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第一章 The war ain't over!
11-1 雑に粗くて噛み合わない罠
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五月十日、レインは自らに追加の悲劇をもたらした携帯電話を交換すべく、最寄りのショップへ向かった。必要な機種と来店時刻は予約しており、プランもおよそ決めていた分、店での手続きは早かった。だが、悲劇はまだ終わっていなかった。
新しい携帯電話を受け取り自宅へ戻ると、見た事の無い男が二人立っていた。
「梅枝由雨生さんですね」
二人の男は身分証を見せ、警察官である事を示す。レインはなぜ彼らが此処に居るのかが分からず、名前は認めつつも首を傾げた。
「俺ー、なんかしました?」
警察官は首を傾げるレインに対し、違法薬物使用の嫌疑が有る旨を伝えた。レインの表情が明らかに曇った事に警察官は目を光らせるが、レインは下世話な週刊誌の話を真に受けるのかと嫌悪を露わにその旨を伝える。
年嵩の警察官は週刊誌の内容は証拠ではないと言い、彼の鞄を見せるようにと言った。
「何も入ってないですよ、あ、そのポーチは別にして下さい。すぐ中身見せるんで」
レインは警察官が止める間もなく鞄の前面ポケットからポーチを引っ張り出し、その中を見せる。
「アナフィラキシーの緊急用自己注射、これ、無いと死ぬかもしれないんで」
年嵩の警察官とレインは顔を見合わせた。
「子供の頃、スズメバチにやられまして。後、原因不明で一回、二枚貝かもしれない食品で一回、アナフィラキシーで死にかけてて、とりあえずスズメバチのアレルギーって事で、全額実費の頃からずっと処方を。それと、何かしら急激なアレルギーが出た時の処方で、抗ヒスタミン剤と、ステロイド剤も入れてるんです」
ポーチの中には明らかに仰々しい注意書きのされた筒状の物と、薬のシートが入っている。
「処方箋は?」
「手帳に記録があります」
ポーチの口を閉じ、レインは年嵩の警察官に渡した鞄に手を突っ込んで処方薬を記録した手帳を見せる。
「内服薬は大体半年に一回くらい、近くのアレルギー科のある内科で出してもらってます。注射は使用期限前に診察を受けて、交換を。必要に応じて、アレルギー検査もして貰ってますよ」
手帳を確認し、年嵩の警察官は若い警察官と共に鞄の中を検めるが、先ほど購入した携帯電話の外装や財布、ハンカチや替えのマスクくらいしか入っていない。
「財布の中も見せて下さい」
「金欠ですけどね」
若い警察官は財布の中を確認するが不審な物は入っておらず、免許証が入っていたが、不審な点は無い。
鞄と財布を返され、レインはポーチを元の場所に戻す。
「車も見せて下さい」
「掃除してないっすけどね」
二人の警察官は車内も点検するが、運転席の足元が砂だらけである以外、取り立ててみる場所は無い。備え付けるべき物は有るがスプレー缶の様な危険物は無く、車内用の空気清浄機が少し珍しいだけで模範的な状態である。
「あのタンブラーみたいなのって、空気清浄機ですか?」
「よくご存じで。今は黄砂も凄いし、俺、匂いの物嫌いなんで、空気全部綺麗にしてくれるのがいいですよね、中華製ですけど」
車内を検め、若い警察官はレインの様子に不審な点が無いかを注意深く観察するが、彼は表情の窺えない様子で突っ立っているばかりだった。
「……ラッカーか何か、扱われました?」
若い警察官はレインの爪に残る黒い塗料の様な物を見過ごさない。
「あ、ネイルの跡ですね」
「ネイル?」
「俺ギタリストなんで、職業柄、爪の保護にマニキュア塗ってて。今使ってるのがアルコールで溶けるタイプなもんですから、出かける前に一度取ったんですけど……どうせまた塗るしと思って、雑にしか取らなくて」
新しい携帯電話を受け取り自宅へ戻ると、見た事の無い男が二人立っていた。
「梅枝由雨生さんですね」
二人の男は身分証を見せ、警察官である事を示す。レインはなぜ彼らが此処に居るのかが分からず、名前は認めつつも首を傾げた。
「俺ー、なんかしました?」
警察官は首を傾げるレインに対し、違法薬物使用の嫌疑が有る旨を伝えた。レインの表情が明らかに曇った事に警察官は目を光らせるが、レインは下世話な週刊誌の話を真に受けるのかと嫌悪を露わにその旨を伝える。
年嵩の警察官は週刊誌の内容は証拠ではないと言い、彼の鞄を見せるようにと言った。
「何も入ってないですよ、あ、そのポーチは別にして下さい。すぐ中身見せるんで」
レインは警察官が止める間もなく鞄の前面ポケットからポーチを引っ張り出し、その中を見せる。
「アナフィラキシーの緊急用自己注射、これ、無いと死ぬかもしれないんで」
年嵩の警察官とレインは顔を見合わせた。
「子供の頃、スズメバチにやられまして。後、原因不明で一回、二枚貝かもしれない食品で一回、アナフィラキシーで死にかけてて、とりあえずスズメバチのアレルギーって事で、全額実費の頃からずっと処方を。それと、何かしら急激なアレルギーが出た時の処方で、抗ヒスタミン剤と、ステロイド剤も入れてるんです」
ポーチの中には明らかに仰々しい注意書きのされた筒状の物と、薬のシートが入っている。
「処方箋は?」
「手帳に記録があります」
ポーチの口を閉じ、レインは年嵩の警察官に渡した鞄に手を突っ込んで処方薬を記録した手帳を見せる。
「内服薬は大体半年に一回くらい、近くのアレルギー科のある内科で出してもらってます。注射は使用期限前に診察を受けて、交換を。必要に応じて、アレルギー検査もして貰ってますよ」
手帳を確認し、年嵩の警察官は若い警察官と共に鞄の中を検めるが、先ほど購入した携帯電話の外装や財布、ハンカチや替えのマスクくらいしか入っていない。
「財布の中も見せて下さい」
「金欠ですけどね」
若い警察官は財布の中を確認するが不審な物は入っておらず、免許証が入っていたが、不審な点は無い。
鞄と財布を返され、レインはポーチを元の場所に戻す。
「車も見せて下さい」
「掃除してないっすけどね」
二人の警察官は車内も点検するが、運転席の足元が砂だらけである以外、取り立ててみる場所は無い。備え付けるべき物は有るがスプレー缶の様な危険物は無く、車内用の空気清浄機が少し珍しいだけで模範的な状態である。
「あのタンブラーみたいなのって、空気清浄機ですか?」
「よくご存じで。今は黄砂も凄いし、俺、匂いの物嫌いなんで、空気全部綺麗にしてくれるのがいいですよね、中華製ですけど」
車内を検め、若い警察官はレインの様子に不審な点が無いかを注意深く観察するが、彼は表情の窺えない様子で突っ立っているばかりだった。
「……ラッカーか何か、扱われました?」
若い警察官はレインの爪に残る黒い塗料の様な物を見過ごさない。
「あ、ネイルの跡ですね」
「ネイル?」
「俺ギタリストなんで、職業柄、爪の保護にマニキュア塗ってて。今使ってるのがアルコールで溶けるタイプなもんですから、出かける前に一度取ったんですけど……どうせまた塗るしと思って、雑にしか取らなくて」
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