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第一章 The war ain't over!
16-3 払う犠牲は確かな見返りを求めてる
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「でも、よりによってどっちも子持ちって、随分な偶然だよね」
呆れた様なランの言葉に、ルーシーは溜息を吐いた。
「もしかしたら、知っている相手というのも有るだろうが、将来的な介護の事も考えて、手っ取り早く孫が出来るとでも考えたのかもしれないな」
ランの疑問にルーシーは肩を竦める。
「あーぁ……そゆことね」
ランはグラスに刺したストローからジンジャーエールを吸い上げつつ、横目にレインを見遣った。
「でもさぁー、そんな何処の男の子供かもわかんない義理の孫とか、かわいいのかな。俺、ゲイだから孫とか望めないじゃん? それが原因で絶縁されて、あばら家押し付けられて、譲渡の税金払いきれなくてサラ金に駆け込んだんだけど」
「世の中、赤ん坊の内に養子を貰って家族になる夫婦も居る。血縁だけが全てじゃないんだろう」
「まあ、それはそうだね。って、それを言うならゲイのカップルでも養子貰えば書類上は孫なんだけど、まだまだ血縁のある赤ん坊の孫にこだわる人は多いと思ってさ」
「昔の人ほどそうかもしれないな。とはいえ、養子をとるのはそれなりに覚悟があっての事だろうし、夫婦で納得して親になると決めているからこそ成り立つのかもしれない。だが……一方的な連れ子は話が違う。母親は産んだ子供である以上愛情も責任もあるが、男の方は父親になりたくて父親になるのでなければ、ベビーシッターにすらならないかもしれない」
ランは無言でレインのグラスに注いだ白いソーダにストローを突っ込んだ。
「……大体さ、今俺、女の恋人が居るんだけど」
ランに促されるようにレインはストローを咥えた。
「親もそれ、分かってるわけだから、全部嫌がらせだよ」
親から縁を切られた者同士、ルーシーとランは顔を見合わせる。
「ステップファミリーの父親に仕立て上げて、子守りと仕事させて、音楽なんてやらせないっていう嫌がらせか、はたまた別れた彼女……実際は一緒に居たらその内死にそうな女の家政夫兼ベビーシッターにさせるか……確かに、ミカちゃんは歳が近いわりに子供欲しがってる風でもないし、そもそもそういう関係にはないけど……お互いに何をしているのか、何を考えているのか、ちゃんと分かり合おうって関係ではあるんだよ。連れ合いって、性別に関係なく、まずそこじゃない?」
「……確かに」
ルーシーは苦い経験から、レインの言葉に納得する。
「ま、婚姻不受理は届けてるから、お見合いは断ればいいわけだけど……親御さん、どうするつもりだろうね、これから」
ランの言葉に、ルーシーはレインを見遣る。
「なんか、週刊誌の記者とつながってるっぽいし、この先もあらぬ疑い掛けられるのは御免なんだけど……例の件、親を窓口にしてたの、こっちが直接引き受ける様にして、別の弁護士頼んだ方がいいかな……でも、この芸能ゴシップみたいなのって、ネットの名誉棄損より厄介だよね」
「その手の弁護士だったら僕から社長に掛け合って誰か探してもらうよ、ただ……」
ルーシーは視線を落とした。
「代理戦争をしている間に、親子戦争になっても困る……こんな事を言うのも心苦しいが、やはりユウキ君自身が表に出た方がいい。一時的にでも有名人扱いになれば、おじさんもおばさんも妙な事は出来なくなるはずだ」
「それは嫌だー……」
「戻って来てくれとは言わない。ただファンミーティングの一度だけでも出てきて話題になった方がいい。週刊誌の連中も、一時的とはいえ事務所の後ろ盾がついた状態なら妙な事は言えなくなる」
「それで解決する? バンドに入った事、未だにねちねち責められてるんだけど?」
「解決するかは分からない。だが、おそらく体を壊してすぐに辞めてしまったのがおじさんおばさんにしてみれば、大学を休んでまで加入しておいてどういう事だ、って認識だとしたらどうだ? 多少なりまともな芸能ニュースで取り上げられれば、短い期間でも人気があったと思って貰えるだろう。それに、ブランクがあるわけでもない、むしろあれから色々と作って弾いて、技術もセンスも二十歳の頃とは比べ物にならないはずだ。酷評される事はないだろうし、一度きりでもステージを終えれば、世間は圧巻のパフォーマンスとかなんとか言って適当に持ち上げる。それで納得させるしかないだろう」
レインは項垂れる。
「鷲塚社長には僕から話をする、一度きりだという事も含めてな」
呆れた様なランの言葉に、ルーシーは溜息を吐いた。
「もしかしたら、知っている相手というのも有るだろうが、将来的な介護の事も考えて、手っ取り早く孫が出来るとでも考えたのかもしれないな」
ランの疑問にルーシーは肩を竦める。
「あーぁ……そゆことね」
ランはグラスに刺したストローからジンジャーエールを吸い上げつつ、横目にレインを見遣った。
「でもさぁー、そんな何処の男の子供かもわかんない義理の孫とか、かわいいのかな。俺、ゲイだから孫とか望めないじゃん? それが原因で絶縁されて、あばら家押し付けられて、譲渡の税金払いきれなくてサラ金に駆け込んだんだけど」
「世の中、赤ん坊の内に養子を貰って家族になる夫婦も居る。血縁だけが全てじゃないんだろう」
「まあ、それはそうだね。って、それを言うならゲイのカップルでも養子貰えば書類上は孫なんだけど、まだまだ血縁のある赤ん坊の孫にこだわる人は多いと思ってさ」
「昔の人ほどそうかもしれないな。とはいえ、養子をとるのはそれなりに覚悟があっての事だろうし、夫婦で納得して親になると決めているからこそ成り立つのかもしれない。だが……一方的な連れ子は話が違う。母親は産んだ子供である以上愛情も責任もあるが、男の方は父親になりたくて父親になるのでなければ、ベビーシッターにすらならないかもしれない」
ランは無言でレインのグラスに注いだ白いソーダにストローを突っ込んだ。
「……大体さ、今俺、女の恋人が居るんだけど」
ランに促されるようにレインはストローを咥えた。
「親もそれ、分かってるわけだから、全部嫌がらせだよ」
親から縁を切られた者同士、ルーシーとランは顔を見合わせる。
「ステップファミリーの父親に仕立て上げて、子守りと仕事させて、音楽なんてやらせないっていう嫌がらせか、はたまた別れた彼女……実際は一緒に居たらその内死にそうな女の家政夫兼ベビーシッターにさせるか……確かに、ミカちゃんは歳が近いわりに子供欲しがってる風でもないし、そもそもそういう関係にはないけど……お互いに何をしているのか、何を考えているのか、ちゃんと分かり合おうって関係ではあるんだよ。連れ合いって、性別に関係なく、まずそこじゃない?」
「……確かに」
ルーシーは苦い経験から、レインの言葉に納得する。
「ま、婚姻不受理は届けてるから、お見合いは断ればいいわけだけど……親御さん、どうするつもりだろうね、これから」
ランの言葉に、ルーシーはレインを見遣る。
「なんか、週刊誌の記者とつながってるっぽいし、この先もあらぬ疑い掛けられるのは御免なんだけど……例の件、親を窓口にしてたの、こっちが直接引き受ける様にして、別の弁護士頼んだ方がいいかな……でも、この芸能ゴシップみたいなのって、ネットの名誉棄損より厄介だよね」
「その手の弁護士だったら僕から社長に掛け合って誰か探してもらうよ、ただ……」
ルーシーは視線を落とした。
「代理戦争をしている間に、親子戦争になっても困る……こんな事を言うのも心苦しいが、やはりユウキ君自身が表に出た方がいい。一時的にでも有名人扱いになれば、おじさんもおばさんも妙な事は出来なくなるはずだ」
「それは嫌だー……」
「戻って来てくれとは言わない。ただファンミーティングの一度だけでも出てきて話題になった方がいい。週刊誌の連中も、一時的とはいえ事務所の後ろ盾がついた状態なら妙な事は言えなくなる」
「それで解決する? バンドに入った事、未だにねちねち責められてるんだけど?」
「解決するかは分からない。だが、おそらく体を壊してすぐに辞めてしまったのがおじさんおばさんにしてみれば、大学を休んでまで加入しておいてどういう事だ、って認識だとしたらどうだ? 多少なりまともな芸能ニュースで取り上げられれば、短い期間でも人気があったと思って貰えるだろう。それに、ブランクがあるわけでもない、むしろあれから色々と作って弾いて、技術もセンスも二十歳の頃とは比べ物にならないはずだ。酷評される事はないだろうし、一度きりでもステージを終えれば、世間は圧巻のパフォーマンスとかなんとか言って適当に持ち上げる。それで納得させるしかないだろう」
レインは項垂れる。
「鷲塚社長には僕から話をする、一度きりだという事も含めてな」
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