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第二章 Gambling with the Devil
2-12-4 Beautiful Madness
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何の話し合いにもならないまま一同は解散し、レインは小鳥遊と共にランと合流すべく駐車場を目指した。
その道中、何者かがレインへと近付いた。
「梅枝由雨生さんですね」
声を掛けたのは若い男で、医療関係者と思しき制服姿だった。
「どなたですか」
レインは努めて落ち着いた声で答え、その間に小鳥遊はまだ近くに居るであろう弁護士の安川に電話を掛ける。
「もう大丈夫ですからね、一緒に来て下さい」
制服姿の男はレインの問いに応えず、その背中に手を回そうとした。
「誰なんですかーっ!」
レインに代わり、小鳥遊は声を張り上げた。
制服姿の男は連れ立った別の制服姿の男と顔を見合わせ、小鳥遊に会釈するが、所属を答える事はしない。
「うちのタレントにーっ、何をするんですかーっ、誰かーっ」
掛けた電話が安川につながった事に気付かないまま、小鳥遊はせめてもの抵抗にと叫んだ。
「どうしたんですか!」
レインが両腕を掴まれたところで、別の男の声と慌ただしい足音が集団へと近づく。
「た、隆君?」
最後の抵抗として両足をアスファルトに食い込ませる勢いで立ち尽くすレインはちらと後ろを振り返る。
「何が、何が有ったんですか!」
混乱に目を瞠った小鳥遊、その手に握られたスマートフォンから響く安川の声、今まさに拘束されようとするレインと制服姿の男二人。
ルーシーはおおよその事を理解し、小鳥遊のスマートフォンを取り上げた。
「安川先生? ですよね! 助けて下さい! 今、弁護士につないでますから!」
ルーシーは安川に助けを求めつつ、男二人に牽制の声を響かせる。
「一体どういう事なんです、僕の家族に一体何が有ったんですか!」
言いながら、ルーシーは二人の行く手を阻む様にレインと男達の間へ割り込み、レインの前へ立ちはだかった。一方、家族という言葉に男二人は顔を見合わせ困惑していた。その間にルーシーは現在地を告げ、安川の到着までどう時間を稼ぐか考える。
「医療法人の方が、一体どうして」
ルーシーは制服に印刷された文字列から、それが何処かの病院の物であると判断する。
「ユウキ君、此処の病院にかかってた? 診察券は?」
「かかりつけじゃ、ない」
レインは言葉を選ぶ様に答え、冷静であろうと努めていた。
「あなた方は彼の事を知っているんですか? 診断は何なんですか?」
「それは守秘義務が」
「僕は身内なんです、教えて下さい」
捲し立てるルーシーを前に男二人は目配せし、少し年嵩の男が口を開いた
「ユウキさんは宇宙的な組織から狙われていて、嘘の記憶を植え付けられています。だから私達が保護を」
「ユウキ君、それはどんな組織何だい? それとも、組織の事を口にしたら殺されるのかい」
「それは……俺が、知りたい……」
自分を置き去りにして進められる狂気の茶番に、レインは混乱を通り越して脱力する。
「あなた方はご存じなんですか、それがどういう組織で、ユウキ君が何をされたか!」
ルーシーは自身が狂人の振りをする事で時間を稼ごうと、あたかも宇宙的な組織の話が事実であるかの様に男二人へ問い掛ける。
「え、えっと、それは、詳しく話すと、ユウキさんに危害が」
レインとルーシーの脳裏には同じ事が過った。目の前に居るこの人物達こそ宇宙人だ、と。
「そんな大変な事になってたなんて、父は知ってたんですか?」
父という言葉に、若い男の目が泳ぐ。
「じゃあ、母は? こんな事になっていて、どうして僕には何も知らされないんですか?」
「だから、それは守秘義務があって……」
「じゃあ、あなた方は誰の依頼で此処に来たんですか? 弟はあなた方の事を知らないし、父も母も知らないなんて、誰があなた方を此処に呼んだんですか」
ルーシーが実力行使のぶつかり合いを覚悟し始めた時、大丈夫ですかと声が響いた。
「先生、こっちです!」
小鳥遊の縋る様な声に、安川は慌ただしい足音を立てながら一同へと駆け寄った。
「私、弁護士法人、セーフスターズの、安川と申します。現在、梅枝由雨生さんについて、代理人に、任命されております。この状況は……医療保護入院か、何かだと見えますが、診断書など、根拠の分かる書類は、お持ちでしょうか!」
息を弾ませる安川の登場に男二人はあからさまな動揺を見せた。その一瞬、狼狽えていた小鳥遊は自分よりも一回り以上大きなレインの腕を掴み、自分の背中に彼を回した。
その道中、何者かがレインへと近付いた。
「梅枝由雨生さんですね」
声を掛けたのは若い男で、医療関係者と思しき制服姿だった。
「どなたですか」
レインは努めて落ち着いた声で答え、その間に小鳥遊はまだ近くに居るであろう弁護士の安川に電話を掛ける。
「もう大丈夫ですからね、一緒に来て下さい」
制服姿の男はレインの問いに応えず、その背中に手を回そうとした。
「誰なんですかーっ!」
レインに代わり、小鳥遊は声を張り上げた。
制服姿の男は連れ立った別の制服姿の男と顔を見合わせ、小鳥遊に会釈するが、所属を答える事はしない。
「うちのタレントにーっ、何をするんですかーっ、誰かーっ」
掛けた電話が安川につながった事に気付かないまま、小鳥遊はせめてもの抵抗にと叫んだ。
「どうしたんですか!」
レインが両腕を掴まれたところで、別の男の声と慌ただしい足音が集団へと近づく。
「た、隆君?」
最後の抵抗として両足をアスファルトに食い込ませる勢いで立ち尽くすレインはちらと後ろを振り返る。
「何が、何が有ったんですか!」
混乱に目を瞠った小鳥遊、その手に握られたスマートフォンから響く安川の声、今まさに拘束されようとするレインと制服姿の男二人。
ルーシーはおおよその事を理解し、小鳥遊のスマートフォンを取り上げた。
「安川先生? ですよね! 助けて下さい! 今、弁護士につないでますから!」
ルーシーは安川に助けを求めつつ、男二人に牽制の声を響かせる。
「一体どういう事なんです、僕の家族に一体何が有ったんですか!」
言いながら、ルーシーは二人の行く手を阻む様にレインと男達の間へ割り込み、レインの前へ立ちはだかった。一方、家族という言葉に男二人は顔を見合わせ困惑していた。その間にルーシーは現在地を告げ、安川の到着までどう時間を稼ぐか考える。
「医療法人の方が、一体どうして」
ルーシーは制服に印刷された文字列から、それが何処かの病院の物であると判断する。
「ユウキ君、此処の病院にかかってた? 診察券は?」
「かかりつけじゃ、ない」
レインは言葉を選ぶ様に答え、冷静であろうと努めていた。
「あなた方は彼の事を知っているんですか? 診断は何なんですか?」
「それは守秘義務が」
「僕は身内なんです、教えて下さい」
捲し立てるルーシーを前に男二人は目配せし、少し年嵩の男が口を開いた
「ユウキさんは宇宙的な組織から狙われていて、嘘の記憶を植え付けられています。だから私達が保護を」
「ユウキ君、それはどんな組織何だい? それとも、組織の事を口にしたら殺されるのかい」
「それは……俺が、知りたい……」
自分を置き去りにして進められる狂気の茶番に、レインは混乱を通り越して脱力する。
「あなた方はご存じなんですか、それがどういう組織で、ユウキ君が何をされたか!」
ルーシーは自身が狂人の振りをする事で時間を稼ごうと、あたかも宇宙的な組織の話が事実であるかの様に男二人へ問い掛ける。
「え、えっと、それは、詳しく話すと、ユウキさんに危害が」
レインとルーシーの脳裏には同じ事が過った。目の前に居るこの人物達こそ宇宙人だ、と。
「そんな大変な事になってたなんて、父は知ってたんですか?」
父という言葉に、若い男の目が泳ぐ。
「じゃあ、母は? こんな事になっていて、どうして僕には何も知らされないんですか?」
「だから、それは守秘義務があって……」
「じゃあ、あなた方は誰の依頼で此処に来たんですか? 弟はあなた方の事を知らないし、父も母も知らないなんて、誰があなた方を此処に呼んだんですか」
ルーシーが実力行使のぶつかり合いを覚悟し始めた時、大丈夫ですかと声が響いた。
「先生、こっちです!」
小鳥遊の縋る様な声に、安川は慌ただしい足音を立てながら一同へと駆け寄った。
「私、弁護士法人、セーフスターズの、安川と申します。現在、梅枝由雨生さんについて、代理人に、任命されております。この状況は……医療保護入院か、何かだと見えますが、診断書など、根拠の分かる書類は、お持ちでしょうか!」
息を弾ませる安川の登場に男二人はあからさまな動揺を見せた。その一瞬、狼狽えていた小鳥遊は自分よりも一回り以上大きなレインの腕を掴み、自分の背中に彼を回した。
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