1 / 1
夢のかけら 悲壮な決意
しおりを挟む
明日は、高校の修学旅行の前日の夜の事。
頃合いをみはかったように、父が、なんでもない用事のようなに私を呼び寄せた。
「実は、お前に話しておくことがある」と話し出した。私が、17才である。
「蛍には、本当は、実の生みの母親がいるんだ、、、」と、おごそかに?語りだした。
〈オイ、オイ、そんなことだったら、とっくの昔に知ってるよ〉と、蛍は、心の中で、毒づいた。
母と、青い目の祖母とは、実に仲が悪く、父の屋敷を訪ねる度に、
いや、三年ほど、この屋敷にあづけられてた、三才の頃。祖母は、密かに、古びたカラー写真を見せては、私に言った。「この女の方が、蛍の本当の母」と、カタコトの日本語で教えてくれていた。黙って聞く私。
ホストのようなタキシード姿の父、明らかに玄人風の女性の白無垢の花嫁衣裳二人が寄り添って写真に収まっている。どこかの神社の境内での写真。
その、花嫁の顔は、私の顔と気味が悪いほど、生き写しだった。
青い祖母は、「この花嫁、お前の、本当のは母。だが、彼女、祇園ナンバーワンの芸者ね。ザイカイ、セイカイ、の、パトロン イル。そんな、芸者が子供生むはダメね、あの世界では、タブー。だから、蛍、逢うことできない」
なかなかの悪意を秘めたカタコト言葉で、母と〈いさかい〉がある度に、腹いせのように、霧のタンスの奥の隠し扉から、大層に、例の古びた写真を取り出しては、私に見せつけて来ていた。
「誰にも言うのダメ」
と、必ず最後の決まり文句。
だから、父の生真面目な内訳話を聴きながら、とっくの昔から知ってるというか、知らされていた。
そう~思うと、府に落ちる事が幼き頃より、多々ある。
母の腕に抱かれるのは、いつも、ひとつ違いの弟のみ。
因みに弟のほうが、私より体重は、重い。
なんにつけ、叱られ、ぶたれるのは、いつも、姉の私のほう。だが、仲の良い弟のケンが、いつも、私の前に立ちはだり、
「蛍をぶつなら、ボクをぶて!」と母に言うと、母の行為はピタリと、止まる。
二~三才のやっと歩けるようになった私にとっては、あまりにも、重く、大きな荷物を私に背負わせ、母は、弟のみを抱いて歩き、その後を懸命に小走りについて歩く幼い蛍。
まぁ~思い出せば、きりがないほど、エピソードが浮かぶ。青い祖母は、よほど母がきらいなのか、わたしに、腹いせのように、幼き頃から、かくされるべき真実を懇切丁寧に私に教えてくれていた。
しかし、そのお蔭で、様々な生活面での、弟と私に対する、扱いの違いに〈なるほど〉と、分かり。納得できたので、余計な不信感や、哀しみを私は感じなかったので、ある意味。助かった面もある。
意地悪な青い祖母のコソコソ話は、わたしを救ったともいえる。
さて、父の話は、続く。
「蛍?実の母さんに逢いたいかえ?」こんな時だけ、急に京都のイントネーションになる、父がチョット嫌だった。
「いや、別に、逢いたくないよ。おばあちゃんがあっても、辛いだけだから」だと言ったら。
そう言うと、父は、本当に驚いて、
「お前、いつから、知っていたんだ!?」と聞く。
「う~ん。2~3才のころかなぁ~ 」と応える私。
「えっ!お袋は、そんなヒドイこと、してたのか!」と、憤る。
〈一番酷い事したのは、アンタジャン。〉と、蛍は思った。
肝心の青い祖母は、三年前に亡くなっている。
日本に最後まで馴染めず、いつも、似合わない白い割烹着を着けて、台所に立っていた真っ赤な口紅をつけた外人女。それが、唯一の私の青い祖母の想い出である。
気を取り直した父は、「まぁ~過ぎてしまったことは、したかたない。」と独り言をいい、一枚の住所・源氏名を書いた紙を私に手渡した。「ここに、本当の母さんが住んでるから、この機会に、訪ねてみるといいいよ」
ン?本当の母さん?何だ、その言い方。ただ、 大人たちの 勝手な都合で えらい目にあっているのは私の方だわ と心で叫んでいた。
あっという間に修学旅行の時が来て、
あっという間に 自由時間になった 半日 あるという。
父から渡された1枚の紙は握りしめすぎて 私の手の中で くしゃくしゃになっていた。
そのため 字が滲み出した その住所の 紙の 住所の前で 立ち尽くす 私。 中では 何やらざわざわ と忙しげな 音や声がする。
思い切って「ごめんなさぁ~い」と、 私は興戸を開け奥に声をかけた。
ふと 横を見ると 木の札がずらりと並んでいる。
父の書いた母の源氏名が一番 前の切り札に書いてあった。
あーこの人かと ぼんやりと 思った。
暗い 奥から初老の男の人が前掛けで手をふきながら、出てきて、
「えーなんだっしゃ、、、!ろ。」と、
私の顔をまじまじと穴が空くほど見つめて聞いた。
私は
右横の木の札の一番先を指さして「この人、今、おられますか?私は、どうやら、この人の娘らしいです。」
一瞬 言葉に詰まった 男衆は「ヘエー少々、お待ち下しておくれやす」といいながら、 ものすごい 勢いで ドタドタ と奥に走って行った。
「平はん、そないな、おうぎょうな音たてたらあきまへん。縁起わるいわ」
これが初めて実の母親の声を聞いた言葉であった。
最後の 〈縁起悪い わ〉
の台詞が エンドレス テープのように耳の中で繰り返し 流れている私。
しばらくシーンと静まった奥 随分長い時間に思えたがほんの5~6分のことだっただろうと思う
いきなり奥から白塗りの キリッとした切れ長の目をした芸者さんが 足早に 、するすると すり足で足音を立てず 歩いてきた。
あんまり すーっと歩いてきたので 、この人 、人間?と思ったものだ。
「こんにちは、わたしは、あなたが産み捨てた娘、蛍です」と、ハッキリとわたしは、その芸者にいい、はなった。
しかしながら、なんとも、存在感の圧力のある、えもいわれぬ色香をはなった美しい、たよやかな芸者であった。
黒い着物のすそに豪華な藤の花を裾にあしらったその女性の芸者姿は、絵ハガキでみる芸者さんみたいと感じた。
凛とした白い首筋をいやというほど立て、その襟足は、背中が、みえそうなほど襟足を、深く抜いてあり、年の頃は、一見三十代にみえるが、四十は、とうにこえているだろうな、と、蛍は思った。
厚いしろぬりの顔の奥の素顔は、きみがわるいほど、私に、似ている。
長い、長い、二人のにらみ合いの時が、ゆっくりと時を惜しむかのようにすぎていった。
やっと、その芸者が口をひらいた。
「アホなこと、いうておくれでないわ。アテには、ヤヤコなど、おりまへんえ」
私を見据えて、その芸者は、ハッキリと、宣言するように応えた。
「ヤヤコ?? はぁぁ?もうーデカインデスケド私‼️」
猛烈な怒りがこみ上げてきた。
次の瞬間、父から渡された紙をぎゅっとまるめて、力一杯、その芸者になげつけていた。
すっと、丸めた紙をかわし、避けると、
「おお、コワイ、コワイ、これやから、修羅の国のムスメハンはアキマヘンナァァー。平はん、これから大お客はんのおざしきや、早よ、この娘はん、いにていだいてや。」
と、後ろに、控えている先ほどの初老の男性に言っていた。その男性は、どうしたものかと、あきらかに、うろたえている。
「そうですか!よーくわかりました。ワタシが間違っていたようです。又、私の父も間違ったのですね。お急ぎの処、本当に申し訳ありませんでした。これで、失礼いたします。もうー二度と訪ねませんのでご安心下さい。失礼いたします。」と、憤然とした私は踵を返して外に出た。
丁度、車屋が来て、その芸者をまっていた。真っ直ぐ前を見据えて例の摺り足で、私を一瞥もくれず、スッと、車屋の赤い座席におさまり、
「はよ、だしてや、もうー先方はん、待ってはるんやさかい、」
「へい!」と、景気の良い掛け声とともに、車屋は、走り出した。
横を、、、私の横を通り抜けたさい、強い麝香単語の香りを私は知っていた。その香りが私を優しく包みこむ。知らず知らず涙があふれでた。
泣いてる自分がくやしかった。
平気な顔付きの私がほしかった。
その車屋が角をまがり見えなくなるまで、立ちすくんでいた、私は、はっと我に返り、スタスタと歩きだした。
〈だから、こうなるって、わかっていたのに〉と、何度も何度も、自分をのろいながら。
後ろから、かけてくる足音がした。振り返ると、へいさんと呼ばれていた男性だった。
「おみやはん、、、こんなに、立派におおきゅうなりはなって、、、あて、すぐにわかりましたぇ、真っ直ぐに成長しはりましたなぁー、それにしても、女将はんの若い頃に生き写し。。気悪うせんでおくるやす。あれが。彼女の精一杯ね愛の行為ですのや。これ、少ないけども」と花柄の封筒を渡された。
かっとなった私は、
「こんな金要りません‼️ばかにするのも、ほどほどにしてください!私をすてたくせに!」
平さんは、それまでの腰の低い態度から、一変して、真っ直ぐに立った。案外せが高い。
「いいゃ、それだけは、ききすてられまへんわ。どんな想いで、あんたはんを手放したか!あては、この目でみてたさかいな!あんたはんの、〈私をすてたくせに〉という、御言葉だけはとうしません!とうりません。どうか、どうか、おかみさんの[壮絶な、覚悟]だけは、それだけは、わかっておくれやす!」
そういう、男性の目には、男泣きの、涙があふれていた。〈ああ~この人、母さんのこと、愛している〉と、感じた。小雨の降る中、泥にまみれたお札を一枚一枚丁寧に拭き、キチンと並べて、うむをいわさず、私の手ににぎらせた。
「この、想いだけは、なんといわれようと!受けとってもらいます!」
そういいすて
、広い背中に法被を羽織った平さんはしずかに帰って行った。
[この物語。続きを、わたしは、かきたいだろうか?あなたは、知りたいですか?残念!この物語。これで、終わりです]
頃合いをみはかったように、父が、なんでもない用事のようなに私を呼び寄せた。
「実は、お前に話しておくことがある」と話し出した。私が、17才である。
「蛍には、本当は、実の生みの母親がいるんだ、、、」と、おごそかに?語りだした。
〈オイ、オイ、そんなことだったら、とっくの昔に知ってるよ〉と、蛍は、心の中で、毒づいた。
母と、青い目の祖母とは、実に仲が悪く、父の屋敷を訪ねる度に、
いや、三年ほど、この屋敷にあづけられてた、三才の頃。祖母は、密かに、古びたカラー写真を見せては、私に言った。「この女の方が、蛍の本当の母」と、カタコトの日本語で教えてくれていた。黙って聞く私。
ホストのようなタキシード姿の父、明らかに玄人風の女性の白無垢の花嫁衣裳二人が寄り添って写真に収まっている。どこかの神社の境内での写真。
その、花嫁の顔は、私の顔と気味が悪いほど、生き写しだった。
青い祖母は、「この花嫁、お前の、本当のは母。だが、彼女、祇園ナンバーワンの芸者ね。ザイカイ、セイカイ、の、パトロン イル。そんな、芸者が子供生むはダメね、あの世界では、タブー。だから、蛍、逢うことできない」
なかなかの悪意を秘めたカタコト言葉で、母と〈いさかい〉がある度に、腹いせのように、霧のタンスの奥の隠し扉から、大層に、例の古びた写真を取り出しては、私に見せつけて来ていた。
「誰にも言うのダメ」
と、必ず最後の決まり文句。
だから、父の生真面目な内訳話を聴きながら、とっくの昔から知ってるというか、知らされていた。
そう~思うと、府に落ちる事が幼き頃より、多々ある。
母の腕に抱かれるのは、いつも、ひとつ違いの弟のみ。
因みに弟のほうが、私より体重は、重い。
なんにつけ、叱られ、ぶたれるのは、いつも、姉の私のほう。だが、仲の良い弟のケンが、いつも、私の前に立ちはだり、
「蛍をぶつなら、ボクをぶて!」と母に言うと、母の行為はピタリと、止まる。
二~三才のやっと歩けるようになった私にとっては、あまりにも、重く、大きな荷物を私に背負わせ、母は、弟のみを抱いて歩き、その後を懸命に小走りについて歩く幼い蛍。
まぁ~思い出せば、きりがないほど、エピソードが浮かぶ。青い祖母は、よほど母がきらいなのか、わたしに、腹いせのように、幼き頃から、かくされるべき真実を懇切丁寧に私に教えてくれていた。
しかし、そのお蔭で、様々な生活面での、弟と私に対する、扱いの違いに〈なるほど〉と、分かり。納得できたので、余計な不信感や、哀しみを私は感じなかったので、ある意味。助かった面もある。
意地悪な青い祖母のコソコソ話は、わたしを救ったともいえる。
さて、父の話は、続く。
「蛍?実の母さんに逢いたいかえ?」こんな時だけ、急に京都のイントネーションになる、父がチョット嫌だった。
「いや、別に、逢いたくないよ。おばあちゃんがあっても、辛いだけだから」だと言ったら。
そう言うと、父は、本当に驚いて、
「お前、いつから、知っていたんだ!?」と聞く。
「う~ん。2~3才のころかなぁ~ 」と応える私。
「えっ!お袋は、そんなヒドイこと、してたのか!」と、憤る。
〈一番酷い事したのは、アンタジャン。〉と、蛍は思った。
肝心の青い祖母は、三年前に亡くなっている。
日本に最後まで馴染めず、いつも、似合わない白い割烹着を着けて、台所に立っていた真っ赤な口紅をつけた外人女。それが、唯一の私の青い祖母の想い出である。
気を取り直した父は、「まぁ~過ぎてしまったことは、したかたない。」と独り言をいい、一枚の住所・源氏名を書いた紙を私に手渡した。「ここに、本当の母さんが住んでるから、この機会に、訪ねてみるといいいよ」
ン?本当の母さん?何だ、その言い方。ただ、 大人たちの 勝手な都合で えらい目にあっているのは私の方だわ と心で叫んでいた。
あっという間に修学旅行の時が来て、
あっという間に 自由時間になった 半日 あるという。
父から渡された1枚の紙は握りしめすぎて 私の手の中で くしゃくしゃになっていた。
そのため 字が滲み出した その住所の 紙の 住所の前で 立ち尽くす 私。 中では 何やらざわざわ と忙しげな 音や声がする。
思い切って「ごめんなさぁ~い」と、 私は興戸を開け奥に声をかけた。
ふと 横を見ると 木の札がずらりと並んでいる。
父の書いた母の源氏名が一番 前の切り札に書いてあった。
あーこの人かと ぼんやりと 思った。
暗い 奥から初老の男の人が前掛けで手をふきながら、出てきて、
「えーなんだっしゃ、、、!ろ。」と、
私の顔をまじまじと穴が空くほど見つめて聞いた。
私は
右横の木の札の一番先を指さして「この人、今、おられますか?私は、どうやら、この人の娘らしいです。」
一瞬 言葉に詰まった 男衆は「ヘエー少々、お待ち下しておくれやす」といいながら、 ものすごい 勢いで ドタドタ と奥に走って行った。
「平はん、そないな、おうぎょうな音たてたらあきまへん。縁起わるいわ」
これが初めて実の母親の声を聞いた言葉であった。
最後の 〈縁起悪い わ〉
の台詞が エンドレス テープのように耳の中で繰り返し 流れている私。
しばらくシーンと静まった奥 随分長い時間に思えたがほんの5~6分のことだっただろうと思う
いきなり奥から白塗りの キリッとした切れ長の目をした芸者さんが 足早に 、するすると すり足で足音を立てず 歩いてきた。
あんまり すーっと歩いてきたので 、この人 、人間?と思ったものだ。
「こんにちは、わたしは、あなたが産み捨てた娘、蛍です」と、ハッキリとわたしは、その芸者にいい、はなった。
しかしながら、なんとも、存在感の圧力のある、えもいわれぬ色香をはなった美しい、たよやかな芸者であった。
黒い着物のすそに豪華な藤の花を裾にあしらったその女性の芸者姿は、絵ハガキでみる芸者さんみたいと感じた。
凛とした白い首筋をいやというほど立て、その襟足は、背中が、みえそうなほど襟足を、深く抜いてあり、年の頃は、一見三十代にみえるが、四十は、とうにこえているだろうな、と、蛍は思った。
厚いしろぬりの顔の奥の素顔は、きみがわるいほど、私に、似ている。
長い、長い、二人のにらみ合いの時が、ゆっくりと時を惜しむかのようにすぎていった。
やっと、その芸者が口をひらいた。
「アホなこと、いうておくれでないわ。アテには、ヤヤコなど、おりまへんえ」
私を見据えて、その芸者は、ハッキリと、宣言するように応えた。
「ヤヤコ?? はぁぁ?もうーデカインデスケド私‼️」
猛烈な怒りがこみ上げてきた。
次の瞬間、父から渡された紙をぎゅっとまるめて、力一杯、その芸者になげつけていた。
すっと、丸めた紙をかわし、避けると、
「おお、コワイ、コワイ、これやから、修羅の国のムスメハンはアキマヘンナァァー。平はん、これから大お客はんのおざしきや、早よ、この娘はん、いにていだいてや。」
と、後ろに、控えている先ほどの初老の男性に言っていた。その男性は、どうしたものかと、あきらかに、うろたえている。
「そうですか!よーくわかりました。ワタシが間違っていたようです。又、私の父も間違ったのですね。お急ぎの処、本当に申し訳ありませんでした。これで、失礼いたします。もうー二度と訪ねませんのでご安心下さい。失礼いたします。」と、憤然とした私は踵を返して外に出た。
丁度、車屋が来て、その芸者をまっていた。真っ直ぐ前を見据えて例の摺り足で、私を一瞥もくれず、スッと、車屋の赤い座席におさまり、
「はよ、だしてや、もうー先方はん、待ってはるんやさかい、」
「へい!」と、景気の良い掛け声とともに、車屋は、走り出した。
横を、、、私の横を通り抜けたさい、強い麝香単語の香りを私は知っていた。その香りが私を優しく包みこむ。知らず知らず涙があふれでた。
泣いてる自分がくやしかった。
平気な顔付きの私がほしかった。
その車屋が角をまがり見えなくなるまで、立ちすくんでいた、私は、はっと我に返り、スタスタと歩きだした。
〈だから、こうなるって、わかっていたのに〉と、何度も何度も、自分をのろいながら。
後ろから、かけてくる足音がした。振り返ると、へいさんと呼ばれていた男性だった。
「おみやはん、、、こんなに、立派におおきゅうなりはなって、、、あて、すぐにわかりましたぇ、真っ直ぐに成長しはりましたなぁー、それにしても、女将はんの若い頃に生き写し。。気悪うせんでおくるやす。あれが。彼女の精一杯ね愛の行為ですのや。これ、少ないけども」と花柄の封筒を渡された。
かっとなった私は、
「こんな金要りません‼️ばかにするのも、ほどほどにしてください!私をすてたくせに!」
平さんは、それまでの腰の低い態度から、一変して、真っ直ぐに立った。案外せが高い。
「いいゃ、それだけは、ききすてられまへんわ。どんな想いで、あんたはんを手放したか!あては、この目でみてたさかいな!あんたはんの、〈私をすてたくせに〉という、御言葉だけはとうしません!とうりません。どうか、どうか、おかみさんの[壮絶な、覚悟]だけは、それだけは、わかっておくれやす!」
そういう、男性の目には、男泣きの、涙があふれていた。〈ああ~この人、母さんのこと、愛している〉と、感じた。小雨の降る中、泥にまみれたお札を一枚一枚丁寧に拭き、キチンと並べて、うむをいわさず、私の手ににぎらせた。
「この、想いだけは、なんといわれようと!受けとってもらいます!」
そういいすて
、広い背中に法被を羽織った平さんはしずかに帰って行った。
[この物語。続きを、わたしは、かきたいだろうか?あなたは、知りたいですか?残念!この物語。これで、終わりです]
1
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
彼女がいなくなった6年後の話
こん
恋愛
今日は、彼女が死んでから6年目である。
彼女は、しがない男爵令嬢だった。薄い桃色でサラサラの髪、端正な顔にある2つのアーモンド色のキラキラと光る瞳には誰もが惹かれ、それは私も例外では無かった。
彼女の墓の前で、一通り遺書を読んで立ち上がる。
「今日で貴方が死んでから6年が経ったの。遺書に何を書いたか忘れたのかもしれないから、読み上げるわ。悪く思わないで」
何回も読んで覚えてしまった遺書の最後を一息で言う。
「「必ず、貴方に会いに帰るから。1人にしないって約束、私は破らない。」」
突然、私の声と共に知らない誰かの声がした。驚いて声の方を振り向く。そこには、見たことのない男性が立っていた。
※ガールズラブの要素は殆どありませんが、念の為入れています。最終的には男女です!
※なろう様にも掲載
幼馴染の許嫁
山見月 あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
魅了の対価
しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。
彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。
ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。
アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。
淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】愛されないと知った時、私は
yanako
恋愛
私は聞いてしまった。
彼の本心を。
私は小さな、けれど豊かな領地を持つ、男爵家の娘。
父が私の結婚相手を見つけてきた。
隣の領地の次男の彼。
幼馴染というほど親しくは無いけれど、素敵な人だと思っていた。
そう、思っていたのだ。
【完結】アラマーのざまぁ
ジュレヌク
恋愛
幼い頃から愛を誓う人がいた。
周りも、家族も、2人が結ばれるのだと信じていた。
しかし、王命で運命は引き離され、彼女は第二王子の婚約者となる。
アラマーの死を覚悟した抗議に、王は、言った。
『一つだけ、何でも叶えよう』
彼女は、ある事を願った。
彼女は、一矢報いるために、大きな杭を打ち込んだのだ。
そして、月日が経ち、運命が再び動き出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる