

「うわ、しかもこいつ天野ってやつじゃね?」
「キンジのやつが言ってたヤツか…」
「何コソコソ話してるんだ?その子囲んで何やってんだよ!!」
「うわうっさ。まじでこいつうっさいな」
「うっせぇうっせぇ、うっせぇわ!おまえらがいうより声でかくねぇよ!」

いやうるせぇよ

「俺たちはこいつとしてるだけだしお前にゃカンケーねぇよさっさと学校行けよ!!」

大法螺吹おおほらふきだな
そんなん囲ってる奴見ればすぐ嘘だってわかるし
思考読めばすぐわかるつっーの

(まじなんだよこいつ。俺らがドレイで遊んでるの邪魔しやがってさっさとあっち行けよ。)

…ほらな?まぁ読まんでもわかってはいたけど。
しかしこいつら利口だな。俺がやり合ってるの見てるからか龍鬼に喧嘩売ろうとは一切しないんだな。
それとも、金剛のやつになんか言われてんのか?
しかしまぁ俺らが手ぇ出せる立場じゃねぇしどうしようもなぁ…

「ぐぬぬぬぬぬぬぬ、おまえらどう見てもいじめしてんだろ!白状しろよ!!」
「おいおい?天下の天野家って人のこと悪人呼ばわりする最低な家なんだなギャハハ。」
「なんだとっ!」
「だってそうじゃん!これみんなに言いふらしてこよーぜ。」
「…黙ってみてりゃ好き放題言ってくれてんな…」
「あ?なんだおめぇ?」
「ん?どっかで…?!こいつ天野といつもやり合ってる確か…そうだ、シロガネ。白銀 雄士!化け物だ!」
「だーれが化け物だ!雄士も俺も化け物じゃねぇぜ!」
「お前も化け物には変わりねぇよ。じゃなきゃあんな動き出来ねぇよ!!もしかして声でか星の声でか人だったりしなギャバグェッ」
「口を閉じろよデブ。それともこうやって首を閉じなきゃ黙れねぇか?」

3人いるうちの1番カースト上っぽいデブを気がついたら首を掴んで壁まで叩きつけて締め上げてた。しかも能力まで使って。
でも何も後悔してない。別にこのまま気絶するまで掴んでても…

「ゲッァ、グッグルジ…ダ…ズ……ゲ………」
「お、おい雄士…?そのぐらいに…」
「助けて?黙れよ、後のやつも同じセリフ吐いたはずだぜ?それでも続けたのはどこのどいつだ。お前に生きるけ…」
「メテ…やめて!!!!」
「?!」
「やめて…もう私以外が傷つくのは…もう嫌なの…」
「…」ドサッ
「ゲゥエッホッウェッコヒュ-…コヒュ-…ウェッ!」
「けんちゃん!!」
「大丈夫かけんちゃん!!」
「雄士、お前やりすぎだぜ…」
「…多少、感情的になりすぎたかもな」
「それにしたって…あ、大丈夫か、そこの…あ。」
「逃げるように走ってったな…俺らも行こうぜ、遅刻するぜこのままだと。」
「あ、あぁ、そうだな……お前らも急げよ、遅刻するぜ?」



あんな冷たい目をした雄士は久々に見た気がする…前は親の話の時、そして今日のあれ。何がトリガーになってあんな目をするようになったのかは分からないが、普段はどうでもいいような眠たいような目をした顔をしてちゃんと話聞いてたり、なんだかんだで手を差し伸べたりするようなお人好しが、だ。
まぁ遅刻ギリギリだったおかげであいつらとあの女子だけしか見てないからよかったけどほかのやつが見たら雄士を見る目が変わるかもしれねぇぜ…

「はい、あさのあいさつはじめます!起立!」

いやしかし、いじめられてた子めっちゃ可愛かったなぁ…
あんな子いじめるとかイカれてんのか1組の連中は。

「…君!天野龍鬼君!」
「はえ?」
「起立です。立ってください。」
「あ、ごめんだぜお母さん。」
「だからぁ、先生はお母さんじゃないですってばぁ!!!」
「「「アッハッハッハッハッ」」」

うちの担任、朝日奈 芽衣先生。通称お母さん。
うちが初クラスの新人先生で実際かなり若い。
お世話焼きでドジな美人教師。
男子の中で先生好きなやつ何人かいるんじゃねぇかな?
世話焼きっぷりでお母さんと呼ばれてるけどまじで先生がお母さんだったら面白いだろうな…



「なーにやってんだあの阿呆…」

どーせ今朝さっきの事でも考えてたんだろうけど。
俺もさっきのはやりすぎたとは思った。
多分stopかからなかったらそのままやり続けただろうよ。
あの時の女子、めっちゃ絆創膏ついてたしあのままだと多分死ぬぞアイツ。
しかしなぁ…名前知らねぇしどうもしてやれない。
それに多分俺の事嫌いだぞあーゆー奴は。
まぁ今日の件で俺に標的が移れば多少はどうにかなるんじゃねぇかな。ならなかったらまぁご愁傷様。

「はい、着席。
今日最初の連絡は…」
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

「はい、じゃあ最後に今日は転校生を紹介します!」
「ザワザワ…ザワザワ…」
「どっちだと思う?」
「女子がいーなー」
「男子だろ!人数的にな!」
「1人しか変わらんだろ。」
んなこんなで入ってきた赤い髪のそいつは開口一番こう言い放った…
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・



「いいのか?言っとくけど俺ら2人が相手じゃほぼ勝ち目ないと思うぜ。」
「わかってると思うが自分の言ったことは守ってもらう。」
「Are you kidding?私をバカにしてるのか?子供がたった2人で私に勝てるわけないだろう。
お前たちを倒すのは上下関係をはっきりさせるためさ。
私が勝ったら、このクラスを私の指揮下の軍としてしごかせてもらう!!!」
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